2020.05.19更新

禿げ頭;あれは12歳になった頃、中学校の校則で、ふさふさの髪の毛を、丸坊主、辛い気持ちはなかったけど、これも学則、諦めた。

あれは16歳おおはしになった頃、高校生で受験生、髪の毛がやっと生えそろい、医師になろうと誓ってた。ふさふさの髪の毛は嬉しいというよりも、あちこち、やたらと痒かった。

あれは20歳を過ぎたころ、医学部生で4畳半、狭い部屋に雪が舞い込んだ。寂しいというのじゃないけれど、医師に向かって医学書が妙に冷たい顔をした。

あれは26歳を過ぎたころ、研修医で白衣着て、聴診器も格好つかづ、怖い教授回診を下向きで歩いてた。床屋でリキッドつけたのも、髪を七三に分けたのも社会人とおもえてた。

あれは28歳になった頃、前j日に床屋さんで、頭をがっちり決め込んで、明日の結婚式に夢いっぱい。うれしいというのじゃないけれどなんだか、決まったヘアスタイルも窮屈そうに笑ってた。

あれは35歳になったころ、診療所長になっちゃって、ストレスいっぱい、頭頂部に禿げひとつ、不安と言うのじゃないっけれど、禿げより毎日の診療に追われてた。

あれは66歳になった頃、もうすっかり禿げ頭、妻や子供や孫にお囲まれて、床屋へ行くと言ったら、孫が爺ちゃん、どこ切るの?悲しいというのじゃないけれど、禿げは禿げなりに床屋へ行く

 

投稿者: 大橋医院