大橋院長の為になるブログ

2020.11.13更新

COVID-19から回復した患者さんに心臓後遺症:

COVID-19から回復した学生アスリートの3割に心MRI異常所見
JACC2020年11月13日 (金)配信 呼吸器疾患循環器疾患感染症
コメントを投稿する ツイート
 米国で、合併症のない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復学生アスリート54例(平均19歳、85%が男性)を対象に、心エコーと心MRIを用いて心臓異常を評価した。

 その結果、16例(30%)が無症状、36例(66%)にCOVID-19による軽度の症状、2例(4%)に中等度の症状が報告された。心MRI検査を実施した48例のうち27例(56.3%)に異常所見があり、そのうち19例(39.5%)には心膜遅延増強と心嚢液貯留があった。心膜増強を認めた学生のうち6例(12.5%)に長軸方向ストレイン(GLS)の減少やnative T1値の上昇が認められた。1例に心筋増強、7例(14.6%)にも左室駆出率の低下、GLSの低下、native T1値上昇の有無を問わないGLSの低下などが認められた。native T2値はいずれの学生も正常で、心筋炎症に特異的な画像所見はなかった。LV局所ストレインの階層分類によって固有の心筋表現型3型が確認され、心MRI所見と有意な関連性が示された(P=0.03)。おおはし

投稿者: 大橋医院

2020.11.12更新

何故、女性はcovid-19に感染しにくいのか?

女性が男性と比べて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患しにくい理由の一つは、ソーシャルディスタンシング政策を守る比率が高いためであることが、新たな調査により示された。ボッコーニ大学(イタリア)のVincenzo Galasso氏とPaola Profeta氏らが実施したこの研究の詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」10月15日オンライン版に掲載された。

 この調査は、OECD(経済協力開発機構)加盟国のうちの8カ国を対象に、2020年3月16~30日と4月15~20日の2度にわたり実施された調査データに基づくものである。対象国と参加者数は、オーストラリア2,010人、オーストリア2,000人、フランス4,036人、ドイツ3,501人、イタリア1,997人、ニュージーランド1,997人、英国2,012人、米国4,096人(総対象者数は2万1,649人)であった。3月の調査対象者数の総計は1万594人、4月の調査対象者数の総計は1万1,025人だった。両調査において対象者は、COVID-19が人々の健康に及ぼす影響の大きさに関する予測や、学校閉鎖や経済活動の自粛といった感染拡大防止のための政策に対する賛否、COVID-19に関連したソーシャルディスタンシング政策の遵守状況などについての質問に回答した。

 その結果、COVID-19を深刻な健康問題と捉える人や、パンデミックと闘うための公共政策に従う人の数には、有意な性差のあることが判明した。例えば、3月に実施した調査でCOVID-19を深刻な健康問題と捉えていた人の割合は、女性で59.0%であったのに対し、男性では48.7%であった。この割合は、4月の調査では男女ともに15%以上減少したが(女性39.6%、男性33.0%)、性差は有意なままだった。

 また、公共政策に賛同する人の割合を1~100で指数化すると、3月の調査では女性54.1に対して男性47.7、4月の調査では女性42.6に対して男性37.4であり、賛同者は男性より女性の方が有意に多かった。ソーシャルディスタンシング政策に従っている人の割合(3月の調査で女性88.1%、男性83.2%、4月の調査で女性77.6%、男性71.8%)も、両調査において、男性より女性の方が有意に多かった。Profeta氏は「最も大きな性差が認められたのは、咳をするときにひじで口を覆う行為だった。これは、ウイルス感染から他者を守るために行うものだ。それ以外の手洗いや、握手やハグをやめるなどの行為は、自身と他者の両方を守るためのものだ」と述べている。

 こうした性差は、社会人口学的特徴や心理的要因などを調整した後でも認められた。ただし、男性と女性が同じ情報量を得ていた場合は、時間の経過とともに差は小さくなった。また、お互いの見解を共有し合っている同居夫婦や、より直接的にパンデミックに接している人では、性差が比較的小さかったことも判明した。

