大橋院長の為になるブログ

2021.12.31更新

消化器内科 先生 の回答
一般的には、絞扼性イレウス=腸管血流障害があるイレウスは外科対応になると思います。 では、造影CTなしに絞扼性イレウスを除外できるかという問題になりますが、結論から言えば、「身体所見、血液検査、単純CTで絞扼性イレウスを”完璧には”除外できません」

 

教科書的には、絞扼性イレウスの適応として下記の所見があります。

・症状:発熱、激しい腹痛、腹膜刺激症状、ソセゴンで緩和できない疼痛

・採血:炎症反応高値、筋逸脱酵素上昇、アシドーシスの進行、大量腹水

・単純CT:大量腹水、closed loop、腸間膜脂肪織濃度上昇、腸管気腫・門脈内ガス

ただし、これらの所見は感度が低く、これらの所見を認めない絞扼性イレウスは珍しくありません。また、症状、採血の所見は、絞扼性イレウスの初期には出現せず、血流障害の進行とともに(つまり腸が腐ってから)出現することが多いです。

当直時の対応としては、絞扼性イレウスを疑う所見があれば、当直中に外科医に相談し、指示を仰ぐのが安全です。翌日まで経過観察して腸管が壊死したため裁判となった事例もあります。

絞扼性イレウスは診断の難しさや、1日で腸管壊死に至る進行の早さもあり、裁判によく出てくる疾患の一つです。

絞扼性イレウスの可能性が低ければ、消化器内科対応でよいかと思われますが、各病院でどのような取り決めになっているかを確認するのが適切かと思われます。

とはいえ、造影CTなしにイレウス対応をすることは、腸管血流障害の程度が十分に評価できないので、リスクがあるという意識は必要だと思います。

「身体所見、採血、単純CTで絞扼性イレウスは除外できる!」という考えは危険ですし、たまたま診断に難渋するイレウスに遭遇してこなかっただけです。参考になれば幸いです。

【消化器内科 / 30代 / 地域医療支援病院(200床以上)】

No.2

消化器内科 先生 の回答
消化器内科医です。

イレウスに対しては、手術でなければ内科で良いと思っています。うちの病院では見極めなど特になく、消化器内科が呼ばれて救急外来で一度診察して、緊急OPEの症例は外科で、保存が可能であれば内科が取ることになっています。ただ、イレウスを入院させるときには外科に連絡を入れています(何かあれば手術になるため)。

ただ、造影CTなしで外科か内科か判断はできないので、イレウスと診断した場合には造影CTを施行しています。

【消化器内科 / 30代 / 特定機能病院(400床以上) / 消化器病専門医】

No.3

消化器内科 先生 の回答
私も、以前同様の案件で苦労したことがあり、いろいろ検討した結果、イレウスで入院してきた場合、翌日まで保存療法ではもたない症例の多くは、腸管虚血がある程度以上ある、いわゆる絞扼性イレウス症例のようです。

画像ではなかなか鑑別が難しかったですが、血ガスで乳酸が測定でき、この値が基準値より高いと虚血が起こっていることが分かるので、当時 外科の先生も対応してくれるようになりました。

乳酸は、糖が分解されるときに、嫌気状態ではTCA回路に入らずに乳酸に分解されるため、体内の虚血状態を判定でき、いろんな病態の判定に使えますが、イレウス症例では、腸管虚血の有無の診断に有用でした。

投稿者: 大橋医院

2021.12.27更新

大日本住友製薬は7月30日、2型糖尿病を予定適応とするイメグリミン塩酸塩(一般名)を日本で承認申請したと発表した。ミトコンドリアの機能を改善する新規機序の薬剤で、2型糖尿病の主な成因であるインスリン分泌不全とインスリン抵抗性の両方の改善が期待されている。申請に用いた臨床試験では、単剤療法のほか、既存の経口血糖降下薬やインスリン製剤との併用療法のいずれにおいても有効性、安全性、忍容性が確認されたとしている。

同剤はテトラヒドロトリアジン系化合物に分類される新規化学物質で、ファースト・イン・クラス薬となる可能性がある。ミトコンドリアの機能を改善するとの独自のメカニズムで、2型糖尿病治療において重要な役割を担うすい臓、筋肉、肝臓の3つの器官に作用する。グルコース濃度依存的なインスリン分泌を促進するとともに、インスリン抵抗性を改善、糖新生を抑制することで血糖降下作用を示すと考えられている。

