肺高血圧症の診療は、近年著しい進歩を遂げており、循環器領域の中でも最も変化の激しい分野の1つといえる。かつて、原因不明の肺高血圧症はprimary pulmonary hypertennsionnと非tくくりでまとめられ、限られた専門医のみが扱う希少病とされ、有効な治療法がない時代が続いていた。現代では多くの病態の解明が進み、臨床医に認知されるようになり、診断.選択肢もおおきくひろがっている。そのため、日常診療の中でも扱う,機械は増加している。
特に肺動脈性高血圧症(PAH)は及び慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の分野では病院お解明と共に治療法の進歩が著しく、プロスタサイクリン経路、エンドセリン経路、一酸化窒素経路に基づく薬剤の登場により、患者の予後は大きく改善されている。
CTEPHにおいては、外科的手術に加え、肺動脈のバルーン形成術(BPA)や内服薬の導入により治療の幅が広がり、QOLの向上のも可能となっている。これらの進歩は、病態理解の進化や薬剤開発に加え
診療ガイドラインの整備や専門医の育成、研究会の活性化など、医療全体の成熟を反映したものといえる。
一方、肺高血圧症では複雑系疾患であり、病態の理解には多角的なアプローチがひつようである。遺伝性疾患や個別改良の視点を採り入れた研究が進められており,BMPR2遺伝子変異などの発見は病院解明に大きく貢献している。また画像疾患や右心カテーテル検査などの技術も進化し、より正確な病態解明が可能となっている。