 Galasso氏は、「政策立案者が、移動制限やマスク着用などの行動様式の変容から成る“新しい日常”を促進する上で、男性の遵守率を増やしたければ、性別に合わせた伝達方法を考える必要がある」と述べている。おおはし

 

投稿者: 大橋医院

2020.11.09更新

いつまでも健康でいられる薬:

ヴィタミンC,ビタミンE,ロトリガ(DHA+EPA)、トランサミン、ヒルドイドローション、ヒルドイド軟膏、漢方薬(快便、防風通聖散)、

プラセンタ注射、

 

おおはし

投稿者: 大橋医院

2020.11.09更新

プラセンタ注射の勧め:

注射⽤のプラセンタはヒトの胎盤から有効成分を抽出したもので、豊富な栄養素に加え、体内の幹細胞を活性化させる成分が含まれ、新しい細胞の⽣成を助ける働きがあります。 全⾝の組織・臓器・肌を若返らせるほか、更年期障害など⼥性のお悩みの改善や、免疫⼒向上、滋養強壮、精神安定などの効果があることが知られています。また肝機能を⾼め改善するため、飲みすぎ・⼆⽇酔いの回復や飲み会前にもオススメです

こんなお悩みをお持ちの⽅に

・肌の状態が良くない
・⼿⾜の冷えが気になる
・疲れが取れにくい
・更年期による諸障害
・飲みすぎ、⼆⽇酔い
主成分「プラセンタ」の主な効果

・乾燥肌、肌荒れ、⽪膚の⽼化改善などの美肌促進作⽤
・活性酸素除去作⽤による⽼化防⽌
・疲労回復
・⾎⾏促進・改善
・肝機能向上 などおおはし

投稿者: 大橋医院

2020.11.09更新

Covid-19流行後、喘息の入院数が顕著に減少、新しい生活様式に期待:

ぜんそくによる入院数、2020年と2017~2019年を比較
 東京大学大学院医学系研究科・医学部は11月5日、2020年のCOVID-19流行後のぜんそくによる入院数の推移を検討した結果、2020年第9週以降(2/24~5/31)にぜんそくによる入院数が、2017~2019年までの同時期と比較して、顕著に減少傾向にあったことがわかったと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科社会医学専攻公衆衛生学分野の阿部計大特任研究員、宮脇敦士助教、小林廉毅教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice」にオンライン掲載されている。

 日本では100万人以上がぜんそくの治療を受けている。ぜんそくの基本的病態は気道の慢性的な炎症であり、患者が呼吸器感染症や花粉、大気汚染物質等の増悪要因に曝されることにより、気道が狭くなって呼吸困難やぜん鳴、咳などの症状が出現する。このようなぜんそく発作による入院は、呼吸不全による死亡につながるだけではなく、学校の欠席や仕事の欠勤等の社会的影響をもたらす。ぜんそく発作を減らすためには、日常的に気道の炎症の原因となる増悪要因を回避し、薬物治療を行って気道の炎症を抑えながら、十分な気道の拡張を図ることが大切とされている。

 今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は呼吸器感染症であるため、その流行に伴ってぜんそく発作による入院数が増加することが危惧されていた。しかし、米国とスロベニアの小規模な報告では、都市のロックダウン期間中に小児ぜんそく患者の入院数や救急外来受診数が減少したことが報告された。これらの結果が他の地域でも当てはまるかどうかを調べるため、大規模なデータベースを使用した研究が待たれていた。そこで、研究グループは、株式会社メディカル・データ・ビジョンより無償提供を受けた全国272の急性期病院における診断群分類包括評価レセプトデータを用いて、2020年のぜんそくによる入院数が、2017~2019年の同時期の入院数と比較してどのように推移しているのかについて差分の差分法で検討した。

週あたり平均55%減少
 その結果、2020年第9週以後(2/24~5/31)のぜんそくによる入院は明らかに減少していた。年と週によるトレンドを調整した後、2020年9週以後のぜんそくによる入院数は、2017~2019年の同時期と比較して週あたり平均55% (95%信頼区間 45%-63%;p<0.001)減少していた。年齢別に見ると、18歳未満のぜんそく患者入院数は63%減少し、18歳以上のぜんそく患者入院数も44%減少していた。このぜんそくによる入院の減少は、COVID-19流行期間中にぜんそくのコントロールが良好であり、ぜんそく発作が減少していたことを示唆している。

