2026.04.09更新

<喫煙の弊害> 大橋医院 大垣市 大橋信昭
喫煙は「防ぎうる病気の原因の最大のもの」と言われています
 現在、全世界で年間500万人、わが国でも11万人以上が喫煙関連の病気で死亡しています。病気のいくつかを例示しますが、ほかにもたくさんあり、枚挙にいとまがないほどです。
ニコチンの作用による害
 喫煙で摂取される量のニコチンには、脈拍を増やし血圧をあげる作用があります。また禁煙は一般に難しいものですが、ニコチンのもつ依存性が原因です。
こんなにある! 喫煙に関連するおもな病気
がんになりやすい
 喫煙者は非喫煙者にくらべ、男性では4.5倍、女性では2.3倍、肺がんで死亡するリスクが高いのです。また男性の場合、喉頭がんで死亡するリスクが32.5倍という結果が出ています。ほかにも食道がん、膀胱がんなど、いろいろながんにな
りやすい。
呼吸器がおかされる
 人は加齢とともに肺の働きが低下しますが、喫煙者ではそれがより急速です。喫煙者はいつもセキ払いをし、慢性気管支炎といわれる状態にあります。また慢性閉塞性肺疾患※にかかりやすく、その結果、息がきれ、酸素不足(慢性呼吸不全)になります。さらに、喫煙すると気管支喘息を悪化させ、肺炎や肺結核などにかかりやすくさせることが知られています。
 ※慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは...気管支に慢性的な炎症を起こし(慢性気管支炎)、肺がしだいにこわれていく(肺気腫)ため、呼吸困難となる病気です。これによる死亡率は増加しており、原因として喫煙との関連が強いことがわかっています。
動脈硬化を促進、ほかにも...

投稿者: 大橋医院

2026.04.09更新

心音とは、心臓の中にある「弁」が閉じるときに発生する、「ドックン」という短い音のことです。
心音とは、心臓の中にある「弁」が閉じるときに発生する、「ドックン」という短い音のことです。心臓はポンプのように収縮と拡張を繰り返して血液を全身に送っています。心臓の中には、血液が逆流しないようにするための「弁」があり、これがドアのように開閉します。

心音は、主にこの弁が勢いよく閉じる時の振動で鳴る音です。 健康な人では「ドックン」というリズムで聞こえます。最初の「ドッ(Ⅰ音)」は心臓が縮んで血液を送り出す時、次の「クン(Ⅱ音)」は心臓が広がって新しい血液をためる時に、それぞれの弁が閉じる音です。

投稿者: 大橋医院

2026.04.09更新

「睡眠薬を飲むと認知症になるからやめておいた方がいいでしょうか?」睡眠薬に関する心配として患者さんから質問され、週刊誌などでも「認知症のリスクを高める」などという記事をときどき見かけます。実際のところ睡眠薬と認知症の関係はあるのでしょうか。
現在病院で処方されている睡眠薬には大きく分けて3種類(ベンゾジアゼピン受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬)ありますが、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬は2010年以降の発売なので、睡眠薬と認知症の関係で調査されているのはベンゾジアゼピン受容体作動薬がほとんどです。フランスで行われたある調査では、平均78歳の住民1000人以上を対象にして最長15年にわたり追跡した結果、睡眠薬を服薬していた高齢者では4.8%、服用していなかった高齢者では3.2%が認知症を発症しており、1.5倍のリスクがあったというものでした。しかし、同じような方法でおこなった他の調査では睡眠薬は認知症のリスクを高めないとするものも複数あり、睡眠薬と認知症の関係はまだはっきりしていないというのが現状であると考えられます。
さらに、ここ5年間ほどの研究によって、睡眠不足や不眠症そのものが認知症のリスクを高めるという強力な証拠が続々登場してきています。このような結果から考えられることは、不眠に悩んでいる方は睡眠薬をやみくもに怖がって不眠を我慢するのではなく、まず不眠を起こしやすい生活習慣の見直しをおこなった上で(生活習慣の見直しは睡眠衛生指導と呼ばれています。もう少し積極的な薬を使わない治療として認知行動療法と呼ばれる治療もあります)、必要があればできるだけ少量の睡眠薬を使用して、不眠が改善したら減量・中止していくという対応が現実的ではないでしょうか。

