大橋院長の為になるブログ

2022.01.19更新

コロナ禍で感じる変化
「医療への目がだんだん厳しくなっている」
――先生にとって、今回のCOVID-19パンデミックで受けたポジティブな変化、ネガティブな変化があれば教えてください。

 ポジティブな変化は、自分が呼吸器内科医として現役のときにこのような世界的に問題となるような感染症に思い切り遭遇したことでしょうか。なかなかできない経験ですよね。大変なこともありましたが、おかげさまで医療界以外のいろいろな業界の方とを知り合えましたし、世の中がいろいろな人や組織によって動かされているのだなということが実感できたことは貴重でした。

 ネガティブな面は……そうですね。医療や医学に対する一般の人の目が冷たくなった気がすることでしょうか。最初は「コロナの最前線で闘ってくれてありがとう」みたいな感じだったと思うのですが、だんだん「一体、あなたたちはずっと何やっているの?」という感じになってきている気がします。

 科学的に納得できる数字の話が少ないし、雰囲気で全てを決めているのかという感じになってきているというか。例えば、「これはなぜこうなるのか」ということを理論的に説明できるのかと言われたら、できないことも結構ある気がします。医療ではできないことははっきりできない、医学でも分からないことは分からないと言った方がいいかなと思うのですが。医療と医療以外の社会が今回、かなり密接に絡んだので、医療への目がだんだん厳しくなってくるのかなというのを心配しています。

――「医療への目が厳しくなっている」というご意見は少し意外でした。政策と医学・医療としての妥当性のバランスを取るのが難しいのだな、というのは一市民の立場からの感想ですが、そういったことでしょうか。

 全体的なことを考えるのは政治が決めるということですよね。僕らは医学・医療の中にいる人なので「医療現場からするとこういうことがいいと思います」ということですが、政治側の人は医学医療以外の社会のことを全部包含し考えないとならない。つまり全体を天秤にかけて、少しでも上に行く方を選ばないといけないと思うんですよね。51%賛成で49%反対だったら、賛成の側に進める。政治はそういうところを担っている。でも、医療者の僕らは「1人でも救いたい」というような、やや極端な議論に流れがちだなと。そうするとやはり、「医療としてはいいけども、社会全体としては通用するのか」という厳しい目が向くように思います。

2022年の目標
「自分のコロナ研究は終わり」
――最後ですが、2022年の目標を教えていただけますか。

 来年こそは研修医の先生たちの歓迎会をやりたいです。特に初期研修医の先生たちはここに来たのはもう2年前ですから、歓迎会ではなくて終わりの会になってしまう!(笑)。もう、謝るしかないですね。

――呼吸器内科の診療・研究面についてはいかがですか。

 それは今までと同じですね。臨床研究と診療を進めていく。肺がんや間質性肺炎、気管支喘息に重点を置いていくのは、コロナ禍前から変わりません。僕の中でのコロナの研究はもう終わりです。最後に、コロナ治療の近未来予想図をお見せしましょうか。

コロナ治療の近未来「発症早期の薬が中心に」
――ぜひお願いします。COVID-19治療薬は発音が難しい薬が多いですよね。

 舌を噛みそうな名前ばかりですよね。図の通り、点線より向かって左側、軽症から無症状の濃厚接触者に発症1週間以内に投与するような薬が今、どんどん開発されています。インフルエンザのオセルタミビル(商品名タミフル)予防投与のような感じです。重症化した後の薬はバリシチニブ、デキサメタゾン、レムデシビルからあまり変わっていない。製薬企業も、より軽症の人の人数が多いので開発も必然的にそちらがターゲットになります。

投稿者: 大橋医院

SEARCH

ARCHIVE

CATEGORY