また、糖尿病によって引き起こされる細小血管・大血管障害の予防につながる血管内皮機能および拡張機能の改善作用や、膵臓β細胞の保護作用を有する可能性も示唆されているという。

同社は、「イメグリミンは2型糖尿病治療における単剤および併用による血糖降下療法において、幅広く使用される治療薬となる可能性がある」としている。

投稿者: 大橋医院

2021.12.27更新

20世紀に入り、パーソナリティの5因子モデル(外向性、快活性、良心性、情緒安定性、知性/開放性)が登場し、進化したことで、パーソナリティと健康に関する研究が進みました。このモデルは、一般的に「ビッグ5」と呼ばれています。

 健康とパーソナリティは、それぞれが他方に影響を与える双方向の因果関係があると考えられています。この関係を裏付ける証拠について、詳しく見ていきましょう。

良心的なパーソナリティ
 オックスフォード・リサーチ・エンサイクロペディアの「Personality and Health」の項目によると、ビッグ5の特性の中で、良心的なパーソナリティと健康の関係を最もよく裏付けるデータがあります。良心的な人は、罹患率や死亡率が低いことがわかっています。これは、健康行動の改善や社会的なつながりの強さ、ストレスの少なさによるものと考えられます。

 バイオマーカーの観点から見ると、良心的でない人はレプチンのレベルが高い傾向にあり、レプチン抵抗性で体重増加の素因となっていることがわかります。また、このようなタイプの人は、脂質プロファイルも悪い傾向にあります。また、良心的なパーソナリティが低いと、夜間の血圧パターンが悪化します。また、良心的でない人は、IL-6やCRPなどの炎症マーカーの濃度が高くなっていました。

神経質
 神経質なパーソナリティは、それだけで不適応な健康行動、死亡、疾病と関連しています。しかし、「健全な神経質」は、ポジティブな健康行動と関連している可能性があることが、「Collabra: Psychology」に掲載された共同分析の結果から明らかになりました。

 健全な神経質とは、「高い神経質と高い良心性の組み合わせ」と定義されています。今回の共同研究では、この組み合わせが、喫煙量の減少や運動量の増加と関連する一方で、アルコール摂取量とは関連しないという結果が得られました。著者らは、この結果が幅広い集団に当てはまる可能性を示唆しています。

 なお、関連する他の2つの研究では、健全な神経質は罹患率や死亡率とは関連しないことがわかりました。

タイプA
 「タイプA」という言葉を、知人や同僚、家族、友人、あるいは自分自身を指すものとして聞いたことがあるかもしれません。タイプAのパーソナリティは行動的な傾向があり、歴史的に中高年の心臓病と関係があると言われています。タイプAのパーソナリティは「coronary-prone behavior」と呼ばれ、目標達成への強い意欲、攻撃性、厳格な期限の遵守、競争心などの特徴があります。疫学調査では、タイプAのパーソナリティと心血管疾患との強い関連性が示されています。

 International Journal of Behavioral Medicineに掲載された研究の著者らによると、タイプAのパーソナリティと心疾患との関連性の背景には、喫煙やアルコール摂取量の増加、怒りやそれに伴う血行動態の不安定さなど、さまざまなメカニズムが考えられるといいます。

タイプC
 パーソナリティと健康心理学の分野で注目されているのが、タイプC(がんになりやすいパーソナリティ)です。タイプCとは、受動性、他者への配慮、怒りの抑制、無力感、忍耐力、快活さ、自己犠牲など、さまざまな特徴を指します。

 Frontiers in Psychology誌に掲載された最近の研究では、タイプCのパーソナリティを2つの主な要因にまで煮詰め、その内的整合性を確認しました。言い換えれば、タイプCに関連する他のさまざまな特徴が示唆されていても、ほとんど意味がないということです。

