2014.05.13更新

彼はサリドマイベイビーで生まれた。生まれつき四肢がなく、
生涯、寝たきりの生活を運命づけられていた。
彼も年を取り、介護施設の入居者になっていた。
胴体だけで、寝ているだけ、排尿、排便、食事、すべてに介護が必要であった。
しかし、彼もよくおこり、よく笑い、車椅子で外を散歩するときは、上機嫌で笑顔で元の顔がわからなくなっていた。
そんな彼も恋をした。いつも優しく介護してくれるナースである。
年齢不詳であるが、その笑顔は天使のようで、甘い声であった。
IQもしっかりしている彼は、欠損した手足では、恋を打ち上げることができなかった。
彼女が部屋に入ってくると、淡々とナースの仕事をするのだが、彼は心臓が破裂しそうであった。
あるとき彼は100%の勇気をもって「好きです」と告白した。ナースには通じなかった。
彼は、彼女への熱い思いが、空しく、無意味であり、70年以上強いられた四肢のないベット上の生活を恨んだ。
ナースの介護により、彼は彼女の吐息や、皮膚が触れ合うのが、たまらなく、抱擁したかったが、不可能であった。
この先も、彼は医日ある限り、彼女への求愛をどう表現してよいか、眠れぬ日が続いた。
ある日、高熱が発生し、嘱託医や彼の恋するナースにより病院搬送後、急死した。
神様は残酷にも彼の死により、彼女の恋を断ち切った。
今日も、平凡な介護生活が続いている。空しい話であった。

岐阜県大垣市の大橋医院は、高血圧症、糖尿病、や動脈硬化症に全力を尽くします。

投稿者: 大橋医院