大橋院長の為になるブログ

2020.06.04更新

インスリン使用がCOVID-19患者の予後不良に関連か:

血糖管理にインスリンを必要とする糖尿病患者が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した場合、予後不良となるリスクが高い可能性が報告された。中国の武漢にある華中科技大学のYuchen Chen氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」5月14日オンライン版に掲載された。

COVID-19は、細胞表面のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を介して感染すると考えられている。動物実験からは、レニン-アンジオテンシン系降圧薬〔RAS系降圧薬。ACE阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)〕によってACE2の発現が増加することが示されているため、RAS系降圧薬の使用によりCOVID-19感染リスクが上昇するのではないかとの懸念がある。
 そこで本研究では、RAS系降圧薬を用いている患者の臨床転帰も検討された。その結果、RAS系降圧薬による治療を受けている糖尿病または高血圧を有するCOVID-19患者の臨床転帰は、それらの薬剤が使用されていない糖尿病や高血圧を有するCOVID-19患者と同等であった。
 以上より著者らは、「インスリンの使用はCOVID-19患者の予後不良と関連している。糖尿病がありインスリンを使用しているCOVID-19患者には、より多くの注意が必要であることが示唆される」とし、またRAS系降圧薬について、「ACE阻害薬およびARBの使用は、糖尿病や高血圧のあるCOVID-19患者の臨床転帰に有意な影響を与えなかった」と結論をまとめている。 おおはし

投稿者: 大橋医院

SEARCH

ARCHIVE

CATEGORY