大橋院長の為になるブログ

2020.06.04更新

抗体検査がPCR検査に完全に取って代わることができるのか?:PCR検査は偽陰性となることが多い.

最新の「新型コロナウイルス肺炎診療ガイドライン(第7版)」では、診断確定基準に抗体検査の結果が含まれており、この抗体価の推移が診断や治療における重要な指標となりうることが記されています。

抗体検査はPCR検査に完全に取って代わることはできません。

なぜならば、感染症には“ウインドウ期”があるからです。COVID-19 の“ウインドウ期”は一般的に14日間とされます。つまり、ヒトがSARS-CoV-2に感染してから末梢血液中に抗体が検出されるようになるまで、通常は14日間を要するということを意味します。“ウインドウ期”の間は、血液中のウイルス抗体を検出することがないため、IgM抗体もIgG抗体も陰性となる訳です。この感染初期の段階でウイルスは複製を繰り返し核酸量が指数関数的に増加することで核酸検出下限に到達すればPCR検査で陽性となります。
 したがって、PCR検査はCOVID-19 を早期に発見することができるため、感染を検出するためのウインドウ期を短縮し、感染者の早期かつタイムリーな発見を容易にする訳です。

現時点の抗体検査では100%の正診率、100%の特異度は得られないため、SARS-CoV-2抗体検査においても偽陰性だけではなく偽陽性もあり得るとの客観的な事実を指摘しておかねばなりません。

ヒトがウイルスに感染するとIgGやIgMなどの特異抗体が産出されます。一般的にIgM抗体陽性とは、ウイルスが複製されて、より高い活性を持ち、感染性が強く、感染の急性期にあることを意味します。IgG抗体陽性で抗体価が高い場合は、感染が起きていることを示します。陽性でも抗体価が低い場合は、以前に感染していたか、感染の中後期、ウイルスがまだ消失していないか、感染の再発を意味します。
 理論的には、SARS-CoV-2感染の7-14日後にIgM抗体が、感染21日後にIgG抗体が検出されます。IgM抗体はIgG抗体よりも早期に産出されます。IgG抗体が出現すると濃度は上昇し続けますが、IgM抗体は消失するまで徐々に減少していきます。そして、IgG抗体は長期間にわたって存在することになります。

軽症の患者さんの中には、免疫反応の始まりが大幅に遅れることで抗体産出まで時間を要することもあります。発症から28日後に抗体陽性になることもあれば、それ以上遅れることもあります。
 つまり、抗体検査は体内で十分に抗体が産出されていない場合、検体の取り扱いが不適切な場合、検査の条件が適当ではない場合、検査キットの安定性が乏しい場合に偽陰性の結果が出る可能性があるのです。
 抗体検査でも偽陽性が出ることを認識して警戒を怠らないように細心の注意が必要です。

軽症の患者さんの中には、免疫反応の始まりが大幅に遅れることで抗体産出まで時間を要することもあります。発症から28日後に抗体陽性になることもあれば、それ以上遅れることもあります。
 つまり、抗体検査は体内で十分に抗体が産出されていない場合、検体の取り扱いが不適切な場合、検査の条件が適当ではない場合、検査キットの安定性が乏しい場合に偽陰性の結果が出る可能性があるのです。
 抗体検査でも偽陽性が出ることを認識して警戒を怠らないように細心の注意が必要です。PCR検査の信頼性の低さばかりを懸念しないこと、抗体検査について盲目的に信用しないように注意してください。

投稿者: 大橋医院

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