 著者らは、「身体疾患のパーソナリティ決定要因を見つけることを目的とした研究において、タイプCのパーソナリティは、がんの発症の有意な予測因子として提案され、扱われてきた」と書いています。さらに著者らは、「タイプCに関する文献を分析したところ、タイプCの要素として仮定されたいくつかの特徴が、必ずしも内部的に一貫しておらず、正確に定義された全体像を形成していないことが明らかになった。このことが、がんを予測する上でのタイプCのパーソナリティの重要性に関する文献で報告されている研究結果の乖離の原因の一つとなっている可能性がある」と述べています。

 重要なのは、今回の研究が、タイプCのパーソナリティとは何かを初めて明らかにしたことです。

応用の可能性
 Journal of Black Psychology誌に掲載された研究において、研究者たちは、健康を改善するための介入にパーソナリティを組み合わせる方法を提案しました。注目すべきは、黒人の集団ベースのサンプルを対象に、ビッグ5と身体機能との関係を調査したことです。

 著者らは、「個人のパーソナリティと社会的スキルを対象とした介入は、人々が利用可能な社会的支援をより認識し、その支援をより好意的に受け止めるのに役立つかもしれない。介入は、参加者が社会的ネットワークを増やしたり、多様化したりすることを訓練し、ネットワークから支援を引き出す方法を教え、コミュニティとより多くのつながりを形成するためのリソースを提供し、提供された支援を受け入れることを支援することができる」と示唆しています。

 パーソナリティをターゲットにした介入は、対立回避を助け、相互依存を促す可能性もあります。良心性と外向性が高く、神経質さが低いことを目標にすれば、社会的支援が減少している人に役立つ可能性があります。

投稿者: 大橋医院

2021.12.26更新

withコロナの医療2021】呼吸器科編は日本赤十字社医療センター呼吸器内科部長の出雲雄大氏に登場いただく。国内で最初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者発生の頃から中等症・重症患者の診療に当たってきた出雲氏。2021年の第3波から第5波では、それ以前とは違った大変さがあったと振り返る。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・坂口恵/2021年11月12日取材、全5回連載)

2021年のCOVID-19
「一般的なウイルス性肺炎の疾患に」
――昨年に続き、2021年の先生ご自身のCOVID-19との関わりを振り返っていただけますか。

 COVID-19に関しては2020年の4月頃が一番大変だったと思います。なぜかというと、相手(ウイルス)が何者かよく分からなかったからということです。今年(2021年)1月頃にはだいたいウイルスの性質が分かってきました。そして、レムデシビル(商品名:ベクルリー)やステロイド製剤、バリシチニブ(同オルミエント)といった重症化した段階での治療法が確立してきました。また、2021年前半の段階で感染防御の方法もだいぶ分かってきたので、僕にとっては一般的なウイルス性肺炎を起こし得る疾患と位置付けられるようになりました。

――そうなのですね。

 診療面ではインフルエンザ肺炎や、ウイルス性ではありませんがマイコプラズマ肺炎と同じような感じです。2020年4月にはCOVID-19の性質が分かっていなかったので、心の余裕がないという点での大変さが最も大きかったかと思います。第1波の頃は重症の患者さんがわれわれの施設で最大10人くらい入院しているという感じだったのですが、第5波の時は、一番多いときで重症病床12床が満床、中等症病床も44床満床で、全体で60人近く入院患者さんを受け入れ続けたので、診療体制の維持が大変でした。ただ、治療法や対応が手探りだった第1波の頃と違い、標準的な治療法が確立されたので、精神的な大変さは少なかったですね。もう何回もアップデートして、複雑になってしまっていますが。COVID-19患者さんを受け入れながら、肺がんや間質性肺炎、気管支喘息などの呼吸器疾患による患者さんの診療も通常通り維持していたので、身体的な強度の面で大変だったというのが正直なところです。



(提供:出雲氏)
第5波は全科持ち回りで患者受け入れ
――第5波の頃、報道番組で先生が中等症病床で対応されている様子を拝見しました。その頃の診療体制はどのような感じでしたか。

 第4波までは基本的に感染症科、救急科、呼吸器内科での3診療科で対応する診療体制でしたが、2021年9月頃からは全診療科で診療する体制に切り替えました。入院が必要な患者さんを全診療科で順番に受け入れる。だいたい1診療科当たり1、2人といった規模です。患者数が激増したため、3つの診療科ではとても受け入れられる状態になかったことと、先ほど申し上げたように有効な感染対策や治療方針が確立して、どの診療科でも対応できるようになったことが大きいですね。

