大橋院長の為になるブログ

2021.09.16更新

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の重症化・挿管の予防に効果が期待される「腹臥位ゴロゴロ療法」。みさと健和病院(埼玉県)の救急総合診療科副部長・自治医科大学附属さいたま医療センター集中治療部病院助教(非常勤)の増山智之氏へのインタビュー後編は、腹臥位療法がCOVID-19の呼吸不全・低酸素血症に効くメカニズムなどについて聞いた。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・坂口恵/2021年9月3日取材、全2回連載)

腹臥位がなぜ肺保護に効くのか
想定される3つのメカニズム
――腹臥位療法が肺保護に働くメカニズムについて教えていただけますか。

 今のところ、肺保護には3つのメカニズムが寄与していると考えられています。1つ目は腹臥位をとることによって腹側から背側にかけて肺にかかる圧が均質化すること、2つ目は換気血流比(V/Q、肺循環血流量に対する肺胞換気量の割合)のミスマッチとシャント(肺胞内で完全に酸素化されずに肺を通過する血流)の減少による酸素化の改善、3つ目は呼吸ドライブの減少による経肺圧較差の減少です。

 一つ目のメカニズムが最も肺障害の抑制に寄与していると考えられています。2つ目のV/Qミスマッチとシャントの減少は、酸素化の改善に寄与し、結果的に気管挿管の必要性が減少すると考えられます。3つ目の呼吸ドライブの減少は今回のメタトライアルでも、腹臥位療法により呼吸回数の減少に関するデータが示されていましたが、実際に病棟の患者さんに聞くと「腹臥位になった方が、呼吸が楽になる」とおっしゃる方が多くいます。これがデータ上の「呼吸回数が減る」ことにつながっていると思います。というのは、人間は呼吸が苦しいと大きく、強く呼吸をしてしまいます。そうすると肺にかかる圧(経肺圧)が大きくなるのです。

 また、最近、集中治療領域で注目されている新しい概念として「自発呼吸誘発性肺傷害(patient self-inflicted lung injury:P-SILI)」というものがあります。人工呼吸器関連肺障害(ventilator induced lung injury:VILI)はよく知られていると思いますが、人工呼吸器が肺障害を起こすように、患者さんの強い呼吸ドライブや呼吸の大きさが肺障害を起こすメカニズムが指摘され、COVID-19パンデミックでさらに注目されるようになりました。腹臥位によって呼吸ドライブが減少することでP-SILIが減少して結果的に肺障害の進行が抑制される可能性が考えられています。これは先の2つのメカニズムに比べると、まだ裏付けが少なくて「可能性」の域を出ないのですが。

腹臥位で心臓や肺による背側への荷重が軽減
――呼吸が苦しくなって、呼吸のために努力することで肺が傷つく可能性が指摘されるようになっているのですね。とても興味深いです。

 腹臥位が肺障害を軽減する一番のメカニズムについて、少しでも詳しく理解していただけると、患者さんや医療者の腹臥位療法へのモチベーションが高まると思います。腹臥位により肺にかかる圧が均質化するというのは、1つ目は重力の影響です。人間の胸部には心臓がありますよね。心臓は結構重いので、上向きに寝ていると心臓の後ろ側の肺はある程度つぶれます。それに肺そのものの重さもあるので、上向きに寝ると当然背側の肺はつぶれやすくなるというのは想像いただけるかと思います。腹臥位を取ると、心臓や肺自体の重さから背側の肺が解放されます。

 2つ目は胸郭と肺の形態による影響です。肺は胸郭の中にありますが、円柱形に近い胸郭に対し、肺が三角錐のような形をしています(図)。そのため、どちらかというと腹側の肺の方が広がりやすいのです。背中は平たくて形態学的にも背側の肺は広がりにくいのですが、腹側の肺は背側に比べて拡がりやすい。この重力と形態の影響によりつぶれやすい背側の肺が、腹臥位を取るとどうなるでしょうか。重みから解放された背側肺が広がりやすくなり、逆に腹側肺がある程度つぶされます。そして、胸郭と肺の形態から広がりにくい影響を差し引くと、背側と腹側の肺の広がりやすさが均質化する。これが肺にかかる圧が均質化するということです。

