2025.08.18更新

アルツハイマー病のリスク因子は、20代半ばからの認知機能と関連するという研究結果が、「The Lancet Regional Health: Americas」5月号に掲載された。

 米コロンビア大学のAllison E. Aiello氏らは、アルツハイマー病のリスク因子が中年期以前の認知機能と関連しているかどうかを検討するため、思春期から成人期の健康状態に関する全米縦断研究(National Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health;Add Health)のデータを用いて解析を実施した。対象者は1994~1995年に7~12年生で登録され、2018年まで追跡された。第4次調査(26~29歳)と第5次調査(36~39歳)の重み付け調査データとバイオマーカーデータが横断的に解析された。年齢、教育、性別、収縮期血圧、BMI、コレステロール、身体活動、アポリポ蛋白Eε4アレルの状態から構成される、心血管リスク因子・加齢・認知症発症(CAIDE)スコア、および各種血液バイオマーカーが測定された。

 解析の結果、CAIDEスコアは、第4次調査における全ての認知機能測定値と関連した。例えば、24~34歳の成人において、CAIDEが1ポイント増加することは、数字の逆唱スコアの標準偏差が0.03低下することと関連した。総タウタンパク質と第5次調査における即時単語想起には関連があった(β=-0.13)。第4次調査における高感度C反応性蛋白、インターロイキン(IL)-10、および第5次調査におけるIL-6、IL-1β、IL-8も、認知機能スコア低下との関連が認められた。

 Aiello氏は、「われわれの発見の潜在的な影響は大きく、臨床医および医療研究者に、アルツハイマー病リスク因子の早期出現や中年期以前の認知機能との関連性について、より明確な理解を提供するだろう」と述べている。

投稿者: 大橋医院