――それまでCOVID-19患者さんを診ていなかった診療科でも受け入れる体制にしたのですね。現場のスタッフの方からは抵抗感のようなものはなかったのでしょうか。

 最初はあったかもしれないですね。新しいことをやろうとすると、どこでも起こることです。ただ、全体で受け入れといっても診療科ごとに1-2人の規模ですし、「この波を乗り越えるために一緒に取り組みましょう」というところでしょうか。

――むしろ、それまで診たことがなかった先生も診療されて「あ、こういう感じで治療していけるんだな」となったようなことはあるのでしょうか。

 そうかもしれないですね。先ほど挙げた3診療科以外では軽症から中等症Iくらいの患者さんを診ていただくことが多くて、重症化しそうだと判断したら、3診療科による中等症病床での対応に切り替える体制です。

最初からコロナに全振りしなかった理由
「一度紹介を断ると、ゼロになる」
――本当にこの1年でCOVID-19診療が大きく変わったのですね。

 やはり第5波は患者さんの数が相当増えましたし、他の疾患の患者さんの診療も続ける必要がありますし、そうせざるを得なかったのです。感染症には流行期と非流行期が必ずある。つまり、その感染症だけに医療機関のリソースを全振りすると、流行の波が終わった後に必ず患者さんがいなくなります。呼吸器内科で言うと、肺がんや間質性肺炎といった入院で診ることの多い患者さんもゼロになってしまう。感染症流行期に「その疾患の患者さんは診られません」と紹介を断ってしまうと、その後も紹介されなくなるということは東京都のように大きな病院がたくさんある地域だと起こり得ます。もちろん、自治体の方針でコロナ専門病院に指定されるということはありますが。

――昨年の取材でも、呼吸器内科の通常診療を続けながらCOVID-19患者さんを受け入れて、それを公表したとおっしゃっていました(「災害に強い日赤、新型コロナでつらい時期も」参照)。当時は「この病院ではコロナ患者さんを診ているのですか」という患者さんに「誰がCOVID-19にかかっても不思議ではありません。うちの病院ではCOVID-19患者さんは診ませんという立場を取ったら、かかりつけの患者さんでも別の病院を探さないといけなくなりますよね」と説明されていたと伺いました。多くの患者さんは「その方が安心ですね」との反応だったと。

 COVID-19は呼吸器感染症ですから、呼吸器内科が主に診療するというのは確かなのですが、今までのウイルスなどの感染症の歴史を見ても、その流行が100年も続くことはあり得ないですよね。COVID-19が発生した当初から、呼吸器内科の責任者としてこの感染症に単独で全精力を注ぐということは全く考えませんでした。

投稿者: 大橋医院

2021.12.24更新

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の世界中での感染拡大が止まらない。米疾病対策センター(CDC)は20日、米国で確認された新規の症例の73%以上がオミクロン株、デルタ株が27%だったことを明らかにした。11日までの1週間のオミクロン株は全体の3%程度だったが、一気に逆転。死者も出ている。

空港検疫をなぜ「抗原検査」から「PCR検査」に変更しないのか

 日本のオミクロン株感染者は80人超だが、すでに濃厚接触者が全国で4000人を超えた。

 世界保健機関(WHO)のスワミナサン首席科学者は、オミクロン株の感染が他の新型コロナと比べ、軽症となると結論付けるのは「時期尚早」と警告。WHOは重症化に関して、「限られたデータしかない」からとしている。浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫氏もこう言う。

「オミクロン株は、スパイクたんぱく質の変異の数が多く、感染力は非常に強い。英国をはじめ、欧米でも重症化は低いとされていますが、現時点では感染者に若い世代が多く、ワクチン接種済者がかかっているので、懐疑的です。オミクロン株の実態を判別するのは、ワクチンの抗体が減っていたり、免疫力の低い高齢者が集団でかかる状況になってからでしょう。第6波はオミクロン株の流行であるとみています」