図. 腹臥位最大の効果:肺にかかる圧の均質化→肺障害軽減

(提供:増山氏)
腹臥位療法、適応外のケース
――腹臥位療法を実施しないほうが良いケースを教えて下さい。

 非挿管の意識がある患者さんの場合、絶対的な禁忌はないと思います。意識があればやりたくないことはやりませんし、かつ、つらいと続けられないと思います。今回のメタトライアルでも、HFNC(高流量酸素療法)下での腹臥位療法で明らかな有害事象が報告されていません。

 ただ、本研究では除外基準が3つ挙げられています。血行動態が不安定な患者さんとBMI 40以上の肥満の患者さん、あと妊婦さんは今回の検討から除外されているので一般論としては腹臥位を避けた方がよいと思います。

腹臥位療法中の挿管移行のタイミング
移送不可能なHFNC下での挿管判断にROX index
――あくまで本人ができそうなら、実施するということですね。HFNC下で腹臥位療法を行う中で挿管への移行が必要と判断するタイミングはありますか。

 一般的な挿管のタイミングと同じだと思います。つまり、呼吸努力が強い、頻呼吸、酸素の必要量が高い、意識レベルが悪いといったところでしょうか。これも挙げるときりがないのですが……。HFNCは酸素濃度を結構なレベルまで上げられる一方、容態が悪化した時にはHFNCのまま転送ができないことがデメリットです。最大で1分間に60Lの酸素を消費するので酸素ボンベを使っての病院間移送ができなくなります。そこまで呼吸状態が悪くなってしまったら、その場で挿管するしかないので、挿管のタイミング、もしくは、なりそうなタイミングを判断するのは、どの病院も頭を悩ませていることです。

 HFNCから挿管への移行を判断する基準としては、開始12時間後のROX index(SpO2/FiO2と毎分呼吸数の比)を用いて、この値が低いと早めに挿管するというのが一つの指標になっています。しかし、実際のところ、中等症病院において挿管をしても自院で人工呼吸器管理ができない、転院先も見つかりにくいという現状からは、HFNCでかなり粘る施設も増えていると思います。粘るしかないわけですが、少しでも挿管への移行を減らせる治療として腹臥位療法は意義があると思います。

 埼玉県では中等症病院で患者さんの呼吸状態が悪化した場合、入院・転院調整本部支援医師が訪問し、気管挿管し、救急車同乗し重症病院に転院してもらうか、リモートでフォローする取り組みを行っています。調整本部の支援医師には本当に頭が下がりますが、各病院の機能を最大限に生かし、負担を分散させる素晴らしい取り組みだと思います。

自宅療養者の腹臥位療法は可能か
搬送困難例にも推奨
――前編でも触れられていましたが、このパンフレットは自宅療養をしている比較的軽症の患者さんにも適用可能なのですね。

 そうです。救急隊の知人の話を聞くと、第5波では搬送先がなくて、酸素飽和度が89%くらいでも自宅療養をお願いすることもあるそうです。通常は入院して酸素投与するようなレベルですので、そういう方には特に腹臥位療法をお勧めします。

――最近は往診などで医療支援する先生も増えているので、役立ちそうですね。

 実際に訪問診療されている先生から「使いたい」との相談もいただいています。このパンフレットの最も重要なメッセージは、中にもあるように「仰臥位(上向き)で居続けること」が肺傷害進行の面から良くないということです。パンフレットには長時間の腹臥位が難しいのであれば、いろいろな体勢でゴロゴロするという3つのプランを提案しました。プラン1(1日8時間以上の腹臥位)がメタトライアルの裏付けがあり、もっともお勧めなのですが、全員ができるわけではないので代替案としてプラン2や3も、自宅で行っていただいて効果的だと思います。ちなみにこれは8時間連続でなくてもよく、1日の腹臥位の合計が8時間でも効果があると思います。

――側臥位の際に抱き枕を使われていますが、これはあったほうが良いですか

 体型によりますが、特にやせている人は横向きになった際の体勢が安定しないのです。そういう時には抱き枕を挟んでいただいたほうが安定すると思います。自宅で抱き枕がない場合はクッションなどで楽になる姿勢を探していただいても良いと思います。

今後の展望
腹臥位療法のNNTは「素晴らしい」
――今後の研究の方向性を教えて下さい。たとえば、腹臥位療法で死亡率が改善するというような研究も出てきそうでしょうか。