投稿者: 大橋医院

2026.04.09更新

脾臓は左上腹部、胃の外側から裏側にあります。重さは120グラムぐらいです。


脾臓の主な働きは、老化した赤血球を破壊し、除去することです。健康な赤血球は脾臓内の網目構造をすり抜けますが、老化あるいは変形した異常赤血球は脾臓内に引っ掛かり、破壊されます。また、脾臓は血小板の貯蔵庫としての働きもあります。通常、脾臓は全血小板数の約3分の1を貯蔵しており、必要に応じてこれを放出します。また、脾臓内にはリンパ球が沢山あり、体内で最大のリンパ器官とも考えられています。このため、免疫機能とも深い関係があります

 

投稿者: 大橋医院

2026.04.08更新

67番の女神散は女性の救世主です。

のぼせとめまいのあるものの次の症状に著効します。

産前、産後の神経症、月経不順、血の道症、

一日、7.5grを食前、食間に内服します。

体力中等度、あるいはそれ以上の人で、

のぼせ、めまい、があり、不安、動悸、不眠、精神不安、

慢性で多彩な症状を訴える場合、性周期に伴ってあるいは産前産後に症状を打ってる場合

更年期障害にも適応があります。是非お求めください。

投稿者: 大橋医院

2026.04.08更新

<黒澤明と三船敏郎>  大橋信昭
三船敏郎は中国大陸から引き揚げ、東宝映画のカメラマンにでもなろうと、入社した。どこが運命なのか、東宝ニューフェースとして俳優養成所に入った。極めて態度の悪い男で面接の時に、審査員から「笑ってみろ!悲しんでみろ!」と命令されたが三船は「面白くも悲しくもないのにそんな馬鹿な真似ができるか!」とお偉方を睨みつけた。あまりにも態度が悪く、解雇直前であった。しかし、審査員であった黒澤明は「面白い男だ!使ってみようじゃないか!」三船は不愉快ながらにも映画スターになった。彼は数多くの黒澤映画に出演したが、笑ったことがなく、怒鳴るか、怒り狂う役が多かった。「無駄口をたたくな!」「哀れな奴は大嫌いだ」「貴様,たたっきるぞ!」こんなセリフばかりである。しかし、彼は実は映画に取り組む姿勢は超エネルギッシュで、セリフは完全に自宅で覚えてきており、台本は現場にはなかった。彼の剣さばきは超素晴らしいものがあった。私は当時ビデオがなく、黒沢、三船のリバイバルをやる映画館を新聞で見つけると必ずどんな遠方でも見に行った。「酔いどれ天使」昭和23年で、志村喬の朝から酔っぱらっている医師がやくざで結核患者の三船との格闘映画である。翌年昭和24年、「野良犬」では新人刑事の役を三船が真夏の炎天下を白いスーツ姿で犯人(木村功)を追い詰める作品である。黒澤はどんなミスも許さなかった。一年に一本のペースで三船を世界の三船にのし上げた。「羅生門」は昭和25年に上映され、芥川龍之介の”羅生門”と”藪の中“を合作した作品であった。日本では全く受けなかったが、欧米では大好評のベネチア国際映画祭で金賞、アカデミー賞で名誉賞を受賞し、黒沢は「これからはいい加減な映画は作れなくなった!」顔色を変えた!盗賊の多襄丸を三船が演じ、黒沢は三船に「豹のように動け」と命令し、京マチ子とのキスシーン,カメラマンは有名な宮川一夫で、太陽に逆行のカメラを向けた。