大橋院長の為になるブログ

2022.01.13更新

流行初期の2021年11~12月にNCGM病院に入院した感染患者11人

 国立国際医療研究センター(NCGM)は1月5日、新型コロナウイルスのオミクロン変異株に感染した11例の臨床経過とウイルス排出期間に関する報告をNCGMのウェブサイトで公表した。この報告はNCGMによるもので、研究成果は「Global Health & Medicine」に掲載されている。

 2021年11月に南アフリカでオミクロン変異株が検出されたのち、この変異株は急速に世界に広がった。日本においても11月28日にナミビアからの帰国者が新型コロナウイルス陽性と診断され、その後オミクロン変異株と確定診断されている。NCGMは、オミクロン変異株が国内で最初に検出された患者を含めて、オミクロン変異株の流行初期から患者対応を行ってきた。オミクロン変異株感染者の臨床経過やウイルス排出期間に関する情報はまだ限られているため、このたびNCGMは同報告を作成した。

 今回の報告の対象となったのは、流行初期の2021年11~12月に国立国際医療研究センター病院に入院したオミクロン変異株感染患者11人。患者背景、渡航地域、ワクチン接種歴、画像所見、症状、治療、ウイルスの排出期間についてのまとめが作成された。RT-PCRにはXpert(R) Xpress SARS-CoV-2(セフェイド)が用いられ、ウイルス排出は N2ターゲットに対するthreshold cycle(Ct)値で測定された。

成人は全員がワクチン2回接種後で、重症化した患者はいなかった

 11人の年齢の中央値は39歳(範囲:1歳~64歳)、10人が男性だった。全員が海外からの帰国者であり、8人がアフリカ、1人が欧州、北アメリカ、ラテンアメリカからだった。小児を除いた10人に2回のワクチン接種歴(7人がモデルナ社、3人がファイザー社)があったが、3回目のブースター接種を完了した患者はいなかった。基礎疾患を有したのは3人であり、高血圧が2人、高脂血症、糖尿病が1人だった。

 調査時は11人中3人が無症状であり、入院時に多く認めた症状としては発熱、咽頭痛(5人、46%)、咳嗽(4人、36%)があった。肺炎または酸素療法が必要な患者はいなかったため、抗ウイルス薬やステロイドはどの患者にも投与されていない。ただし、重症化リスクを有する1人に対してはソトロビマブ(ゼビュディ)が投与されている。

 11人の患者から採取した鼻咽頭ぬぐい液57検体のCt値を解析したところ、> 30となるのに6.0日、>35に10.6日、>40に15.1日、>45に19.7日が必要だった。

ワクチン2回接種でも未接種と同程度の期間ウイルス排出が続く可能性

 今回の研究では、米国からの報告と同様に、日本国内の流行初期にオミクロン変異株に感染した患者はワクチン接種歴のある若年者で、軽症が多いという結果だった。また、ウイルスの量を示す一つの指標にPCRのthreshold cycle(Ct)値がある。今回の研究ではCt値が検出感度以下の>45になるのに19.7日、>35となるのに10.6日という結果だった。オミクロン変異株が流行する以前の研究ではCt >35となると新型コロナウイルスが検出される可能性が低くなると報告されている。

 今回の研究ではCt値が35未満となるのに10.6日かかっていたが、これはワクチンを接種せずに罹患した人の場合とほぼ同じ期間。よって今回の結果は、「オミクロン変異株による感染では、2回のコロナワクチンが接種され症状が軽い場合であっても、ワクチンを接種せずに罹患した人と同じ程度の期間ウイルスの排出が続く可能性」を示しており、感染予防策は今後も重要であると考えられる。

 なお、今回の研究の限界としては11例のまとめであるため偏りが生じうる点、Ct値はあくまでウイルス量の推定であり、Ct値とウイルス検出の相関については今後の調査が必要である点などが挙げられる。

投稿者: 大橋医院

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