 今回のメタトライアルでは28日以内の挿管または死亡が主要評価項目で、副次評価項目である死亡率には有意差がなかったわけですが、その理由として死亡率の減少を証明するには、サンプルサイズが足りないことが挙げられます。ただ、現場の意見としては、HFNCと腹臥位療法で死亡を減らすというよりは挿管が減らせればよいのかとも思います。今、COVID-19挿管患者を対象とした腹臥位療法の有効性を検討したランダム化比較試験が各国で行われているので、死亡率の減少効果については、それらの研究結果に期待をしています。

――今回のメタトライアルで示されたHFNC+腹臥位療法の効果の程度はどのくらいと考えられますか。

 論文では1件の挿管を回避するための治療必要数(NNT)は14と算出されています。NNT 14というのは素晴らしい効果だと思います。COVID-19中等症の患者さんは日本でも増えているので、多くの方に腹臥位を行っていただければと思います。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.09.15更新

イスラエルの単施設で、重度のアレルギーがある成人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(ファイザー社製)接種後のアレルギー反応を前向きコホート研究で評価。COVID-19ワクチン接種を申し込んだアレルギー患者8102例のうち「高度アレルギー」に分類した高リスク患者429例(女性70.9%、平均年齢52歳)に医療監視下でワクチンを接種し、経過を追跡した。

 その結果、BNT162b2(ファイザー社製)初回接種後、420例(97.9%)に即時アレルギー事象は発生せず、6例(1.4%)に軽度アレルギー反応、3例(0.7%)にアナフィラキシー反応が認められた。対象期間中に218例(50.8%)がBNT162b2の2回目接種を受け、そのうち214例(98.2%)はアレルギー反応を示さず、4例(1.8%)に軽度アレルギー反応が認められた。その他の即時反応や遅延反応は、アレルギー患者に多い遅発性掻痒と皮膚発疹が見られたほかは、一般集団とほぼ同じだった。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.09.14更新

 

欧米諸国ではピーナッツ摂取が循環器疾患の予防に有効と報告、日本は?

 国立がん研究センターは9月10日、国内9の保健所管轄の住民(45~74歳)を対象に、ピーナッツの摂取量と脳卒中および虚血性心疾患発症リスクとの関連を調査し、その結果を発表した。この研究は、同センター社会と健康研究センター予防研究グループの多目的コホート研究によるもの。研究成果は、「Stroke」に掲載されている。

 ピーナッツは、不飽和脂肪酸、ミネラル、ビタミン、食物繊維などを多く含んでおり、欧米諸国の先行研究では、ピーナッツの摂取が循環器疾患の予防に有効であることが報告されている。しかし、日本人ではピーナッツの摂取は欧米に比べて少なく、これまで循環器疾患との関連については報告がなく、よくわかっていなかった。

全国の45~74歳約7万5,000人を対象に調査

 研究グループは、ピーナッツの摂取量と脳卒中(脳出血、脳梗塞)および虚血性心疾患発症との関連を検討した。調査の対象は、1995(平成7)年と1998(平成10年)年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2019年現在)管轄地域の45~74歳の住民。食事アンケート調査に回答し、循環器疾患、がんになっていなかった約7万5,000人を、2012(平成24)年まで追跡した。

 食事アンケート調査のピーナッツ・落花生の摂取状況から1日あたりの摂取量を算出。少ない順に並べて人数が均等になるよう4つのグループに分け、最も摂取量が少ないグループを基準として、その他のグループのその後の脳卒中や虚血性心疾患の発症リスクを調べた。分析では、年齢、性別、地域、喫煙状況、飲酒量、身体活動量、精神的ストレス、野菜、果物、魚、大豆製品、食塩、エネルギー摂取量、体格、高血圧既往、糖尿病既往、高コレステロール血症の服薬を統計学的に調整し、これらの影響をできるだけ取り除いた。

摂取量が最多のグループ、最少のグループと比べ脳梗塞発症リスク20%低下

 追跡期間中に3,599人が脳卒中を、849人が虚血性心疾患に罹患した。ピーナッツ摂取量が多いほど、脳卒中、脳梗塞、循環器疾患の発症リスクが低く、最も少ないグループに比べて、最も多いグループでは、脳卒中で16%、脳梗塞で20%、循環器疾患で13%の発症リスク低下との関連がみられた。一方で、ピーナッツ摂取量と、脳出血と虚血性心疾患との関連はみられなかった。男女別に分けた解析でも、結果に大きな違いはなかったという。

