大橋院長の為になるブログ

2021.06.30更新

多剤併用中でもスタチン中止で死亡リスク上昇:

長生きするほど病気にかかりやすくなるのは仕方のない面があり、高齢者は多数の薬が処方される「多剤併用」状態になりやすい。多剤併用による副作用や相互作用を避けるために、医師は処方薬を削ろうと努力する。しかし、そのような場合でも、スタチンと呼ばれるコレステロール低下薬は中止すべきではないことを示唆するデータが報告された。ミラノ・ビコッカ大学(イタリア)のFederico Rea氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に6月14日掲載された。

 論文の筆頭著者であるRea氏は、「多剤併用による相互作用を抑えるために処方薬を減らすプロセスについては、大きな議論になっている」と、今回の研究の背景を語る。同氏らは、医療データベースを用いた住民ベースの後ろ向きコホート研究により、スタチンを処方から外した場合の予後への影響を検討した。研究の対象は、2013年10月~2015年1月に、スタチン、降圧薬、抗糖尿病薬、および抗血小板薬が処方されていた65歳以上の地域住民2万9,047人(平均年齢76.5±6.5歳、男性が62.9%)。

 スタチン処方が中止された患者と継続されていた患者から、傾向スコアで背景因子を一致させた患者を抽出し、2018年6月まで追跡してアウトカムを比較した。その結果、スタチン中止群で心不全や心血管イベントによる入院、全死亡などの有意なリスク上昇が認められた。具体的には以下のとおり。心不全による入院〔ハザード比(HR)1.24(95%信頼区間1.07~1.43)〕、心血管イベントによる入院〔HR1.14(同1.03~1.26)〕、全死亡〔HR1.15(同1.02~1.30)〕。

 Rea氏は、「心血管イベントの一次・二次予防におけるスタチンの有用性は確立されており、またスタチンにはほとんど副作用が見られない」とスタチンの重要性を指摘。その上で今回の研究結果について、「スタチンの中止は心血管イベントと死亡リスクの上昇に関連している。多剤併用時に、例えばせん妄のエピソードがあったからとスタチンを処方から削ることは、賢明な方法ではない可能性がある」と述べている。

 本研究には関与していない米国の2人の専門家も、「多剤併用時に医師や患者が薬剤を減らそうとするのはごく一般的なことだが、必ずしも安全なことではない」と指摘している。その1人は米ノースウェル・ヘルス、サンドラ・アトラス・バス・ハート病院のBenjamin Hirsh氏だ。同氏は、「処方薬を減らそうとする際には今回の報告を勘案して、どの薬剤を中止するかを慎重に検討すべきである」と語っている。また「米国心臓協会(AHA)と米国心臓病学会(ACC)は、75歳以前にスタチン処方が開始された患者には、服用に支障がなければ75歳以降も継続することを推奨している」と解説。ただし、75歳以上の患者に対して新規に処方すべきか否かについては結論が出ていないという。

 もう1人の専門家である、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のGregg Fonarow氏は、今回の報告の重要性を疑わない。「この研究は、他の多くの薬剤を服用している高齢者であっても、スタチン療法を継続することの実質的なメリットを強く支持している。また、熟考せずに薬剤処方を中止することのリスクも浮き彫りにした研究だ」と同氏は評価。さらに、「処方薬を減らすことを前提として、推奨されている有用な薬剤を削る行為は、患者を心血管イベントリスクに曝すものであり、患者中心の医療とは言えない」とも語っている。同氏は、スタチンの有用性が潜在的なリスクを上回るという、大規模臨床試験のエビデンスがあることを強調している。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.06.29更新

オメガ3脂肪酸サプリメントが心房細動リスクに関連:

心血管リスクが高い人では、オメガ3脂肪酸のサプリメントが心房細動(AF)のリスク上昇に関連することが、「European Heart Journal: Cardiovascular Pharmacotherapy」で4月28日に報告された。

 サクロ・クオーレ・カトリック大学(イタリア)のMarco Lombardi氏らは、心血管リスクが高い人の心血管アウトカムにオメガ3脂肪酸が関連するかどうかを調べるため、ランダム化対照試験5件(患者5万277人)のメタ解析を実施。