 オミクロン株の特有の症状はあるのか。

「デルタ株の患者さんは従来株よりも、下痢や食事が取れないなど胃腸症状を訴えるケースが多かった。オミクロン株は現在のデータでは“ただの風邪症状”の感染者が多いとみられます。発熱がなくても、咳が出だした、鼻水が出るといった場合でも、忘年会などは遠慮してもらいたいですね。ただワクチン接種者なら無症状の割合も多く、パンデミックを防ぐには適切にマスクやアルコール消毒をするしかありません」(矢野邦夫氏)

■1月末には感染者数3000人超の予測も

 英キングス・カレッジ・ロンドンの遺伝疫学者ティム・スペクター教授がロンドンで実施した調査でも、鼻水や頭痛、疲れなど通常の風邪の症状が多かったという。

 先日、名古屋工業大学のグループがAIを使って都内の今後の感染状況を予測した。オミクロン株が流行すれば、最悪の場合、来月末には1日当たりの感染者数が3000人を超える可能性があるそうだ。ただでさえ体調を崩しやすい季節だが、「ただの風邪気味」と思わずに無理な行動は控えたい。

投稿者: 大橋医院

2021.12.24更新

芍薬甘草湯は即効性があり、予防効果もあるので、漢方薬の中で一番使える薬と言えると思いますが、それでも無効、漢方薬が苦手な方は、硫酸マグネシウムの有効性が言われています。副作用は、マグネシウムなので便が緩くなる、下痢など。

あとはてんかん薬ですね。例えば、ガバペンです。ガバペンは副作用も少なく使いやすいのではないでしょうか。テグレトールなども効くとも言われますが、テグレトールは副作用も強いので、他の薬が無効でやむを得ないときだと思います。

 

投稿者: 大橋医院

2021.12.23更新

~アミロイドが心臓に沈着することによって生じる致死的な心不全や不整脈を特徴とする希少難治性疾病
心アミロイドーシス(トランスサイレチン型)に対する世界初の治療薬誕生~
ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:原田明久)は、2019年3月26日、ビンダケル®カプセル20mg(一般名:タファミジスメグルミン。以下、「ビンダケル®」)に関して、新たな適応症として「トランスサイレチン型心アミロイドーシス※(野生型及び変異型)以下、「ATTR-心アミロイドーシス」」に対する製造販売承認事項一部変更承認(以下、一変承認)を取得したことをお知らせします。
ATTR-心アミロイドーシスは、トランスサイレチン(TTR)という4量体のタンパク質が加齢(野生型)や遺伝変異(変異型)により単量体に解離して変性が起こることによりアミロイド線維が形成され、全身の組織内へ沈着することが原因で障害が生じる疾患です。心アミロイドーシスは、そのアミロイド線維が心筋に沈着することで、難治性の不整脈や心不全等により最終的に死に至る可能性のある進行性の疾患です。1,2
ビンダケル®は、ATTR-心アミロイドーシスの患者さんを対象としたATTR-ACT試験(後述参照)において、死因を問わない死亡および心血管事象に関連する入院の減少に対する有効性を示しました。これらの臨床試験結果に基づき、2018年11月にATTR-心アミロイドーシスの適応症に対する一変承認申請を行い、この度承認を取得しました。なお、本剤は「トランスサイレチン型心アミロイドーシス」の効能・効果に対して、2018年3月に厚生労働省より「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されました。本剤は、「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定されたファイザー株式会社にとって初めての薬剤です。
このたびの適応症追加承認取得により、ビンダケル®はATTR-心アミロイドーシスの野生型及び変異型を適応として世界で初めて承認された唯一の治療薬となりました。これまで治療選択肢が非常に限られていた患者さんにとって、有用な治療選択となることが期待されています。
※アミロイドーシス:アミロイドと呼ばれるナイロンに似た線維状の異常蛋白質が全身の様々な臓器に沈着し、機能障害をおこす病気の総称。(出典:難病情報センター)

 

ECG:LVH(左室肥大)、pooor前胸部誘導、陳旧性心筋梗塞、超音波上肥厚型心筋症ににて、左室中核飛行でまだら模様、NYHAⅡ度からⅢ度の軽い新症状にピンダゲルを!