アジア初のピーナッツ摂取量と循環器疾患発症リスクとの関連報告、継続研究が必要

 今回の結果は、米国での先行研究とほぼ同様の結果であった。ピーナッツに含まれる不飽和脂肪酸、ミネラル、ビタミン、食物繊維などの栄養素は、血圧値の低下や血中の脂質異常の改善、脳卒中の発症リスク低下との関連が報告されている。そのため、ピーナッツ摂取が多い場合に、脳卒中の発症リスク低下と関連がみられたことが考えられた。

 欧米の先行研究では、虚血性心疾患の発症リスク低下との関連が報告されていたが、今回の研究では関連がみられなかった。その理由として、欧米と比べて、ピーナッツの摂取量が少ないことや、虚血性心疾患の発症者が少ないことが考えられた。

 「ピーナッツ摂取量と循環器疾患の発症リスクとの関連について、アジアからの報告は本研究が初めてであり、日本を含めたアジアにおけるピーナッツ摂取の健康影響については、さらなる研究の蓄積が必要だ」と、研究グループは述べている。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.09.13更新

英国バイオバンク研究に参加した40-69歳の認知症がない成人11万7187例を対象に、視力障害と認知症リスクの関連を前向きコホート研究で検討。視力が良い方の眼の矯正前遠見視力0.3logMARユニット未満を視力障害と定義した。入院および死亡記録をひも付け、認知症発症を評価した。

 その結果、追跡期間中央値5.96年で、視力障害に認知症発症との有意な関連が認められた(ハザード比1.78、95%CI 1.18-2.68、P=0.006)。視力障害の重症度と認知症リスクに明らかな傾向が見られた(傾向のP=0.002)。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.09.11更新

 日本新薬は、口から吸入するタイプの新型コロナウイルス感染症治療薬を開発する。吸入剤は薬剤が肺などに直接作用するため、呼吸器系への抗ウイルス効果と安全性が期待できる。ウイルスの変異しにくい部分をターゲットにし、あらゆるコロナウイルスに有効な核酸医薬の実用化を目指す。開発候補品を絞り込む最終段階に進んでおり、来年度にも治験を始める計画。開発に成功すれば、軽症患者が自宅で服用できる治療選択肢が広がる。

 日本新薬は世界で最も長いRNA(リボ核酸)を作れるという独自技術を生かし、コロナ治療向けの核酸医薬を開発している。コロナウイルスのRNAに結合して分解し、ウイルスが増殖しないようにする作用が期待される。

 このほど就任した中井亨新社長によると、「軽症から中等症の患者が自宅でも治療しやすい投与形態で開発を進めたい」考えで、吸入剤として開発する方針。吸入投与すると薬剤の有効成分が肺や気管にとどまりやすいため、呼吸器系に対して直接的な抗ウイルス効果が期待される。肺などに直接作用するため、副作用リスクを低減できる可能性もある。

 同社が目指すのは、コロナウイルス全般に有効な治療薬。過去に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)、昨年以降に出てきた新型コロナウイルス変異株などに共通する遺伝子配列を解析。共通領域から変異が起こりにくい領域を複数選んで標的にするため、今後出てくる新たなコロナウイルスや変異株にも有効とみている。投与する時は長鎖の一本鎖RNAだが、細胞内に入ると標的別のsiRNAに切断されて各標的を分解する。

 現在は開発候補品を絞り込む最終段階で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議しながら年内にも決定する。GLPレベルの前臨床試験などを行ったうえで、来年度中のヒトに対する第1相臨床試験(P1)開始を目指す。

 コロナ治療向けの核酸医薬は他社も開発している。核酸医薬ベンチャーのボナック(福岡県久留米市)も吸入剤を開発中で、来年の治験入りを目指している。米アルナイラム・ファーマシューティカルズも吸入剤を開発していたが、優先度が下がったとして開発中止した。

 日本新薬は核酸医薬以外のコロナ治療薬開発も検討中。肺動脈性肺高血圧症(PAH)などの治療薬として販売している「ウプトラビ」には抗血栓症作用があり、とくに血栓症リスクが高いコロナ重症患者に有効な可能性がある。米国で今年度中の治験開始を目指す。同国では元々、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)グループと開発・販売提携している。ほか自社創製品のJAK阻害剤2剤も、免疫暴走による重症肺炎などに対して開発を検討する。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.09.10更新