そしていよいよ「七人の侍」である。時は戦国、百姓を野武が襲うことを知り、百姓が侍を雇い、堂々と野武士の集団を全滅させる長編映画、痛快、丸かじりである。この作品は一年以上もかかり、フィルムも手間も製作費も膨大で、東宝は「黒澤君、本当にできるのか」と顔を青くした。黒澤はにっこり「心配するな」映画時間は207分、1954年4月26日公開、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した。最後の百姓と6人の侍(一人の侍は野武士に鉄砲”種子島”に命を落とした。)と野武士集団との決戦は雨の設定であった。黒澤の命令で薄曇りの天気を待ち、大量の水に墨汁をつけ、雨の土砂降りの猛烈な決闘シーンを再現した。三船の剣さばきは抜群であった。
結局3人の侍になり最後に志村喬が「また、負け戦であった。勝ったのは百姓だ!」のラストのセリフは印象的であった。黒澤明と三船敏郎はその後も「蜘蛛の巣城」「悪い奴ほどよく眠る」と制作し、「隠し砦の三悪人」も超ド迫力のパノラマ映画で私はびっくりした。
「用心棒」は巨大な山が最初に移り三船の背中姿がぴったり重なり、やくざで腐敗した街に命を懸けて平和な街にする話だが、ロープで縛られた酒屋の経営者を一刀両断で開放し、「この待ちもこれですっきりするぜ!あばよ!」とくるりと背中姿を見せ早々と町から出ていくところで終わりになる。「椿三十郎」も、ある藩の汚職事件に絡み、解決し、わるい大目付の懐刀と、大迫力の決闘シーンには言葉が出なかったし、強烈に驚いた。昭和38年に「天国と地獄」が公開された。運転手の子供を自分の子供と間違えて誘拐されたこのために身代金を全財産、犯人に奪われ、破産した権藤(三船)は小さな靴工場に雇われ再起を図っていた。捕まった犯人は余罪もあり、死刑が決まっていたが、刑務所の鉄で仕切られた網戸越しに討論するのであった。権藤を地獄に落とそうと計画していた犯人はすっかり立ち直った権藤氏を見て、「俺は何をしていたのだ?死刑なんか怖くない!」と網戸に狂ったようにしがみつきその映画は終わった。強烈なラストシーンであった。三船と黒澤の最後の共同作品「赤ひげ」は三船が理想的な医師像を演じており、貧乏で無知で、哀れな人たちを救っていった。長崎に留学していた保元登も赤ひげに魅惑され、小石川療養所に生涯をささげる決心をした。三船演ずる赤ひげ:新出去定は、数々の名言を残したが、私が忘れないのは、12歳の女子を売春宿から療養所に力づくで助け出し、「わからぬ!何故、こんな幼子がこんなひどい目に合わなければいけないのか?この子は体も病んでいるが心が火傷のようにただれているのだ。
保本!これはお前の最初の患者だ!しっかり治して見せろ!」と吠えるように療養所に入っていった。前半のラストシーンだが、この女の子と保本と赤ひげの格闘は涙が出る。この作品は文部省推薦作品で中学校の時に映画館で学校が見せてくれた。山本周五郎原作の名作を黒沢,三船は見事に演じきった。これで三船と黒澤監督の最後に共演作となった。思い出深い作品だ。
三船敏郎は1997年12月24日に無くなりまだ70歳であった。
黒澤明は1998年9月6日に昇天した。88歳で没した。

