2016.11.20更新

「小生は父親である」
大橋信昭

小生は父親である。城でいう殿様みたいなはずである
それがどうなったのか?次女だけ今同居しているが、仕事は終わると
「ママ、ただいま!」である。この世に生命体として、人間として生存しているのは、ママよりパパの方が、繁殖という過程において、かなりのエネルギーを注ぎ、きっかけを作ったはずである。
 それがどういう現象であろうか?ママに日は、長女も次女も、素敵なカーネーションが届く。長女も東京から里帰りの際、「ママ、お帰りなさい」と、一直線に母親のもとへ走る。もう父親無用なのか?
娘たちと我妻はとても仲が良い。3人でひそひそ話をしているが、同級生がお茶会をやっているようなものである。
 長女はもうすぐ子が生まれる。小生は、やっと御爺さんになるのである。この長女とフィアンセの結婚も全くもってけしからない。二人の交際は、知らなかったのは小生のみである。ある日、大切なお話あると、長女から連絡があり、
婚約者を連れて行くから認めてほしいという話である。
すぐに長女はフィアンセを連れてきたが、二人の話はかなり進んでおり、彼女が医師として、病院に研修に入ったすぐに、このラグビー選手みたいながっちりした整形外科医と、すぐに恋人になったらしい。途中、母の死もあり、小生は悲しみのどん底になり、院長室に引きこもり、飲酒に悲しみを代償する日々であった。やっと、立ち直ったら、長女の結婚である。
 小生は長女の婿になる、このがっちりしたキン肉マンと、1泊二日でじっくり話し合った。喧嘩にはならぬが、話は全く2次元にも、3次元にも、共通点がないのである。まったくつまらぬ討論会となったが、20年も30年も、世代が違うから、仕方がない現象と思った。むしろ、長女をいたわり、生意気な女医の長女をよくコントロールしている。この二人を引き離すことは不可能である。すぐに結婚である。最近の結婚式は、両親というものは、子供たちに招待される御客さんで何の苦労もなかった。フィアンセの御両親は、岡山で、4代続く、医師の名門で、長男がもう医師として家の跡取りとなっており、次男のフィアンンセは整形の手術が趣味と仕事を兼ねており、休みは長女とデートをしたり、マラソン大会をしたり、うらやましい気楽さである。子供がもうすぐ生まれる、孫ができるという話も、細君からである。7月から8月にかけて、産後の休養を我が家の実家で取るらしい。その時に、長女夫婦とも仲良くなり、主役の孫ともしっかり触れ合いたい。医師である長女は首も座るか分からぬ孫を東京砂漠へ、連れて帰り、医師の修行と育児に励むそうである。婿殿の細かい優しさと寛大さがあるからこそ実現できるのであろう。
 さて次女である。薬剤師であるが、歩いて5分のところの調剤薬局に勤めている。一気に彼女の世間の評判は高まり、「お父さんにそっくりで、美人ですね。仕事もよく間に合います。」という話である。ここで、次女は大変機嫌を壊している。「お母さんにそっくりで、仕事ができます。」という話なら彼女は上機嫌なのである。仕事は忙しいらしい。小生も次女の調剤薬局に処方箋を出している。お客さんや、看護師さんから、「大橋先生の娘さんでしょ!」と言われるらしい。あっというまに不機嫌になり、疲れて帰宅するなり、「ママ、ただいま」から、小生がせっかく夢中になっているNHKスペシャルが4チャンネルに変えられる。実に一気に低級番組になり、小生は書斎へ引きこもる。次女とママの楽しい話し合いは無限に続行する。メール、電話を通して、妻、長女、次女、婿殿との連携はとても固いものである。次女にボーイフレンドがいるかどうかは全く小生には、知らされていないが、知る順番は家族の中で最後であることは予想される。
 小生は父親として、大変迫害を受けた印象を読者は持たれたようだが、誕生日にはみんなで、パーティー、プレゼント、「おめでとう」の合唱は聞かされるのである。お互いの都合のよい日曜日には、外出する。小生のお気に入りのベンツでドライブし、デパートで彼女らは、好きなだけ買い物をし、小生は座っているだけで高級料理が運ばれる。後片付けもしない。そんなときの彼女たちはとても機嫌が良い。しかし、請求書は小生の前に集められる。
 彼女たちの、ショピング、食欲が満たされると、帰路の車中は静かなものである。
こんな我が家であるが、幸福であると思う。いつまでも笑顔の絶えない我が家を作りたい(完)

ちおや

投稿者: 大橋医院