南米・コロンビア由来の変異した新型コロナウイルス「ミュー株」は、ワクチンなどでできた抗体が他の変異株よりも効きにくいとする結果を、東京大や東海大などの研究チームがまとめた。

 ミュー株は世界保健機関(WHO)が8月、警戒度が2番目に高い変異株に位置づけた。国内では6~7月に空港検疫で2例確認されている。

 チームは米ファイザー製ワクチン接種者や従来株に感染経験のある人の血液を使い、様々な変異株に対する抗体の効果を調べた。その結果、ミュー株に対しては、ワクチン接種者の抗体の効果が従来株より7分の1以下に低下した。インド由来のデルタ株や南アフリカ由来のベータ株より効果の低下が大きかったという。

 チームの佐藤佳・東大准教授(ウイルス学)は「現在、デルタ株が世界で蔓延しているが、ミュー株に対する監視も重要だ」と話している。

おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.09.10更新

中国の農村600村で、脳卒中既往歴がある患者および60歳以上の高血圧患者計2万995例(平均年齢65.4歳、女性49.5%、脳卒中既往72.6%、高血圧既往88.4%)を対象に、代替塩(塩化ナトリウム75%、塩化カリウム25%)が心血管転帰にもたらす効果をクラスター無作為化試験で検討(SSaSS試験)。平均追跡期間は4.74年だった。

 その結果、代替塩は食塩群よりも、1000人年当たりの脳卒中(29.14件 vs. 33.65件、率比0.86、95%CI 0.77-0.96、P=0.006)、主要心血管事象(49.04件 vs. 56.29件、同0.87、0.80-0.94、P<0.001)、死亡(39.28件 vs. 44.61件、同0.88、0.82-0.95、P<0.001)の発生率が低かった。1000人年当たりの高カリウム血症による重篤な有害事象発生率に有意差は見られなかった(3.35件 vs. 3.30件、同1.04、0.80-1.37、P=0.76)。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.09.09更新

大規模無作為化試験3件(TIPS-3試験、HOPE-3試験、PolyIran試験)の個別患者データ(1万8162例)を用いて、心血管疾患1次予防に用いる固定用量配合剤(FDC)にアスピリンを含めるべきかをメタ解析で検討。降圧薬2種以上とスタチンを含むFDC(アスピリン併用または併用なし)と対照(プラセボまたは通常治療)を比較した試験を対象とした。

 その結果、中央値5年の追跡で、主要評価項目(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、動脈血行再建術の複合)発生率はFDC群3.0%、対照群4.9%だった(ハザード比0.62、95%CI 0.53-0.73、P<0.0001)。アスピリン併用および非併用のFDCで主要評価項目のリスクが有意に低下し、アスピリン併用のリスクの方が低かった。脂質・血圧値および糖尿病、喫煙、肥満の有無に関係なく治療効果はほぼ同じだった。アスピリン併用では、対照群よりも消化管出血の頻度が高かった(19% vs. 11%、P=0.15)。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.09.08更新

 グラクソ・スミスクライン(GSK)は9月6日、単回投与のモノクローナル抗体・ソトロビマブについて、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として承認申請したと発表した。同社は特例承認の適用を希望している。ソトロビマブは点滴静注で、投与対象については、「酸素療法を必要としない軽症・中等症かつ重症化リスクが高いと考えられる患者」としている。

 ソトロビマブは、GSKと米国の臨床段階の免疫系専門企業・Vir Biotechnologyが研究開発を行う新型コロナウイルスモノクローナル抗体。正常細胞へのウイルスの侵入を防ぐとともに、感染細胞を除去する能力を高めるという可能性が示唆されている。

 海外第2/3相臨床試験(COMET-ICE試験)では、入院していない軽症から中等症患者1057例について、投与29日目までに24時間を超える入院または死亡(死因は問わない)した割合をプラセボと比較検討した。その結果、同化合物投与群では、79%低減しており、(補正相対リスク減少)(p < 0.001)主要評価項目を達成したという。

 同社によると、米国国立衛生研究所(NIH)は6月、新型コロナウイルス感染症の治療ガイドラインを改訂し、重症化リスクの高い、入院していない軽症から中等症患者への同化合物の投与を推奨している。また、デルタ株、ラムダ株などの変異株に対しても活性を維持すると考えられるとした。

