大橋院長の為になるブログ

2022.02.25更新

意識調査「自身の専門とする疾患へのスティグマ※」、第2回はその具体的な内容を自由回答で聞いた。「抗てんかん薬の服用を話しただけで解雇された」「大腸癌の手術に際し、人工肛門は絶対いやと言われた」といった社会全体におけるスティグマだけでなく、「術者から、俺にダルムを見せるなと叱責された」、「下の病気や性病などしかみていないと思われている」などと、医療者の中のスティグマを指摘する意見も多く寄せられた。(m3.com編集部・坂口恵)

※精神的、身体的あるいは社会的欠陥と見なされる個人の特徴に付けられるネガティブな社会的態度。社会的否認を意味し、不当な差別や個人の排除をもたらすことがある(参照:米国心理学会・心理学用語辞典「stigma」)

【調査の概要】
調査期間:2021年12月18-23日
対象:m3.com医師会員
回答者総数:1000人(勤務医226人、開業医774人)
統計に基づく世論調査ではありません
疾患と社会的スティグマ
抗てんかん薬で無発作も解雇
仕事の同僚に抗てんかん薬を服用していることを話しただけで、上司に知られ、何年も発作が起きていなかったにもかかわらず、社長自らが出てきてクビにされた患者がいる。またその理由も誰が聞いても理不尽な理由であった。そのような事が多くなると、患者は定職につきにくくなり、きちんと治療を受けようとする気持ちを萎えさせる。【脳神経科勤務医】
減ってはきましたが、てんかんと診断されること自体に対する不快感を言われたことがあります【脳神経科勤務医】
糖尿病で生命保険加入が困難に
病名告知で内定取消し、縁談破談、出向、左遷、退職に追い込まれた等。また、病名が付くのを嫌がり治療拒否する例もある【脳神経科勤務医】
生命保険への加入【糖尿病科勤務医】
糖尿病への社会的偏見【糖尿病科勤務医】
月経関連症状への無理解【産婦人科開業医】
不妊患者さんへの周りや身内からの心無い言動で患者さんが傷ついているのをよく見かける【産婦人科勤務医】
「見えるので攻撃されやすい皮膚疾患」
子供の頃からアトピー性皮膚炎で何回か入院した。その体験をもとに皮膚科を目指した。皮膚(疾患)は外から見えるので、攻撃されやすい【皮膚科開業医】
乾癬は見た目の問題もある【皮膚科開業医】
双極性障害における躁状態における障害や統合失調症における障害においてなかなか難しいところがあって、初診から双極性障害と診断されるまでに5年以上かかる場合もあった【外科勤務医】
精神科、患者が受診してこなくなる、御近所から悪く言われる、等々【精神科勤務医】
「コロナ怖いから来たくなかった」
「コロナが怖いから本当は〇〇科には来たくなかった」と面と向かって言う患者が存在する【耳鼻咽喉科勤務医】
コロナ診療者への差別を時に感じます【呼吸器科開業医ほか複数】
ウイルス性肝炎の治療であったため、患者さんが覚せい剤などの自己注射による中毒者ではないかと疑われたことがある、との話を聞いた【内科開業医】
感染症にかかってしまった人を責める発言が非医師の同僚からしばしば聞かれる【内科開業医】
がんスティグマ「人工肛門は絶対嫌」
大腸癌の手術に関して、「人工肛門は絶対いや」みたいなことはよく言われます【外科系勤務医】
化学療法による予期せぬ副作用に対する医師間、医師・患者間における理解不足【外科系勤務医】
線維筋痛症の患者は、さぼっているとみられがちなので、精神的なケアが必要【外科勤務医】
うつ病、統合失調症と診断されることによるレッテル、周りからの批判【内科開業医】
医療界の中のスティグマ
「患者に会わない」で病理奨めた結果
疾患というか診療科に対するstigmaが酷い。学生、研修医の頃、そして、臨床で後期研修を始めて暫くした時、変な奴(医者)は、患者に会わないという理由から、病理を奨められる。その結果として、変な奴≒使えない=仕事を任せられない=仕事をしないで良いお気楽な病理医が増えている。【内科勤務医】
HIV診療【内科勤務医】
でもしか治療と呼ばれる放射線治療【外科系勤務医】
「俺にダルムを見せるな」と叱責
管腔臓器に対し必要以上に、「医学的に不潔」だと感じる風潮。最近ではないが、腹部大動脈瘤の手術の際、小腸をbagに収納するのに手間取った際、術者(病院管理者、理事)から「俺にダルムを見せるな」と叱責されたことがあります。【消化器科勤務医】
難病を専門としていると医者も患者も「奇人」扱いされることがある【消化器科勤務医】
外科と消化器内科の医師が、当科疾患を見下している【糖尿病科勤務医】
「下の病気や性病は泌尿器科のごく一部」
どうしても下の病気や性病などしかみていないと思われ、笑いや興味本位の会話が多くなってしまいます。実際は泌尿器科の中でわずかな部分なのですが、理解されないようです。【腎・泌尿器科開業医】
整形外科=脳筋、整形外科=骨大工、という他科の医師からの差別・偏見【整形外科勤務医】
精神疾患全般に感じるが、とくに統合失調症や自閉スペクトラム症には嫌悪感を示すひとが多く、医療従事者も例外ではない【精神科開業医】
他科でまじめにみてもらえない【精神科勤務医】
自分は精神科医だが、一般住民だけでなく医療職の中にも偏見を持つものはいて、「精神科医療の存在自体を否定するもの」すらいるのが現状だと思う。もちろん、20~30年前と比べたらそういった偏見や誤った認識を持った人は減っているとは思います。【精神科勤務医】
スティグマとは
「浸透していないカタカナ」
スティグマとなぜ呼称するのか【呼吸器科開業医】
スティグマって何ですか?【内科勤務医ほか複数】
浸透していないカタカナで質問しないでほしい【脳神経科勤務医】
医療を使命としている以上、質問の意味がわからない【呼吸器科勤務医】
個人的には感じたことはない【呼吸器科勤務医ほか複数】
考えたことがない【外科系勤務医ほか複数】
質問の意味がわかりません。私自身がstigmaを感じる理由は何もありませんが、私が専門とする疾患群についてはすでに患者のstigmaについての研究があり海外から論文になっています。患者のstigmaは「大いにある」ことがわかっており、問診でもそれは容易に確かめられます。外見の劣等感、低い認知度、周囲の無理解、医師からは精神疾患との誤解、がstigmaの主な原因です。なお、stigmaはもともとキリスト教の用語で「聖痕」の意味ですから、質問文に書かれた説明は微妙に違っているように思います【脳神経科勤務医】
意味不明なアンケートだ。病気そのものは社会とは無関係で患者固有の問題だ。故にその責任は個人に帰結する【消化器科勤務医】

投稿者: 大橋医院

SEARCH

ARCHIVE

CATEGORY