 その結果、オメガ3脂肪酸の摂取は、プラセボに比べ、AFリスク上昇と関連することが判明した(発生率比1.37)。感度分析としてVITAL rhythm試験を含めたところ、オメガ3脂肪酸群はプラセボ群に比べAFリスクが高いことを確認した(発生率比1.29)。追跡期間は2~7.4年で、オメガ3脂肪酸の摂取量は1日0.84~4gだった。

 「1件の臨床試験では心血管効果に便益があることが示されていたが、オメガ3脂肪酸サプリの処方の際には、不整脈を発生しやすい患者では特に、AFリスクについて考慮されるべきである」と著者の1人は述べている。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.06.28更新

タバコ起因のCOPD,メトホルミンで症状改善の可能性:

たばこの煙が誘発する気腫性の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病状に対するメトホルミンの緩和効果をマウスおよびヒト試験で検討した。

 マウス試験では、マウスを慢性的なたばこ煙に曝露し、曝露の後半にメトホルミンを投与した。その結果、メトホルミンはin vivoおよびin vitroでたばこ煙誘発性の肺炎症、空域拡大、末梢気道リモデリング、糸球体縮小、酸化ストレス、テロメア損傷、老化、代謝異常および小胞体(ER)ストレスを防御し、AMPK経路が防御活性の中心だった。COPD発症の遺伝的要因を調査する大規模な多施設共同研究のCOPDGene試験被験者を対象に、5年間追跡調査した結果、メトホルミン投与患者群は非投与群に比べ、肺気腫の進行遅延(-0.92%、CI -1.7%--0.14%、P=0.02)および調整後肺密度の低下(2.2g/L、95%CI 0.43g/L-4.0g/L、P=0.01)が確認された。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.06.26更新

アルツハイマー薬の「ゴスラネマブ」の開発中止:

米バイオジェンは、早期アルツハイマー病(AD)治療薬として開発していた「ゴスラネマブ」の開発を中止すると発表した。臨床試験で有効性を確認できなかった。試験には日本も参加した。

 軽度認知障害(MCI)または軽度のAD型認知症に対する第2相臨床試験(P2)で、同剤の臨床的有効性を確認できなかった。日米欧などで約650人を登録して行った。認知機能の評価指標として設定した5種類すべての評価で、有意な治療効果が認められなかった。安全性や忍容性の問題はなかった。

 ゴスラネマブはADの症状進行の原因物質とされる「タウたんぱく質」を除去する抗体。米ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)から導入した。バイオジェンはゴスラネマブと異なるタウの部位を標的にした別の抗タウ抗体も開発している。同抗体では、米アッヴィ、米イーライリリーの開発品もP2段階。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.06.25更新

Covid-19大流行下で青年の精神的健康は悪化する。:

 

アイスランドで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)大流行が青年の精神的健康と物質使用に及ぼす影響を縦断的に評価。2016年および2018年の10月または2月、2020年10月(COVID-19流行期間)に全国の学校で13-18歳を対象に調査を実施し、得られた回答5万9701件を用いて、抑うつ症状、精神的健康度、喫煙や電子たばこ使用、酒酔いの頻度を評価した。

 その結果、COVID-19流行前の同年齢と比べると、COVID-19流行下で、抑うつ症状の増加(β 0.57、95%CI 0.53-0.60)、精神的健康度の悪化(同-0.46、-0.49--0.42)が全年齢層で認められ、女子(同4.16、4.05-4.28)の方が男子(同-1.13、-1.23--1.03)よりも有意に不良だった。喫煙(オッズ比2.61、95%CI 2.59-2.66)、電子たばこ使用(同2.61、2.59-2.64)、アルコール中毒(同2.59、2.56-2.64)は、15-18歳ではCOVID-19流行下で減少し、性別による差は認められなかった。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.06.24更新

米FDAがアゼラスチン点鼻液のOCT化承認:

米国食品医薬品局(FDA)は6月17日、成人および6歳以上の小児の季節性・通年性アレルギー性鼻炎治療薬に用いる第2世代抗ヒスタミン剤アゼラスチン点鼻スプレー0.15%製剤(商品名Astepro、Bayer Healthcare社)のスイッチOTC(一般用医薬品)化を承認した。

 抗ヒスタミン点鼻薬の医療用医薬品からOTCへの転用は今回が初めて。なお、生後6カ月以上6歳未満の通年性アレルギー性鼻炎および2歳以上6歳未満の季節性アレルギーを適応とするアゼラスチン点鼻スプレー0.1%製剤の承認は、これまで通り医療用医薬品(処方薬)に限定される。

