大橋院長の為になるブログ

2020.09.18更新

新型コロナ・インフル同時検査薬、実用へ急ピッチで体制整備
厚労省が簡略申請を容認:

インフルエンザ流行が予想される秋冬に備え、新型コロナウイルスとの同時検査薬の使用へ体制整備が進みそうだ。富士レビオ(東京都新宿区)とデンカは1つの検体で両方を検査できる迅速抗原検査を準備。高精度に大規模処理できるPCRなど核酸増幅法の同時検査薬は現時点でないが、実用化を急ぎたい厚生労働省は簡略的な承認申請を容認する方針を固めた。国内外メーカーが相次ぎ申請する見通し。インフル・コロナ以外の病原体も含めた多項目検査ではビオメリュー・ジャパン(同港区)の製品が基幹病院に広がる勢いだ。

 迅速抗原検査キットでコロナとインフルの両方を実用化しているのは富士レビオとデンカ。医療従事者の感染リスクや作業負担を減らすため、富士レビオはコロナ検査キットの検体処理液をインフル検査にも使えることを確認し、デンカも一度の検体採取で両方を検査できるようにする。同一の検体処理液で検査する場合の「薬事手続きは不要」(厚生労働省の医療機器審査管理課)という。両社は増産も計画し、インフルかコロナか鑑別しにくい患者に対し、地域の医療機関などで初期検査として活用されそう。

 ウイルス遺伝子を検出するPCRなどの核酸増幅検査も抗原検査と並んで有用手段だ。コロナ流行を受けて大規模病院や大手臨床検査センターだけでなく、中小病院や地方検査施設にも、大型から小型までさまざまなタイプの装置が普及し始めている。核酸増幅検査は多くの検体数を精度高く判定できるのが強み。ただ、日本のインフル検査は迅速抗原検査が標準で、核酸増幅検査は限られていた。

 核酸増幅による同時検査ニーズが高いと判断した厚労省は、実用化を急ぐために開発や承認申請の指針を企業に伝え始めた。インフルウイルスの人工検体を用いた評価データで承認申請を受け付けるという内容で、通常必須の承認品と比較する臨床性能試験は市販後の承認条件とする。大掛かりな試験を後回しにできるため、企業は申請を早められる。審査期間も通常よりも短縮し、秋冬に間に合わせる構え。

 PCR検査向けの同時検査薬はスイス・ロシュの日本法人ロシュ・ダイアグノスティックス(東京都港区)とベンチャーのスディックスバイオテック(鹿児島県)が近く承認申請を提出する予定。ベックマン・コールター(東京都江東区)は開発元の米セフィエドが米国開発に着手し、日本は検討段階。東洋紡も同時検査薬の開発を検討する。杏林製薬は今年度中に小型PCR装置でコロナ以外の呼吸器感染症も検査できるようにする。

 TRC法と呼ぶ核酸増幅技術を持つ東ソーも、今年秋冬シーズンには間に合わないものの、コロナ・インフル同時検査薬の開発を視野に入れている。

 抗原検査や核酸増幅検査でも判別のつかない場合や、重症者、持病のある患者などの検査に向くのが、ビオメリューの全自動多項目遺伝子解析装置。呼吸器感染症に関連する、新型コロナやインフル、アデノウイルス、RSウイルスなど18ウイルスと細菌3種の遺伝子を同時に測定でき、治療方針をいち早く判断しやすい。今年夏に承認を得て保険適用も決まった。

 ビオメリューの装置は検査センターなどの導入はなく、集中治療室や救命救急などを備える高次医療機関、地域の基幹病院の設置が増えている。同社によると、現在の設置台数は百数十台で、今年中に200台に拡大する勢いの受注がある。

投稿者: 大橋医院

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