大橋院長の為になるブログ

2021.10.07更新

妥当性
 HFrEFに対するエンパグリフロジンのRCT 3)(EMPEROR-Reduced、第32回)とほぼ同様の研究デザインであり、交絡バイアスは非常に小さく、多重検定対処もなされており、追跡率も高かったため内的妥当性は高い印象です。作用機序(第32回)の点でも結果は理にかなっています。

 しかし、今回もエンドポイント判定の妥当性には留意しなければなりません。入院という「ソフトな」エンドポイントは主観・贔屓目・欲目・情状の影響を受けやすく、情報操作や不正判定のリスクが高いものです。NNTは31人で臨床的インパクトは比較的大きそうですが、COIも勘案して割り引いて解釈する必要があります。未服薬・服薬中断率が両群とも比較的高いことも無視できないでしょう。

 EMPEROR-Reduced 3)(第32回)と同様に、心血管死リスク低下が僅少であったのは、検出力不足によるものだと思われます(心血管死に関する臨床的インパクトは心不全ほど大きくありませんし、死亡リスク評価のためには追跡期間が短すぎます)。

 事前に設定された階層的検定によって,一次エンドポイントに有意差がある場合は二次エンドポイントも「検証」することが可能です。本論文では、その手順で一次エンドポイントと事前に設定された筆頭二次エンドポイント2件で有意差を認めたので、心不全入院(総数)予防と腎機能悪化予防の両者が統計学的に実証されました。ただし、腎機能に関しては「心不全(HFpEF)患者において」という条件付きであり、指標はeGFR値ですので臨床的意義は過大評価しないよう留意しましょう(後述)。

どのような症例に適している?
 本研究の対象者層としては、HFrEF患者対象のエビデンス2,3)(第32回、第33回)と比較して高齢であり、心房細動合併者が多いことが特徴です。

 まずは糖尿病の有無で比較しましょう。相対リスク低下度は同程度ですが、NNTで比較すると、糖尿病患者では29人、非糖尿病患者では33人でしたので、糖尿病患者の方がベネフィットが大きいことがわかります。おおはし

投稿者: 大橋医院

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