患者個人の感染予防行動の変化や地域レベルの感染予防対策が影響の可能性
 COVID-19流行期間中にぜんそくのコントロールが良好となった背景には、いくつかの理由が考えられる。1つには、COVID-19感染予防のために実施されるようになったマスクの着用や手指衛生の徹底、外出自粛、臨時休校、大規模イベントの開催見合わせ、リモートワークの推奨といった個人や地域レベルの介入によって、呼吸器感染症ウイルスや花粉、大気汚染物質のようなぜんそくの増悪要因への暴露が減少した可能性がある。実際に、2020年は2019年に比べて手足口病やヘルパンギーナのような夏に流行する感染症が減少していることが報告されている。また、COVID-19の感染に対する懸念が、ぜんそく患者に対して禁煙やぜんそく治療薬の服薬遵守、生活環境のこまめな清掃(ハウスダスト等のアレルゲン除去)を促した可能性がある。これらの患者個人の感染予防行動の変化や地域レベルの感染予防対策によって、全国的にぜんそく患者のコントロールが改善され、ぜんそくによる入院が減少したと考えられる。

 研究グループは、「今回の研究結果は、ぜんそく患者が生活様式を変えることで、ぜんそくによる入院の多くを予防できる可能性があることを示唆している。そして、ぜんそくのケアに携わるすべての者が、薬剤による治療だけではなく、患者の予防行動や生活環境への配慮の重要性について再認識する必要がある」と、述べている。おおはし

投稿者: 大橋医院

2020.11.06更新

米国COVID-19の心筋障害:

米国の小児多臓器系炎症性症候群(MIS-C)を呈した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患児28例、健康対照20例、古典的川崎病(KD)患者20例を対象に、心エコー所見の特徴を後ろ向きレビューで比較した。

 その結果、MIS-C群の1例に急性期冠動脈拡張(zスコア=3.15)を認めたが、早期経過観察中に消失した。変形パラメーターで測定した左室の収縮/拡張機能は、MIS-C群の方がKD群よりも不良だった。心筋障害があるMIS-C患児は、心筋障害がない患児と比べると、あらゆる機能変数が影響を受けていた。MIS-C群の心筋障害を予測する最も強力な因子は、長軸方向ストレイン(オッズ比1.45、95%CI 1.08-1.95)、円周方向ストレイン(同1.39、1.04-1.88)、最大左房ストレイン(同0.84、0.73-0.96)、右室自由壁の長軸ピークストレイン(同1.59、1.09-2.34)だった。左室駆出率(LVEF)が保たれたMIS-C群に拡張機能障害が認められた。亜急性期にはLVEFは正常に戻った(P<0.001)が、拡張機能障害は持続した。おおはし

投稿者: 大橋医院

2020.11.04更新

おおはし

コメントを投稿する ツイート
 デンカは30日、インフルエンザウイルス抗原迅速診断キットで鼻の奥の咽頭部分から採取した検体も使えるようにした一部変更承認を取得したと発表した。新型コロナウイルス感染症向けキットと採取部分が共通のため、同時検査が可能となる。

 「クイックナビFlu2」の検体種表記が「鼻腔ぬぐい液」から「鼻咽頭ぬぐい液と鼻腔ぬぐい液」に変わった。鼻の穴から咽頭まで綿棒を差し込んで採取した検体も検査できる。同社の「クイックナビCOVID19Ag」も鼻腔と鼻咽頭の両方に対応ずみ。医療従事者の感染リスク、患者の負担ともに軽減できる。

投稿者: 大橋医院

2020.11.02更新

COVID-19対策が困難な理由:

ワクチン未完成の現在、感染拡大を防止する手立てはない
 堀氏はまず、COVID-19の対策が困難である要因は大きく以下の9つに分類できるとし、それぞれに解説を加えた。

