大橋院長の為になるブログ

2022.06.09更新

<丘の上のグループホーム>  大橋信昭
(以下の文章はフィクションであり、事実と異なるものであります。)
 私は丘の上のグループホームを30年以上、提携医と私は務めている。私は、他の特別養護老人ホームでも、2施設、10年は経験を積んでいる。今回、この“山岡伸江”を、昨日、回診、診察して驚いた。
2週間前は、飲水が全く出来ず、寝たきりで、発語もなく、手足も動かそうとせず、血圧は80/60を切り,酸素飽和度は80前後であった。体重減少が進行していた。私は昇天が近いと、思い親戚、家族、兄弟、皆集めて「もう山岡さんは10日に近く、何も食べておらず、寝たきりであり、バイタルはやっと保たれているが、もう2週間後には、昇天されるでしょう。やがて、意識を失い、眠ったように三途の川を渡り、そこには、争いもなく、全ての苦痛もなく、お花畑に取り囲まれて、幸せに暮らすでしょう。親戚の皆さん、本人は今、苦しんでいません。天国への道を見ていきましょう。」私は、こう述べ死亡診断書を用意していた。
 昨日の山岡伸江さんは、車いすにがっちり座り、食事は1時間近くかけて、全量摂取、普段はリビングで暮らし、嚥下困難を克服し、全身の栄養状態も良くなり、私に笑い顔をみせ、強く握手しあった。もう見取り体制ではない、リハビリにより、立位、歩行、入浴、トイレ、など自立の道へ進んでもらおう。ここまでに至るには若園リーダーの灯がつくような情熱、介護士さんの日常の自方向への、血と涙の努力、徳丸会病院から訪問看護ステーションが来てくださり、バイタルのチェック、毎日の穂液、優しい言葉の投げやり、、、これらが重なって2週間にて自立で座位、介助かで一日のおかゆ全量摂取、感情も豊かになり、天獄の門は施錠された。一番心配していたのは、慢性心不全で入退院を繰り返していたご主人であった。山岡さんは自立への道をしっかり歩きはじめた。主治医の私は驚いている。特別養護老人ホーム勤務中は、私が到着前に、婦長より見取りの話は、伝わっており、寝たきり、点滴もせず、絶飲食のまま1-2週間で三途の川を渡られた。私も,死亡診断書を特養で200枚近く書いてきたが、反省点は多い。見取りと決めたら、清拭のみで、自立の向上は試みさえない、すぐに御臨終である。
 最近、自立支援という言葉が叫ばれているが、山岡さんのような重症例、他にもグループホームには17人入居者がいるが、リーダーはじめ介護士さんのたゆまない努力が必要である。最近、丘の上のグループホームは笑顔がたえず、自立向上に励む入居者が多い。素晴らしいことである。私認定医は、当施設を全国に自慢したい。ありがとう、スタッフの皆さん(完)

投稿者: 大橋医院

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