 なお同化合物は、米国で緊急使用許可を、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)からはRegulation 726/2004のArticle 5(3)に基づき肯定的な科学的見解を得ている。また、カナダ、イタリア、アラブ首長国連邦、シンガポール等では一時的承認、オーストラリアでは承認を取得している。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.09.07更新

多くの人は中年期に差し掛かるまで、高血圧や脂質異常症などの病気や、心臓や脳の健康リスクについて考えようとしない。しかし、より早期から健康リスクに目を向けるべきであることを、数々の研究結果が示唆している。

 トゥルク大学(フィンランド)のJuuso Hakala氏らは、3,596人の子ども(3~18歳)を31年間にわたって追跡し、34~49歳に成長した2,026人に対して認知機能テストを施行。その結果が「Circulation」に今春掲載された。研究から得られた結論は、人生の早い段階で体重、コレステロール、血圧を管理することが、成人期の認知機能低下を抑制する可能性があるというものだった。

 具体的には、子どもの頃に血圧とコレステロール値が高かった人は、子どもの頃にそれらが良好だった人と比較して、記憶力と学習能力が低いと判定された。子どもの頃から中年期までずっと肥満であった人は、歳をとるにつれて情報を処理したり注意力を維持することが難しくなっていた。子どもの時点で、体重、コレステロール、血圧という評価された3つの心血管リスク因子を全て有していた人は、40代に達するまでに、脳の健康に関する指標の全てが低下していた。

 心臓の健康と脳の健康との関連は、多くのエビデンスにより証明されている。良好な血流を保つことで、心臓と脳、双方の臓器が適切に機能し続ける。反対に高血圧や高コレステロール血症などの血管にダメージを与える状態は、心臓と脳の双方を危険にさらし、心臓発作、脳卒中、認知症を引き起こす可能性がある。

 ここ数十年の間に小児肥満が増加し、また、心臓の健康状態の悪化は早くも小児期に始まるという報告が増えている。公衆衛生の専門家は今、人々の成人後の健康障害を防ぐ戦略上のターゲットを、人生の早い段階に設定することを重視している。

 「健康に良い生活習慣は、これまで考えられていたよりもはるかに早い年齢で身に付ける必要がある」と、米国心臓協会(AHA)の前会長で米コロンビア大学アービングメディカルセンターのMitchell Elkind氏は言う。そして、「人々が子どもの頃にとっていた行動が、そのまま生涯にわたって続くことが少なくない。この事実を、子どもや若者たちに伝えなければならない」と言葉を重ねる。

 米国の身体活動に関するガイドラインでは、子どもたちに対して、少なくとも毎日1時間の中程度から高強度の身体活動を行うことを推奨している。また、少なくとも週に3回は筋肉と骨の健康のための高強度運動を行い、座ってテレビを見たりスマートフォンを操作したりする時間(スクリーンタイム)を制限すべきであることもガイドラインに示されている。

 米アリゾナ州立大学のGabriel Shaibi氏は、「子どもが肥満かそうでないかにかかわりなく、定期的な身体活動は、認知機能、学業成績、そのほかの健康指標全般に好影響を与える」と語る。また、肥満の子どもは後年の心血管リスクや死亡率が高くなることが研究で示されているものの、成長段階で肥満が解消されるとリスク上昇は抑制されるという。

 「では、肥満の子どもは減量を優先すべきだろうか。それとも身体活動ガイドラインの推奨に従い、座位行動やスクリーンタイムを制限しながら健康状態の改善を目指すべきだろうか?」。同氏はこのような疑問を投げかけた上で、多くの子どもたちは、心臓と脳の健康のためのメリットを享受するのに必要な、十分な身体活動を行っていないことを指摘。「まず立ち上がって体を動かすだけでも良い。しばしば達成が非常に困難な減量に焦点を当てるよりも、その方が良い戦略ではないだろうか。対策のターゲットを‘体重’から‘行動’に移すことで、長期的なメリットをもたらす健康関連指標の改善につながる可能性が高い」と語る。

 もちろん、多くの時間を身体不活動の状態で過ごしてきた子どもには、心臓と脳の健康のためにできることがほかにないという意味ではない。前出のHakala氏は、「より多くの健康に良い習慣が身に付いているのに越したことはない。しかし、健康のために何かを始めようとする時、それが遅すぎるということは決してない」と話している。おおはし

投稿者: 大橋医院

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