潜伏期間が長く、感染可能期間が不明であった
 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染可能期間は当初、14日間に設定された。これは、未知の感染症に対する潜伏期間のルールを適応したためであるが、この値がなかなか縮まらなかった(現在も10日間の隔離措置)。そのため、患者を隔離するための個室が不足したり、濃厚接触したスタッフが長期間の自宅待機を強いられたりと、医療体制に負荷がかかった。
不顕性感染が少なからず存在し、感染を拡大させた
 不顕性感染は他の感染症でも起きるが、COVID-19の場合、不顕性感染者でも感染源としての能力が強く、症候性感染者と同程度の感染力を持つことから、症候性感染者の隔離だけでは拡大を阻止できなかった。
発病前から感染可能期間が始まっていた
 SARS-CoV-2 RNAは症状発現の1-3日前から検出され、上気道のウイルス量は感染の最初の週にピークに達する。これは、麻疹ウイルスにおける感染可能期間(発疹出現の前後2日間)に類似しており、ワクチンがなければ感染の拡大を制御することは不可能であることを意味している。
新しい感染経路として、マイクロ飛沫感染が初認識された
 屋内の密閉空間でのクラスター発生報告により、飛沫伝播だけでなく、エアロゾル伝播(マイクロ飛沫)の可能性が示されている。
診断法がPCR検査しかなく、実施可能な検査機関も限定的であった
 PCR検査可能機関が少なく、感染拡大初期の2月12日には、全国で1日300検体の検査しかできなかった。その後、検査体制は整えられたものの、保健所での対応がボトルネックとなり、実施件数が伸び悩んだ。
PCR検査の感度が30-70%にとどまり、偽陰性が不可避であった
 PCRの感度不足を補うため、当初、隔離解除の基準として2回のPCR検査を実施しなければならないという“謎ルール”があった。このように、「罹患していない証明」が困難であり、多くの医療機関で疑い症例を多数・長期に抱えることとなり、医療リソースが圧迫された。
有効な薬剤がまだないため、接触後の発病予防手段がない
 インフルエンザにおけるノイラミニダーゼ阻害薬のような、接触後の発病予防手段がないため、濃厚接触した医療スタッフは14日間の自宅待機と健康観察を行う必要があり、医療スタッフの不足問題が露呈した。大都市ならまだしも地方病院では代替要員がいないため、一般診療にも大きな影響を及ぼした。
国内にPPEの備蓄が少なく、生産拠点もなかった
 世界のマスク生産のほとんどは中華圏内で行われている。今回のパンデミックの中心地が中国であったため、中国国内でのマスク需要急増と生産の大幅低下により、マスクの輸出が激減、世界中でPPE(個人防護具)の枯渇を招いた。
再感染する可能性が指摘されている
 中国・武漢で行われたCOVID-19発病者の追跡調査では、抗体価が短期間で低下することが報告されている。また、8月下旬には、香港人、オランダ人、ベルギー人が再感染したという報告が相次いでなされた。 
COVID-19診療は今後も数年スパンで続く
 堀氏は続いて、COVID-19が持つこれらの特徴を基に、今後の感染対策上のポイントをまとめた。COVID-19の感染可能期間が発病前2日間および発病後10日間であることから、ワクチンがまだ完成していない現在では、感染拡大を防止する手立てはないことを常に念頭に置くことが重要である。また、ステロイドを長期服用しているなど、重症化しやすい人は、発病後10日を過ぎた後も最長20日間まで慎重に観察を続ける必要があると強調した。

 その上で堀氏は、COVID-19診療は今後も数年スパンで続くと予想されるため、今の臨時体制を続けるのではなく、以前の通常体制に徐々にCOVID-19対策を組み込んでいくことが重要だと指摘。そのために、COVID-19の診療スタッフは特定の人員ではなく全員体制とした上で交代制とし、スタッフの補充を常に積極的に行うことで、スタッフが過度に疲弊しない環境を作ることが必須であると述べた。また、可能であれば、自施設での検査体制を確立すべきだという。外注検査だと、どうしても結果が出るまでに時間がかかってしまい、施設のリソースを圧迫してしまうためだ。

