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第59回 日本成人病(生活習慣病)学会 印象記 -Vol.1

第59回日本成人病(生活習慣病)学会に参加して――超高齢社会における生活習慣病診療を俯瞰する
大西由希子(朝日生命成人病研究所附属医院)

ドクター寄稿2026年1月30日 (金)配信 一般内科疾患内分泌・代謝疾患一般外科疾患
ポスト
 日本成人病(生活習慣病)学会は、生活習慣病を中心に、循環器、代謝、腎、神経、がんなど内科や外科領域と幅広い分野を横断して議論する学術集会である。公式ホームページにも示されている通り、本学会は成人病(生活習慣病)の予防・診断・治療・管理を総合的に考えることを目的としており、特定の専門領域に偏らない点が大きな特徴である。

 第59回学術集会の会長は、富山大学学術研究部医学系内科学(第二)講座の絹川弘一郎教授が務められ、「超高齢社会の中でいかに生活習慣病と向き合うか」をテーマに開催された。

 日常診療において高齢患者の比重がますます高まる中、まさに現在の臨床現場を映し出すテーマであり、糖尿病診療に携わる立場からも多くの示唆を得る機会となった。

 普段は自らの専門領域を中心とした学会参加が多いが、本学会では循環器内科、腎臓内科、腹部外科、神経内科など、自身の専門領域以外の先生方による教育講演やシンポジウムを聴講できる点が非常に魅力的である。他領域における医療の進歩や考え方を体系的に学ぶことができ、自身の診療を相対化する良い機会になっている。

教育集会「まとめて学ぼう! 生活習慣病関連のガイドライン」
 教育集会「まとめて学ぼう! 生活習慣病関連のガイドライン」では、高血圧、CKD、動脈硬化性疾患予防に関する各種ガイドラインのエッセンスが整理され、総復習として非常に有用であった。

 特に印象的であったのは、各分野の専門家から、ガイドラインが策定されるに至った背景や議論の過程について解説があった点である。書物としてガイドラインを読むだけでは理解しにくい「なぜその推奨に至ったのか」という文脈を知ることで、日常診療における解釈や応用が格段に深まると感じた。

 また、「包括的リスク管理チャート2025」というツールを知ることができたのも大きな収穫であった。自身のスマートフォンに登録しておくことで、外来診療中でも迅速に参照でき、複数のリスク因子を考慮した判断が求められる生活習慣病診療において、実践的に活用できる有用なツールであると感じた。

日本成人病(生活習慣病)学会の教育的価値
 一般演題では若手医師による発表が多く、学会全体に活気があった。座長の先生方が聴衆に質問を促す場面も多く見られ、活発な質疑応答が行われていた。若手にとっては、発表経験のみならず、他者の研究に対して的確な質問を投げかける力を養う良い訓練の場になっていることも、本学会の教育的価値の一つであろう。

 高齢者医療に関しては、依然として課題は多いものの、健康寿命の延伸により、これまで年齢のみを理由に治療対象外とされていた患者が、積極的に治療を検討される時代になっていることを改めて実感した。筆者が医師になった当初であれば、手術や化学療法が見送られていたであろう高齢のがん患者に対して、現在では治療の選択肢が議論されている現状は、医療技術の進歩のみならず、医療者の価値観の変化を反映していると感じた。

 さらに本学会の中で企画されている産業医講習会を受講すると2単位が取得できる。生活習慣病を総合的に学びながら、産業医更新に必要な単位も同時に取得できるという点で、臨床医にとって非常にありがたい学会であるといえる。

 生活習慣病の診療は、今後ますます高齢者医療と密接に結びつき、単一疾患・単一臓器の管理から、包括的・横断的な視点が求められる。本学会は、そうした時代の要請に応える形で、専門領域を超えた学びと実践的な知見を提供してくれる貴重な場であり、今後も参加したい学術集会である。

投稿者: 大橋医院