投稿者: 大橋医院

2021.12.23更新

作用機序1-7)
ツイミーグは、NAMPT(NAD+合成系酵素)遺伝子、ミトコンドリア呼吸鎖複合体Ⅰへの作用を介して、膵β細胞におけるグルコース濃度依存的なインスリン分泌を促す膵作用と、肝臓・骨格筋での糖代謝を改善する膵外作用(糖新生抑制・糖取り込み能改善)という2つのメカニズムで血糖降下を示します。
これらの作用にはミトコンドリアを介した各種作用が関係していると推定されます。

作用機序:

2型糖尿病治療薬「ツイミーグ®錠500㎎」(イメグリミン)が2021年6月23日に国内における製造販売承認を取得しました。

ツイミーグ®錠は、既存の血糖降下薬とは異なる構造と、2つの血糖降下作用をもつ、新しいクラスの経口血糖降下薬です。ミトコンドリアへの作用を介して、グルコース濃度依存的なインスリン分泌を促す膵作用と、肝臓・骨格筋での糖代謝を改善する膵外作用(糖新生抑制・糖取り込み能改善)により血糖降下作用を示すと考えられています。

有効性および安全性の評価のため、フェーズ3試験であるTIMES試験(Trials of IMeglimin for Efficacy and Safety)が実施され、日本で1100例を超える2型糖尿病患者に1回1000㎎が1日2回投与されました。試験の1つであるTIME1がすでにDiabetes Careに掲載されています(Diabetes Care 2021 Apr; 44(4): 952-959.)。TIME1は2017年12月~2019年2月に、日本人の2型糖尿病患者213例(解析対象は212例)を対象とした24週間のイメグリミン単剤療法による有効性、安全性および忍容性を検討したプラセボ対照、二重盲検、ランダム化比較試験です。イメグリミン投与群ではHbA1cがベースラインより-0.87%(95%信頼区間 -1.04~-0.69)と低下しました。有害事象は両群ともに約半数(イメグリミン投与群で47例(44.2%)、プラセボ軍で48例(44.9%))で認めましたが、イメグリミン投与と関連した重度の有害事象はなかったと報告されています。

 

SGLT2阻害薬に続く、新たな作用機序の薬として、今後の動向に注目です。なお、現時点での薬価収載時期は未定です。

情報元:大日本住友製薬ニュースリリース https://www.ds-pharma.co.jp/news/ わたしが聞いた講義では「ツイミーグ錠(イメグリミン)の薬の誕生で糖尿で良かった。イメグリミンで

糖尿病で一病息災、血糖値じゃない、幸せな生活がやってくる。」

投稿者: 大橋医院

2021.12.23更新

1 コンサルテーションが必要な一過性意識消失発作
① 心原性失神
② てんかん発作
③ 急性出血
④ その他;くも膜下出血・大動脈解離・肺動脈血栓塞栓症・中毒……
 適切なコンサルテーションを行うには、まず上記を見逃さないことが重要です。特に①の心原性失神は生命予後にかかわるため、可能性が少しでもあればその時点で循環器内科コンサルテーションが必要となります。つまり、心原性失神を見逃さないことが初期対応では最も重要になります。

2 失神と一過性意識消失発作
 失神は「一過性の意識消失の結果、姿勢の保持ができなくなり、かつ自然に、また完全に意識の回復がみられること」1)と定義されます(図1)。


 一過性意識消失発作が「すみやかに、自然に、完全に回復する」失神なのかどうかを見極めることは、鑑別疾患を絞る意味で重要です。ただし「すみやかに」を定義する具体的な時間の記載はありません。

 一般に救急外来受診時に意識障害を認めるものは、失神とはいいません。

3 失神の分類
 失神は原因により以下の4つに分類されます2)。

① 反射性失神(血管迷走神経反射・状況失神…) 21%
② 心原性失神 10%
③ 起立性低血圧 9%
④ その他、原因不明 37%
 また、鑑別疾患は図2のようなものがあげられます。


 くり返しになりますが、心原性失神は生命予後にかかわるため、この4つのなかでも心原性失神を見逃さないことが救急外来での初期対応では最も重要になります。

4 心原性失神
 それでは例題の症例をコンサルテーションする際に必要となる病歴聴取・身体所見・検査所見について、失神の診療で絶対見逃してはならない心原性失神を中心に学びましょう。