 また堀氏は、喫緊の課題として、スタッフによるウイルスの持ち込みを防止することの重要性を周知させることが大切だと指摘。スタッフが日常生活で感染し、院内に持ち込むというリスクは意外に高いという。スタッフ、特にまだ経験の浅い今年度の入職者に「新しい生活様式」を学ばせるために、院内感染対策講習会やオリエンテーションを重点的に開催すべきだと述べ、講演を締めくくった。おおはし

投稿者: 大橋医院

2020.11.01更新

マスクとうがい:

空気感染の定義を今一度確認すべきで、どうも厚労省や押谷さんなどは長期間室内に漂う肺結核を代表とする感染症しか空気感染をイメージされていないように思う。ただこの機会に飛沫感染と飛沫核感染(空気感染)が病原体によって区別されるべきものか見直す必要があると思われる。インフルエンザにおいても空気感染が重要(>>飛沫感染)で接触感染はありえないと以前から考えていた。では飛沫感染(>>飛沫核感染)にはどんな病原体が位置づけられるのだろうかだろうか。CCDはMRSAを飛沫感染するとしているが・・・。

日本人のいいところは、国民、みんながマスクをしている。新型コロナも、インフルエンザも、感冒も国民の30%は無症状で感染している。全員がマスク、咳エチケットをすることで、感染は抑えられる。Stay Home も守っている。手洗いも指から手掌、手首に至るまでしっかり、うがいは大切である。一番有効なのは”水道水”によるうがいである。ポピオンヨードによるうがいは効果がない。

適時の喚起と、室内運動、クラスターを発症させない!(スポーツジム、合唱、ナイトクラブ、飲み会、、などは女性同士のマスクなしのお菓子を食べながらの長話がクラスターを発生している。)

おおはし今、新型コロナの再感染が叫ばれている。欧米人は感染者と自覚のある人がマスクをして、無症状の人はマスクをしない!だからひどいパンデミ―になっている。これから、国際交流が深まるし,寒くなるし、日本国民は、もう一度、国民一人一人が、マスク、咳エチケット、長話、蜜を避ける、うがいをする、地味な努力をすべきである。

投稿者: 大橋医院

2020.10.31更新

拡張型心筋症の最新情報:

DCM症例型変異導入Rbm20遺伝子改変マウスの症状を解析
 東京医科歯科大学は10月23日、細胞質に蓄積する変異型RBM20タンパク質がマウスにおいて重症の拡張型心筋症(DCM)の発症に寄与することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大難治疾患研究所の難病筋疾患研究プロジェクトに参画するフロンティア研究室(遺伝子発現制御学)の黒柳秀人准教授、生体情報薬理学分野の井原健介助教・古川哲史教授、大学院医歯学総合研究科循環制御内科学分野の笹野哲郎教授ら、同難治疾患研究所分子神経科学分野、同大学院医歯学総合研究科分子病態検査学分野、大阪大学大学院生命機能研究科細胞核ダイナミクス研究室の研究グループによるもの。研究成果は、国際科学誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されている。

 DCMは、心臓機能の低下や致死性不整脈を生じる難病だ。その原因は不明であり、いまだに根本的治療は心移植しかない。近年、遺伝子解析により、DCMを起こす原因遺伝子が同定されるようになってきた。その中の一つが、スプライシング制御因子をコードするRBM20遺伝子だ。従来は、RBM20が遺伝子変異により機能を喪失し、他のDCM原因遺伝子のスプライシング制御異常を起こすことがDCMを起こす原因と考えられてきた。しかし、RBM20変異によるDCMは、他の遺伝子変異によるDCMと比較してより重症であり、心室性不整脈や心房細動といった不整脈を合併しやすいことが知られているにもかかわらず、これまでに報告されたRbm20遺伝子改変動物ではこれらの症状が再現しないことから、RBM20遺伝子の変異がDCMの重症化にどのように関係するかが不明だった。

 一方で、DCM症例で見つかるRBM20遺伝子の変異はRSRSP配列と呼ばれるRBM20タンパク質内のごく一部の領域に集中していることが知られている。先行研究により、研究グループは、この RSRSP配列の遺伝子変異によりRBM20タンパク質が細胞核に移行できなくなることを、培養細胞を用いた研究で明らかにしてきた。今回の研究では、このDCM症例型変異を導入したRbm20遺伝子改変マウスの症状を詳しく解析した。

