大橋院長の為になるブログ

2021.05.13更新

Covid-19のストレスに負けない運動の勧め:

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴うストレスを解消するために、運動が効果的であることが報告された。しかしその一方で、COVID-19のストレスや不安のために、運動をする気力が低下している人も少なくないことが明らかになった。マクマスター大学(カナダ)のJennifer Heisz氏らの研究の結果であり、詳細は「PLOS ONE」に4月1日掲載された。

 Heisz氏らは、COVID-19パンデミックにより人々の身体活動に取り組む動機や障壁がどのように変化したかを把握し、かつ、その変化がメンタルヘルスに及ぼす影響を明らかにするため、オンライン調査を実施した。調査実施期間は2020年4月23日~6月30日で、1,669人から有効回答を得た。

 回答者の82.4%は女性で、年齢は18~29歳が36.9%、30~45歳が25.8%、46~65歳が28.0%、66歳以上が9.2%であり、85.6%はカナダ国内からの回答だった。また、大半(91.9%)の人は少なくとも4週間以上、社会的に孤立した状態に置かれていると回答した。

 身体活動量はパンデミック前と比較して有意に減少していた。例えば1週間当たりの有酸素運動の実施時間は22分(-11%、P<0.05)、高強度運動は32分(-30%、P<0.01)それぞれ減少し、反対に座位行動は週当たり33分増加していた(+11%、P<0.01)。パンデミックはまた、心理的ストレスのスコアを22%増大させていた(P<0.01)。

 パンデミックにより身体活動量が大きく減少した人は、メンタルヘルスが大きく悪化し、反対にパンデミック中も身体活動量を維持できていた人は、メンタルヘルスの変化が少ないことも分かった。具体的には、身体活動量の変化量と、うつレベル(r=-0.21)、不安レベル(r=-0.12)との間に、負の相関が認められた(いずれもP<0.01)。

 運動を行う上での障壁のうち、パンデミック前との比較で大きく増加した事柄として、不安の増大(8ポイント増)、社会的支援の不足(6ポイント増)、運動できる環境(機器やスペース)へのアクセスの問題(41ポイント増)などが挙げられた。

 運動をする動機についても、以下のような変化が見られた。パンデミック前に比較し、体重減少(7ポイント減)や体力の維持(14ポイント減)などの身体的健康に関連する事柄が減少した一方、不安の緩和(14ポイント増)をはじめとするメンタルヘルスに関連する事柄が増加していた。

 Heisz氏は、この結果を「COVID-19パンデミックという状況においても、運動を行っている人は不安が少ないようだ。それにもかかわらず多くの人は直面している不安が大きすぎて、運動の継続に支障が生じている。うつに関しても同じようなことが言える。つまり、運動はうつレベルを低下させるにもかかわらず、社会的孤立の影響でうつレベルが既に上昇している人は、運動をしようとする意欲が低下してしまっている」とまとめている。その上で同氏は、「パンデミックによる健康への影響を最小限に抑え、メンタルヘルスの危機を抑制するために身体活動量を維持すべきであり、身体活動量を維持するためのメンタルヘルス上のサポートも必要だろう」と述べている。

 著者らは、パンデミック中に身体活動量を維持するためのアドバイスとして、以下のポイントを掲げている。
・どんな運動でも、何もしないよりはした方が良い。
・毎日少しでも体を動かす。
・運動中に不安を感じた時は、運動強度を下げる。
・座位時間はこまめに区切って、立ち上がったり歩き回ったりする行動を差し挟む。
・運動する時間をスケジュールに入れておく。おおはし

投稿者: 大橋医院

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