2025.07.07更新

厚生労働省が5年ごとに発表する「食事摂取基準」で、2010年までコレステロール摂取量の目標値(成人男性は1日750mg未満、成人女性は1日600mg未満)があったため、コレステロール含有量の多い(210mg/個)鶏卵は「1個/日まで」という事になっていました。

しかし、この目標値は2020年度に削除されています。
理由としては、食事中のコレステロール摂取量と、血中コレステロールが相関しないのでは? という疑問があるからです。
2013年にアメリカ心臓病学会(AHA)及び、アメリカ心臓協会(ACC)が2013年にコレステロール摂取量を減らしても体内のコレステロール値を低下させるのかについて明らかなエビデンスが無いと発表しています。
一方で、卵摂取はわずかにコレステロールを上げるというシステマティック・レビューもあります(J Am Coll Nutr. 37(2):99-110. ,2018)

血中コレステロールを下げたい理由は心血管リスクを下げたいからですが、6個/週までは心血管リスクを低下させるとのメタ解析研究(Eur J Nutr. 2020 Aug 31)もあります(この研究の中では、7個/週以上で心不全リスクが上昇するとの結果もありました)。

コレステロールを含め、栄養におけるエビデンスは未だ発展途上であり、これまでの純粋素朴な「食事したものは体内に吸収される」という事を前提にした議論はされなくなってきています。
鶏卵についても同様です。西洋科学的には不明です。

投稿者: 大橋医院