従来考えられてきた「スプライシング異常」だけでは説明がつかず
 研究グループは、実際のDCM症例で発見されたRBM20のRSRSP配列内の1塩基置換変異を持つ遺伝子改変マウス(Rbm20S637Aマウス)とRBM20の機能を喪失させたRbm20ノックアウトマウス(Rbm20 KOマウス)を、ゲノム編集技術を用いて作製。それぞれのマウスの心臓組織でのスプライシング制御異常の程度を評価したところ、両マウスとも心臓におけるRBM20によるスプライシング制御は完全に欠損しており、Rbm20S637AマウスにおいてはRBM20タンパク質が核内に移行できないため、核内でのスプライシング制御が完全に喪失すると考えられた。

 次に、両マウスの心臓の機能と形態を評価。その結果、DCM症例型のRbm20S637Aマウスは全例の個体が重度の心機能低下を呈して観察期間中に心房細動を発症し、一部の個体では致死性不整脈や突然死が見られた。さらに、心臓の形態もDCMに類似して心室と心房が拡大し心室壁が薄くなるなど、臨床で見られるDCMの特徴と一致した。一方、Rbm20 KOマウスは従来の報告どおり軽度の心機能を呈するのみであり、不整脈はほとんど発生せず、形態も野生型(正常)マウスと変わりなかったという。

 スプライシング制御機能が同様に完全に欠損しているにも関わらず、Rbm20 KOマウスでは軽度の変化しか見られず、Rbm20S637Aマウスでは重症DCMを生じた。RBM20遺伝子変異による重症DCMは、従来考えられてきたスプライシング異常だけでは説明がつかず、未知の病態メカニズムが存在すると考えられた。

RBM20タンパク質の細胞質蓄積で、心臓での遺伝子発現変容
 そこで、細胞内でのRBM20タンパク質の分布を検討した。その結果、野生型マウスではRBM20 が細胞核の中に限局するのに対し、Rbm20S637Aマウスで変異型RBM20タンパク質は細胞核中には存在せず、細胞質に蓄積して顆粒状構造を形成していた。一方、Rbm20 KOマウスでは細胞核内にも細胞質にもRBM20タンパク質は認められなかった。

 続いて、マウスの心臓組織を用いて網羅的遺伝子発現解析(RNA-seq)を実施。その結果、Rbm20S637Aマウスは野生型マウスやRbm20 KOマウスと遺伝子発現パターンが大きく異なっており、骨格筋遺伝子の発現が誘導されている一方で、複数のDCM原因遺伝子の発現が抑制されていた。

 Rbm20 KOマウスとRbm20S637Aマウスの違いは、細胞質に変異型RBM20タンパク質が存在するかしないかのみであり、RBM20タンパク質が正常と異なり細胞質に蓄積して新たな機能を獲得することが心臓での遺伝子発現の変容、ひいては心臓機能低下、心房細動をはじめとした不整脈をもたらすことが同研究により明らかになった。

心房細動の病態解明・治療法開発への寄与に期待
 今回の研究でDCM重症化の新たなメカニズムが明らかになったことにより、DCMの病態メカニズムのさらなる解明・新規治療法の開発が期待される。また、一般的にマウスで心房細動を生じるのは極めて稀と考えられており、今までの心房細動モデルと呼ばれるマウスは薬剤投与、電気刺激や手術などさまざまな介入によりようやく心房細動が誘発できるもので、心房細動の自然発症は数種のトランスジェニックマウスでしか報告がない。

 今回の研究で用いたRbm20S637Aマウスはゲノム編集により導入した1塩基のみのヒト症例型遺伝子変異により生後10週までに全例で発作性心房細動を自然発症し、経時的に発作性から持続性へと移行する臨床心房細動の自然経過を再現する、世界初の遺伝子改変マウスだ。研究グループは、心房細動の病態解明・治療法開発にも大きく寄与すると期待される、と述べている。おおはし

投稿者: 大橋医院

前へ 前へ

SEARCH

ARCHIVE

CATEGORY

院長の為になるブログ お問い合わせ Facebook Facebook
doctorsfile