1) 心原性失神を疑う病歴聴取のポイント
1失神時の状況
労作・運動中の失神
仰臥位での失神
失神時/失神前の動悸・胸痛・呼吸困難
先行する症状のない失神
2心疾患の既往・危険因子
糖尿病・高血圧・脂質異常症・喫煙・心電図異常…

3内服薬
抗不整脈薬・強心薬・ジギタリス・利尿薬……

4突然死の家族歴
心原性失神は、60歳以上の男性に多く認められます。これらの項目について、ご本人はもとよりご家族・目撃者・救急隊員からできるだけ詳細な病歴聴取を行います。失神発作時だけではなく、失神前の状況・症状、失神後の症状も重要です。このほか、最初の失神発作のエピソードから4年以内かつ頻度が2回以下の場合も、心原性失神を疑います。

2) 心原性失神を疑う身体診察のポイント
1バイタルサインの異常
徐脈/頻脈
持続性低血圧
低酸素血症
2心不全徴候
頸静脈怒張
III音・心雑音聴取
心拡大(鎖骨中線より外側に心尖拍動触知)
肺うっ血、ラ音聴取、胸水貯留
腹水・下腿浮腫
 救急外来受診時に意識レベルが少しでもはっきりしない場合は、失神よりもむしろ意識障害と考えます。外傷・特に頭部外傷の有無も失神の診療では重要です。逆に外傷から失神の存在が明らかになる場合もあります。失神後も原因(不整脈、立位や坐位…)が持続すると、意識障害が遷延し痙攣発作を起こすこともあります。

3) 心原性失神を疑う検査のポイント
1心電図・ホルター心電図
心室頻拍/心室細動
QT延長・QT短縮
早期再分極・Brugada型・不整脈原性右室心筋症
洞不全症候群
房室ブロック
心房細動
心室内伝導障害
ペースメーカー不全
2心エコー
心筋梗塞
大動脈弁狭窄症
肥大型心筋症
右室負荷
3血液検査
BNP
トロポニン
 心電図は来院時には正常化していることが多いため、心拍数・PQ時間・J波・ST変化・QT時間等軽微な変化にも注意しましょう。失神の原因診断では、10%で心電図が有用だったと報告があります6)。

 失神で頭部外傷や神経学的所見もない場合、原則頭部CTは必要ありません!

4) 心原性失神の鑑別にかかわる臨床予測ツール
 心原性失神の鑑別のため、臨床予測ルールも用いられています(EGSYSスコア、表)。


 3点以上で心原性失神が疑われますが、感度95%・特異度61%とこのスコア単独で診断できるものではありません。有名なSan Francisco Syncope Ruleでも有用性が否定されています5)。とはいえ、判断材料の1つにはなると思います。

 救急外来を受診される失神患者さんは多く、稀ではありますがくも膜下出血や肺動脈血栓塞栓症・大動脈解離等の致死的な疾患も含まれます。

 やはり詳細な病歴聴取と身体診察、心電図・心エコー所見の正しい解釈が重要です。基本を大切にしようということですね!

投稿者: 大橋医院

2021.12.22更新

米リジェネロンは、新型コロナウイルス感染症に対する抗体療法「ロナプリーブ」がオミクロン株への有効性がないことを確認したと発表した。同株などに対応した新たな抗体療法を開発する。一方、英グラクソ・スミスクライン(GSK)や英アストラゼネカ(AZ)のコロナ抗体療法は、非臨床試験の段階だがオミクロン株にも有効な可能性が分かってきた。

 リジェネロンは16日の声明で、ロナプリーブはデルタ株には有効だが、「オミクロン株に対しては活性がない」ことを発表。同株などの変異株に対応した新たな抗体療法を複数開発しており、来年1~3月中に臨床試験を始める。

 GSKの抗体療法「ゼビュディ」、AZの同「AZD7442」は、疑似ウイルスや動物などを使った非臨床段階の実験だが、オミクロン株に対して有効な可能性を確認している。AZD7442は、米食品医薬品局(FDA)が行った非臨床試験で、主な変異株すべてに対して中和活性が維持されることを確認した。

 

投稿者: 大橋医院

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