投稿者: 大橋医院

2026.04.08更新

<小生の雑談>  大橋信昭
小生も、とうとう70歳代の盛りになり、早寝早起きを無理にせねば、80歳代まで命があるか保証できない。夜は10時から11時に布団に入って寝る努力をする。ところが、寝るのが下手で、すぐに寝むれるときと、なかなか眠られずにとうとう睡眠薬を飲むときもある。高齢者になった小生は早起きである。午前4時から5時、早くに眼が覚めてしまう。臆病な小生は、早々仏壇に行きご先祖様にお祈りをする。今日、一日災いがなく、健康で、医師として立派な、医療行為をして多くの患者さんを幸せにできますように!南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!できるだけ多く南無阿弥陀仏を唱えると、法然、親鸞、蓮如さんの言うことには、平和な一日が遅れるそうである。小生は患者さんの命を守る大切な仕事であり、医学の勉強を怠り、いいかげんな診察をしたら、患者さんを不幸に、地獄におとしめるからである。そして、お祈りが終わったら、ラジオ体操第一、第二とする、そしてスクワット、腹筋運動、腕立て伏せ、エルゴメーターとひと汗流す。もうシャキッとする。そして朝飯を食べる。朝飯は365日、ご飯に納豆、豆腐、ゆで卵とコーヒーを飲む。飽きないのである。ちなみに昼飯はカレーライスかサンドイッチを一日おきに食べる。午前9時からの外来なので、すこし時間がればインターネットでニュースを見て、書斎で読書をする。小生は、時間と体力を費やしたのは、ドストエフスキーの罪と罰,カラマゾフの兄弟、パールバックンの大地、70歳になると、若い綺麗な女性は小生を男性と認識してくれなくなり、助平だがこの老体と醜さではあきらめざるを得ない。自然化学、宗教、最近、量子力学、特に光学にはかなり努力して勉強している。小生は話し好きであり、友人と話し込んだら長い!外来の患者さんとも診療時間が長い。患者さんは、病気を治してくれと来て来院しているが、それは半分、漫談、エッチな話にそれる。これも仲の良い患者で軽症に限る。気難しい人と重症の人には真剣に医療行為に専念する。小生は昔、大酒のみで、酒癖が悪く、多くの人に迷惑をかけ、午前様で、どうやって家に帰り布団に入ったか、記憶がない事が多くあり、初孫ができたとき、酔っ払って、弱々しい大切な生まれたての赤ちゃんに乗っかっかていたことがり、かなり苦労して禁酒をした。恋も愛も関係がなくなり、家族には良いお爺さんであることを務めている。お釈迦様がお迎えに来るまで、あと何年か分からないが、家庭医として最大限の努力をするつもりである。(完)

投稿者: 大橋医院

2026.03.31更新

わが国の高齢化率はすでに26%を超え、2050年には40%に達すると予想されています。このような人類がかつて経験したことがない未曾有の超高齢社会において、医療はいかにあるべきかを、すべての国民が真剣に考えていく必要があります。国も社会保障制度改革国民会議の報告を受け、医療・介護・福祉の在り方を抜本的に改革するよう取り組んでいます。
 一方、わが国の医師数は現在約31万余人を数えますが、そのなかで日本内科学会は会員数約11万名を擁し、国内の医学系学会では最大の規模となっています。
 今後、進展する超高齢社会を前に、全医師の3人に1人にのぼる多数の医師が所属する日本内科学会が果たすべき役割と責務がますます重くなることを認識し、日本内科学会がいかに貢献すべきかを検討して参りました。

 本来、内科学とは最初に患者に寄り添う学問であり、臓器を特定せず、さらには患者の心理・社会的側面をも考慮した全人的医療を目指すものです。日本内科学会では、100年を超える講演会事業や学術誌刊行事業、そして、約50年になる認定医制度(専門医制度)事業などを通じて、全人的医療の発展とそれを担う内科医の育成に積極的に取り組んで参りました。
 一方、医学・医療の急激な進歩とともに、内科領域では臓器別医療が脚光を浴びるようになるにつれ、日本内科学会は専門分化する内科系臓器別専門学会が集合する、あるいはそれを集約する役割を帯びるようにもなってきました。内科の各臓器別専門学会と連携・協力することは、日本内科学会の重要な任務のひとつです。人は単なる臓器の集合体ではないことから、内科は患者の全身を診て、社会的背景やクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)にも配慮した全人的医療を行うという、内科学の本来の姿を見失ってはなりません。
 この趣旨を踏まえ、日本内科学会と関連する内科の各臓器別専門学会は質の高い内科医の育成のために、専門医の二段階研修(内科全般にわたるジェネラルな一段階目の研修を終え、各専門科研修へと深化していく二段階の研修制度)に長年取り組んで参りました。

 超高齢社会を迎えた現在、高齢者の多くは多臓器にまたがった疾患を抱えていることに改めて留意する必要があります。このような高齢者の疾患の特徴を踏まえると、臓器横断的に全身を診ることができる内科医の育成は、今まで以上にニーズが増していくと考えられ、社会からもその方向への改革が求められています。医療の現場においても内科医はその特性として臓器別専門医の専門性を維持しつつも、疾病を持った患者さんの全身を横断的・俯瞰的に診ることが求められます。新しい専門医制度に向けて、日本内科学会は研修体制を見直して充実を図っておりますが、その背景はここにあります。
 以上を踏まえ、超高齢社会が進展するわが国の現状を鑑みると、日本内科学会の果たすべき役割と責務は、内科学の総合的な力をもって超高齢社会を支えることに他なりません。そこで日本内科学会はその本来の原点に立ち返り、以下の宣言を行います。

