大橋院長の為になるブログ

2022.09.18更新

<タチオンと美白>
グルタチオンと美容
グルタチオンは、その強力な抗酸化作用と抗メラニン作用によって、老化予防や皮膚の美白などの美容目的で使用されています。
韓国やフィリピン、アメリカでも美容目的でのグルタチオン点滴が人気ですが、その有効性と安全性はどうなのでしょうか。
グルタチオンとは
グルタチオンは3つのアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)が結合したペプチドです。体内でも肝臓で合成されており、魚や野菜、果物にも含まれています。
酸化型と還元型がありますが、細胞内のグルタチオンはほぼ還元型であるため、通常、「グルタチオン」はSH基(チオール基)を持つ還元型(Glutathione-SH, GSH)を指します
グルタチオンの働き
抗酸化作用
グルタチオン(GSH)は、チオール基(SH基)を持っており、そのチオール基を用いて、生体内で活性酸素種を中和して消去します1。
外因性抗酸化物質であるビタミンC、およびビタミンEを還元型(活性型)に維持して、抗酸化作用を発揮する手助けをします1, 2。
つまり、グルタチオンは体内で作られる抗酸化物質として働くだけでなく、外から取り入れられた抗酸化物質と協力して、「体をさびさせないようにする重要な役割」を担っています。
解毒作用
グルタチオンは、様々な薬物や毒物(解凍系というエネルギー生産系から生じるメチルグリオキサールなど)と結合して、胆汁中や尿中に排出します3, 4。
抗メラニン作用
メラニン色素細胞は「チロシナーゼ」という酵素の働きで、チロシンからドーパ、ドーパキノンを経て、メラニンを作ります。
グルタチオンは、このチロシナーゼという酵素の働きを阻害することによって、メラニンの形成を防ぎます6, 7, 8。
フェオメラニンの合成
メラニンにはユーメラニンとフェオメラニンの2種類があります。ユーメラニンは黒褐色、フェオメラニンは黄色~赤色のメラニンです。
肌や髪の色は、ユーメラニンとフェオメラニンの割合の多さで決まっています。 白人はフェオメラニン優位で、黒人はユーメラニン優位です。
グルタチオンは、メラノサイト内で黒褐色のユーメラニンから黄色~赤色のフェオメラニンへシフトすることで、フェオメラニンの合成に積極的に関与しています9, 10。
美白効果
グルタチオンは、世界中の皮膚科・美容皮膚科やサプリメント、化粧品などの美容業界で使用されている割には、エビデンスははっきりしません。
点滴では、グルタチオンの他に、グルタチオンの前駆体であるNアセチルシステイン、生成に必要なシステインやグリシンといったアミノ酸、相乗的に働くビタミンCのような他の抗酸化物質、グルタチオンの再生を助けるα-リポ酸なども行われますが25、複合的に行う場合はグルタチオン単独の効果か、他の薬剤の効果か、または協同的に働いているのかはわかりにくくなります。
グルタチオンはメラニンの形成を抑制し、明るいフェオメラニンの合成を促進するため、皮膚白色化に効果的と考えるかもしれませんが、in vitroでチロシナーゼ阻害やメラニン抑制を示さなかったという報告もあります11。
グルタチオンの内服
経口グルタチオン(グルタチオンの飲み薬)は、抗炎症作用がある抗酸化剤であり26、肝斑などのくすみの補助的治療として研究されています。
タイの医学生60人を対象に、500mg/日のグルタチオン、または、プラセボを4週間内服した試験では、グルタチオン群で有意にメラニン指数が減少しました13。
フィリピン人女性30人を対象にしたランダム化比較試験では、500mg/日のグルタチオントローチ錠(口の中で溶ける溶解錠)を8週間投与した試験では、メラニン指数の有意な減少を示しました14。トローチ錠は、胃腸を迂回して、粘膜から有効成分が吸収されるため、経口剤よりも効果的であるしています。
60人の女性を対象に、還元型グルタチオン(GSH)250mg/日、酸化型グルタチオン(GSSG)250mg/日、プラセボを投与して12週間観察した試験では、GSH群、GSSG群でプラセボよりもメラミン指数は低くなり、 40歳以上の被験者では、紫外線を照射した皮膚部位のメラニン指数は、プラセボ群と比較してGSH群で有意に減少したと報告されています15。
当院の方針
グルタチオンは古くから使われている安価な薬剤であり、美容の分野で多大な金額を払ってまで大規模な試験が行われることはほとんどないため、美容医療にエビデンスを求めること自体が難しいことなのかもしれません。
小規模な試験で内服のグルタチオンに皮膚白色化の効果が報告されていますが、それによってグルタチオンの美白効果のエビデンスが確立されたとは言えません。
経口投与(飲み薬)のグルタチオンでも、血漿中のグルタチオン濃度の増加が認められますが22, 23, 24 、経口投与(飲み薬)よりも、点滴や口腔溶解錠のほうが生体利用率が高いことが指摘されています21。
飲み薬の利点は、比較的安価であり安全性が高いことです。点滴では、通院が必要であり1時間ほど院内に滞在して頂く必要があります。
当院では、薬剤のデメリットや点滴自体のデメリットも含めて、説明用紙をお渡ししたうえで、希望者にのみオプションでグルタチオンを追加できるように設定しています。
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投稿者: 大橋医院

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