 アゼラスチンは眠気を引き起こす可能性がある。同薬のラベルには、服用時には飲酒を避け、自動車運転や機械の操作に注意するよう警告が明示されている。アルコールや鎮静剤、精神安定剤を併用すると眠気が増すことがある。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.06.23更新

新型コロナワクチンとインフルエンザの同時接種は安全かつ有効:

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するNovavax社製NVX-CoV2373ナノ粒子ワクチンの安全性と有効性を検証する第III相無作為化比較試験の一環として、インフルエンザワクチン同時接種に関するサブ解析を実施した結果、同時接種は有効で、免疫原性、安全性に問題ないことが確認された。結果は、2021年6月13日にプレプリントサーバー「medRxiv」で報告された。

 主解析の被験者1万5187例のうちインフルエンザワクチンにアレルギーのない431例をサブ解析の対象とし、NVX-CoV2373接種群(217例)とプラセボ接種群(214例)に割り付けた後、初回接種時に非盲検でインフルエンザワクチンを接種した。接種後7日間の自発的に報告された有害事象(AE)、診察を要したAE、重篤なAEに関する情報を収集。インフルエンザおよびSARS-CoV-2の抗体価を測定した。有効性の主要評価項目は、2回目のワクチン接種から7日以降に発症した初発新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に規定した。

 その結果、同時接種群では、NVX-CoV2373単独接種群と比べ、注射部位の圧痛(70.1% vs. 57.6%)または疼痛(39.7% vs. 29.3%)、倦怠感(27.7% vs. 19.4%)、筋肉痛(28.3% vs. 21.4%)の発現率が高かった。初回接種から21日後までに自発的に報告されたAE、診察を要したAE、重篤なAEの発現率は全体として低く、同時接種群とNVX-CoV2373単独接種群の間で差は見られなかった。インフルエンザワクチンの免疫応答に同時接種による変化は見られなかったが、NVX-CoV2373ワクチンの免疫応答はわずかに低下した。ワクチンの有効率はサブ解析では87.5%、主解析では89.8%だった。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.06.22更新

小児のCovid-19,インフルエンザより重症度が高い:

欧州(仏・独・西)、韓国、米国のリアルワールドデータを用いて、2020年1月から6月までの間に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した18歳未満の患者の患者背景や臨床経過を検討。2次解析で、2017-18年の季節性インフルエンザ患者と比較した。

 COVID-19の診断を受けた患児24万2158例(そのうち入院9769例)およびインフルエンザの診断を受けた208万4180例を検討した。その結果、神経発達障害、心疾患、がんなどの併存疾患有病率は、入院したCOVID-19患者の方が、入院しなかったCOVID-19患者よりも高かった。呼吸困難、細気管支炎、嗅覚障害、消化管症状の発現率は、COVID-19患者の方がインフルエンザ患者よりも高かった。COVID-19に対する入院治療で、転用薬(10%未満)および補助治療で、詳細は全身性コルチコステロイド(6.8-7.6%)、ファモチジン(9.0-28.1%)および抗血栓薬(アスピリン2.0-21.4%、ヘパリン2.2-18.1%、エノキサパリン2.8-14.8%)が広く使用されていた。COVID-19患者の入院率は0.3-1.3%で、30日致命率は検出不能だった(データベース当たり5例未満)。COVID-19患者の方がインフルエンザ患者よりも肺炎および低酸素血症が多く見られた。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.06.21更新

新型コロナ「インド株」、日本人に多い免役応答から避難すると判明:

「懸念すべき変異株」は中和抗体だけでなく細胞性免疫からも逃避している?
 東京大学医科学研究所は6月16日、新型コロナウイルスの「懸念すべき変異株」である「カリフォルニア株(B.1.427/429系統)」と「インド株(B.1.617系統;デルタ型)」に共通するスパイクタンパク質の「L452R変異」が、HLA-A24を介した細胞性免疫からの逃避に関わることを明らかにし、また、「L452R変異」は、ウイルスの感染力を増強する効果もあることを明らかにしたと発表した。この研究は、同研究所附属感染症国際研究センターシステムウイルス学分野の佐藤准教授が主宰する研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan (G2P-Japan)」によるもの。研究成果は、「Cell Host & Microbe」オンライン版に掲載されている。