 

 日本内科学会は進展する超高齢社会の医療を支えるため、ひとりひとりの生活の質に配慮し、全身を診る、臓器横断的な診断治療を行える内科医の育成に努めます。

 

 この目的のために日本内科学会は、内科医の一層の質の向上に向けた新しい専門研修プログラムの充実や、より質の高い医師生涯教育の普及等の活動を通じて、「より良い内科医」の育成を図っていきます。また、これから国全体で本格化するであろう地域医療への取り組みにも積極的に参画していく所存です。

投稿者: 大橋医院

2026.03.30更新

魚タンパク質の摂取は腸の機能にどう影響する?

 関西大学は2月18日、魚由来タンパク質の摂取が加齢に伴う短期記憶の低下を予防する効果についての研究成果を発表した。この研究は、同大化学生命工学部の細見亮太教授、福永健治教授および関西医科大学医学部衛生・公衆衛生学講座の村上由希講師らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。

 これまでの大規模なコホート研究で日本食や地中海食を中心とした食生活が、認知症の発症リスクを下げることがわかってきた。特に日本食の中でも、魚をたくさん食べる人ほど認知症になりにくいことが明らかになっている。魚が認知症予防に良いのは、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)といった「オメガ3系脂肪酸」という成分によるものと考えられてきた。この成分には血液をサラサラにしたり、血管の健康を守る効果があったりすることはよく知られている。脳機能に対する有益な効果も報告されているが、魚を摂取した際にみられる脳機能への効果がDHA・EPAだけで説明できるかはまだ明らかではない。

 そこで研究グループは、魚に含まれる脂肪酸だけでなく、主要栄養素のひとつである「タンパク質」にも注目。これまでの動物実験では、脂肪酸よりもタンパク質摂取による短期記憶低下の予防効果が高いことを明らかにしてきたが、魚タンパク質の摂取がどのように脳機能維持に関わっているのかは明らかになっていなかった。

 一方で、近年の研究から加齢に伴って腸内環境が悪化することで腸バリア機能が低下し、体全体に起こる炎症が老化に関係していることが注目されている。また体の炎症が脳にも炎症を引き起こし、認知機能の低下につながる可能性があることがわかってきている。このことから、魚タンパク質の摂取が腸の機能にどのような影響を与えるのかを明らかにすることで、脳機能維持の仕組みがわかると考えた。

老化が早く進むマウスで、魚タンパク質摂取による短期記憶・腸内環境など調査

 今回の研究では、老化が早く進むマウス(SAMP8)と正常老化を示すマウス(SAMR1)にスケトウダラ由来のタンパク質(APP)を含んだ餌を5か月間給餌し、Y字型迷路試験によって短期記憶を評価した。また腸内環境を調べるために、糞便中に含まれる腸内細菌叢の解析を行った。さらに脳における炎症を調べるために、記憶に重要な海馬における炎症関連細胞の組織染色を行った。

APP摂取SAMP8マウスは短期記憶を維持・腸内細菌叢が変化

 Y字型迷路試験の結果、APPを食べたSAMP8マウスでは対照食を食べたSAMP8マウスに比べて、短期記憶が維持されていることがわかった。APPを摂取したSAMP8マウスで腸内細菌叢が変化し、対照食を摂取した群では中枢神経の炎症を促進することが報告されているErysipelotrichaceae科が有意であったが、SAMP8+APP群では酪酸産生菌であるLachnospiraceae科が有意になっていた。また、肝臓でのリポ多糖結合タンパク質(LBP)の遺伝子発現量が有意に低下していた。

APP摂取により、ミクログリアやアストロサイトの陽性反応が低下

 さらに脳での免疫組織染色を行った結果、脳で炎症に反応して活性化するミクログリアやアストロサイトの陽性反応がAPP摂取によってSAMP8マウスで有意に下がっていた。

