大橋院長の為になるブログ

2021.11.06更新

 若い世代では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種の副反応として、心筋炎や心膜炎(以下、心筋炎)が起きることが報告されている。しかし、心筋炎の発症リスクは、ワクチン接種よりもCOVID-19罹患での方がはるかに高いことが、新たな研究で示された。米ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部のMendel Singer氏らによるこの研究結果は、査読前の論文のオンライン・アーカイブである「medRxiv」に7月27日掲載された。

 Singer氏らは、米国の48の大規模医療機関から6000万人以上の電子医療記録を匿名で収集しているTriNetX Research Networkから、2020年4月1日から2021年3月31日の間にCOVID-19の診断を受けた男女のデータを抽出。対象者を12~17歳、12~15歳、16~19歳の3つの年齢層に分けて解析を行った。なお、既存の報告データに基づくと、12~17歳の男女におけるワクチン接種後の100万人当たりの心筋炎の発症者数は、1回目の接種後で男子9.8人、女子1.1人、2回目の接種後で男子66.7人、女子9.1人であるという。

 12~17歳の年齢層の対象者(男子6,846人、女子7,361人)のうち、男子では6人(0.09%)、女子では3人(0.04%)に心筋炎が生じていた。見逃されたCOVID-19や心筋炎の患者数で調整後の100万人当たりの発症者数は、男子で450人、女子で213人であった。このことは、COVID-19罹患後に心筋炎を発症するリスクが、ワクチン接種後に心筋炎を発症するリスクよりも、男子で約5.9倍、女子で約21倍高いことを意味している。

 一方、12~15歳の年齢層(男子4,114人、女子4,280人)での100万人当たりの心筋炎の発症者数は、男子で601人、女子で235人であり、16~19歳の年齢層(男子5,097人、女子6,687人)では、男子で561人、女子で708人だった。さらに、男女を合わせた場合での100万人当たりの心筋炎の発症者数は、12~17歳で328人、12~15歳で416人、16~19歳で643人だった。

 Singer氏は、「健康に関して激しい論争が繰り広げられているこの状況下で、COVID-19罹患とワクチン接種での心筋炎のリスクを比較して結論を下すのは、親にとって困難なことだろう。だが、われわれの研究から、より安全な選択肢は、ワクチン接種であることが明らかになった」と述べている。そして、「感染力の高いデルタ株が広がる中、まもなく新学期も始まる。この研究結果を受けて10代の子どもを持つ親は、子どもにとってCOVID-19への罹患よりもワクチン接種の方が安全だと分かって安心できるだろう」と話している。

 論文の共著者である、米アクロン小児病院心臓センターのIra Taub氏は、「子どものCOVID-19への罹患に伴うリスクは心筋炎だけではない。子どもがハイリスクの家族を感染させることも考えられる。ワクチン接種はCOVID-19に罹患するよりも安全であることを、改めて強調したい」と話している。

投稿者: 大橋医院

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