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、2021年6月現在、全世界において1億5千万人以上が感染し、350万人以上を死に至らしめている、現在進行形の災厄。世界中でワクチン接種が進んでいるが、2019年末に突如出現したこのウイルスについては不明な点が多く、感染病態の原理やウイルスの複製原理、免疫逃避と流行動態の関連についてはほとんど明らかになっていない。

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、2021年6月現在、全世界において1億5千万人以上が感染し、350万人以上を死に至らしめている、現在進行形の災厄。世界中でワクチン接種が進んでいるが、2019年末に突如出現したこのウイルスについては不明な点が多く、感染病態の原理やウイルスの複製原理、免疫逃避と流行動態の関連についてはほとんど明らかになっていない。

日本人に多い細胞性免疫型HLA-A24によって認識される部位に変異
 今回の研究では、まず、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の一部が、「HLA-A24」という、日本人に多く見られる型の細胞性免疫によってきわめて強く認識されることが、免疫学実験によって実証された。

 次に、75万配列以上の新型コロナウイルス流行株の大規模な配列解析を実施。結果、スパイクタンパク質のHLA-A24で認識される部位に、いくつかの重要な変異があることが判明した。昨年デンマークで流行したB.1.1.298系統で見つかったアミノ酸変異「Y453F」、および、現在世界中で流行拡大しているB.1.617系統(通称:インド株)とB.1.427/429系統(通称:カリフォルニア株)のアミノ酸変異「L452R」だ。

 さらに免疫学実験により、これらの変異はいずれも、HLA-A24による細胞性免疫から逃避することが実証された。これは、「懸念すべき変異株」が、細胞性免疫から逃避することを実証した世界で初めての成果だという。

インド株とカリフォルニア株のL452R変異は感染力も増強
 今回の研究で見出されたY453F変異とL452R変異はどちらも、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の中でも、新型コロナウイルスの感染受容体に結合するモチーフの中の変異だった。そこで次に、これらの変異が、ウイルスの感染と複製効率に与える影響を、ウイルス学実験で検討。その結果、L452R変異は、ウイルスの膜融合活性を高め、感染力を増強させることが明らかとなった。

 L452R変異は、現在世界中で流行拡大しているインド株に特徴的な変異。また、L452R変異による免疫逃避に関わる、細胞性免疫を担うHLA-A24というタイプの白血球抗原は、約60%の日本人が持っている。L452R変異は、日本人に多いHLA-A24による細胞免疫から逃避するだけでなく、ウイルスの感染力を増強しうる変異であることから、この変異を持つインド株は、日本人あるいは日本社会にとって、他の変異株よりも危険な変異株である可能性が示唆される。

 今回の研究を実施した研究コンソーシアム「G2P-Japan」では、今後も、新型コロナウイルスの変異(genotype)の早期捕捉と、その変異がヒトの免疫やウイルスの病原性・複製に与える影響(phenotype)を明らかにするための研究を推進するとしている。おおはし

投稿者: 大橋医院

2021.06.19更新

心房細動診断後の禁酒で虚血性脳卒中リスク低下:

 韓国の全国民を対象としたコホート研究で、心房細動(AF)新規診断後のアルコール摂取状況と虚血性脳卒中リスクとの関連性を検討。全国民診療報酬請求および健康診断データベースから、2010-16年に新たにAFの診断を受けた患者を組み入れ、非飲酒者、AF診断後禁酒者、現飲酒者に分類し、虚血性脳卒中発症率を比較した。

 その結果、新規AF患者9万7869例のうち、51%が非飲酒者、13%がAF診断後禁酒者、36%が現飲酒者だった。31万926人・年の追跡調査の結果、3120例に虚血性脳卒中が発生した(1000人・年当たり10.0件)。5年の追跡調査では、AF診断後禁酒者および非飲酒者の脳卒中リスクが現飲酒者よりも低かった(▽逆確率重み付け後の発生率差:AF診断後禁酒者1000人・年当たり-2.03、95%CI -3.25--0.82、非飲酒者:同-2.98、-3.81--2.15、▽逆確率重み付け後の発生率比:非飲酒者0.75、95%CI 0.70-0.81、AF診断後禁酒者0.83、0.74-0.93)。

おおはし

投稿者: 大橋医院

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