脳腸相関効果が関係の可能性

 以上より、老化促進マウスSAMP8において、魚タンパク質摂取は短期記憶の低下を予防した。この仕組みには、「腸と脳の関連(脳腸相関)」による効果が関係していることが示された。具体的には腸内環境を整え、脳における炎症を抑制することで、神経細胞の構造損傷を軽減し、老化に伴う短期記憶低下を予防している可能性を示した。

加齢による認知機能の低下を防ぐ仕組みの一端を明らかに

 今回の研究は、魚を食べることの健康効果について科学的根拠を示すものである。また、日本人にとって重要なタンパク質源のひとつである魚の摂取が腸内細菌のバランスを整え、腸管バリア機能を高めることで、加齢による認知機能の低下を防ぐ仕組みの一端を明らかにした、と研究グループは述べている。

投稿者: 大橋医院

2026.03.27更新

CKM症候群とは
AHAが新しい疾患概念として提唱した背景
AHAが新たに提唱したCKM症候群とは、どのような疾患概念なのでしょうか。AHAがこの概念を提示した背景とともに教えてください。

 CKM症候群(心血管・腎・代謝症候群)とは、その名の通り、「心血管疾患、腎疾患、代謝疾患は別々に起きているのではなく、相互に増悪し合いながら進行する連関した病態である」として、改めて整理し直した概念です。名前の順と逆に考えると分かりやすいと思います。生活習慣の乱れを起点とした内臓脂肪の蓄積を中心とするメタボリックシンドロームがあり、高血圧や高中性脂肪、高血糖などが起こってきます。そのうち、病気として発症はしないものの動脈硬化が進行し、腎機能も低下してきます。そして、最後に心血管疾患になっていきます。このように長いスパンの全身性の病態として捉えて、早期から介入、継続管理していくことが重要なのです。

 AHAが2023年にこの概念を提唱した背景には、肥満・代謝異常保有者の増加に伴って、心疾患などのイベントリスクが増加している中で、診療が臓器別に分断されていると、早期のリスクが見逃されやすくなるという懸念が挙げられると思います(Circulation. 2023; 148: 1606-1635.)。また、早期に介入して生活習慣の乱れを改善することで将来のリスク軽減が可能なことに加えて、リスクを抱えた人に臓器横断的に作用する薬物が登場してきたことも大きいと思います。

心血管疾患、腎疾患、代謝疾患をそれぞれ個別ではなく、重複した病態として扱うことの臨床的な意義はどのような点にあるのでしょうか。

 個別疾患ではなく、CKM症候群として診療を行う最大の意義は、診療時の検査値だけでなく、将来の進行を見据えた予防医療につなげられる点です。

 例えば、糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬は服薬開始時に腎機能が少し低下しますが、あくまでも一時的なもので、経過とともに回復します。このため、腎機能が保たれている早期の段階であれば、必要な患者さんに問題なく処方できます。しかし、すでに腎機能がかなり低下してしまった段階になると、少しのeGFR(推算糸球体濾過量)の低下でも透析に直結することになるため、有効な治療手段と考えられても処方を躊躇することになります。

 先日診察した外来患者さんにもいらっしゃいましたが、「気が付いた時には病態が進行した状態」といったケースが、CKM症候群という連関した病態として扱うことで減少することが期待できます。

 軽度の肥満や境界型糖代謝異常であっても、腎機能や血圧、脂質などの悪化が組み合わさると、動脈硬化性疾患や心不全、心房細動のリスクは加速度的に高まります。現状では保険適用上の問題がありますが、CKM症候群としてまとめて捉えることで、体重管理、生活習慣の指導、血圧・脂質・糖代謝を是正して、心・腎・代謝を同時に守る戦略を立てやすくなると考えています。

 2023年にAHAが出した論文の中でも、ライフスパンで捉えることや、若年時からリスク評価を行い、患者教育をしていくことの重要性が強調されており、長い時間軸で病態を捉えることがCKM症候群のポイントです(Circulation. 2023; 148: 1606-1635./Circulation. 2023; 148: 1982-2004.)。

投稿者: 大橋医院