大橋院長の為になるブログ

2020.11.16更新

COVID19の味覚障害が軽視されている?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による嗅覚障害の発生率が、過小評価されている可能性が報告された。他覚的検査で所見が認められる割合は77%であるのに対し、自ら嗅覚の異常を訴える患者は44%にとどまるという。詳細は「Chemical Senses」9月29日オンライン版に掲載された。

 COVID-19が嗅覚障害を伴うことは広く知られている。ただしその頻度は報告により5~98%とばらつきが大きい。米モネル化学感覚センターのMackenzie Hannum氏らは、このようなばらつきの一因が嗅覚障害の判定手法の違いにあると考え、これまでの報告を対象としたシステマティックレビューとメタ解析を行い、判定手法による嗅覚障害発生率の相違を検討した。

 Pubmed/MedlineとGoogle Scholarを用いた文献検索により、COVID-19罹患時の嗅覚障害発生率を報告している英語論文34件を抽出。これらの論文は、2020年1月16日~4月30日に発表されており、検討対象患者数は15~7,178人の範囲にあり、総計1万7,109人だった。そのうち嗅覚障害ありと判定された患者は2~4,668人で、計8,578人だった。

 34件中28件の研究は、嗅覚障害の有無を問診などによって自覚症状から判定し、その電子カルテの記録を解析するなどの手法で嗅覚障害発生率を検討していた。その患者数は計1万6,538人で、そのうちの8,166人が嗅覚障害ありと判定されていた。変量効果モデルによるメタ解析の結果、嗅覚障害発生率は44.4%(95%信頼区間32.2~57.0)と計算された。

 一方、34件中6件の研究は、実際に臭いの試料を嗅いでもらい嗅覚を測定するという他覚的な方法で嗅覚障害を判定し、発生率を検討していた。その患者数は計571人で、そのうちの412人が嗅覚障害ありと判定されていた。メタ解析から、嗅覚障害発生率は76.7%(95%信頼区間61.4~89.2)に上ることが明らかになった。

 Hannum氏は、研究の結果を「COVID-19に関連する嗅覚障害の有無を確認するには、他覚的な手法の方が高感度である」とまとめている。論文の共著者である米カリフォルニア大学マーセド校のVicente Ramirez氏も、「COVID-19で嗅覚障害が現れるという情報は、パンデミックの初期段階では有用な情報だった。しかし、嗅覚障害の真の発生率を自覚症状のみで判定すると、過小評価してしまうことになる」と指摘している。

 Ramirez氏はまた、モネル化学感覚センターのニュースリリースの中で、「嗅覚障害の他覚的な評価は、COVID-19の早期診断に有用と考えられる」と述べている。さらに、論文の上席著者のDanielle Reed氏は、「体温を測るのと同じように、嗅覚の検査もルーチンで行われるようになる可能性もあるのではないか」と語っている。おおはし

投稿者: 大橋医院

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