わが家の門を出て歩めば春の物おもいがあふれ、春風は衣に吹きいってくる。
轍のあとにかぐわしい若草が萌え、通る人もない廃道は霞のかなたへと続いている。
足を止めてあたりを眺めると、すべての物象は晴れやかに光り輝いて、
鶯のさえずりがきこえてみる。独り歩きの寂しさは果てしない空にひろがり、
群れを離れた弧雁が北へ帰ってゆく。善悪など忘れてしまった。自分はもう60を過ぎて、老境に入ろうとしているが、
のどかな春景色はやはり柔らかく身にまつわるようで、慕わしい。そぞろ歩きながら、万物の変化に隋巡し、悠然として
芳しい春の草花に身を任せている。ワオーアイニー、中国の貴婦人。 我爱你