大橋院長の為になるブログ

2021.10.08更新

果物や野菜を多く食べる人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症や、発症後の重症化リスクが低いとする論文が発表された。59万人以上の成人を対象とする調査で、植物性食品の摂取量が多い人は摂取量が少ない人に比べてCOVID-19発症率が9%低く、重症化リスクは41%低いという。米マサチューセッツ総合病院のJordi Merino氏らの研究によるもので、詳細は「Gut」に9月6日掲載された。

 Merino氏らは、米国と英国で実施された、スマートフォンを利用しCOVID-19の罹患状況や罹患時の症状を把握する研究で収集されたデータを解析。研究参加者は59万2,571人で、パンデミック前の食習慣については食物摂取頻度質問票により把握。果物や野菜などの健康的とされる植物性食品を多く摂取している場合に、高スコアとなる手法で食生活を評価した。

 388万6,274人月の追跡で、3万1,815件のCOVID-19症例が報告された。1万人月当たりのCOVID-19粗罹患率は、食事スコアの最高四分位群(上位25%)では72.0(95%信頼区間70.4~73.7)であるのに対し、食事スコアの最低四分位群(下位25%)では104.1(同101.9~106.2)だった。年齢や性別、BMI、喫煙・身体活動習慣、人種/民族、地域、研究参加時期、基礎疾患などの交絡因子を調整後、最低四分位群に対する最高四分位群のCOVID-19罹患リスクは有意に低かった〔ハザード比(HR)0.91(同0.88~0.94)〕。

 また、入院と酸素投与を要した場合を重症例として定義したところ、1万人月当たりの重症COVID-19粗発生率は、食事スコアの最高四分位群では1.6(同1.3~1.8)であるのに対し、最低四分位群では2.1(同1.9~2.5)だった。前記と同様の交絡因子で調整後、最低四分位群に対する最高四分位群のCOVID-19重症化リスクは有意に低かった〔HR0.59(同0.47~0.74)〕。

 この研究結果について、米国感染症学会のスポークスパーソンであるAaron Glatt氏は、「健康的な食事はCOVID-19を防ぐ‘魔法の免疫増強剤’ではない」と強調。何よりもワクチン接種を優先すべきであると述べている。Merino氏もこの指摘には同意を表し、「食習慣を変えることはワクチン接種やマスク着用の代替手段ではない」としている。ただし同氏は、「食生活の貧しさは、COVID-19リスクの社会経済的要因の一つと言えるのではないか」と追加し、低所得者が健康的な食品を入手しやすくする施策によって、パンデミックの負荷を軽減できる可能性があることを指摘している。

 Merino氏のこの指摘は、今回の研究で認められた食生活とCOVID-19リスクとの関連は、経済的に恵まれない地域に住む人々の間で、より強く認められたという結果に基づくものだ。研究グループの推計によると、仮に経済的な貧しさ、あるいは食生活の貧しさのいずれかが存在していなければ、COVID-19罹患者の約3分の1は罹患せずに済んだ可能性があるという。

 これに対してGlatt氏は、「COVID-19リスクに影響を及ぼし得る因子は非常に多く、食生活の質の影響を他の交絡因子から完全に分離して評価することは困難だ」とし、例えば「健康的な食事を心がけている人は、おそらく食事だけでなく健康全般に注意を払い、COVID-19から身を守る行動を取っているだろう」と解説。

 一方Merino氏もまた、本研究には限界点があることを述べている。まず、研究参加者に占める65歳以上の割合は約4分の1にとどまり、かつ糖尿病や心臓病などの基礎疾患のある人はごくわずかで、一般人口よりも比較的健康な集団であると考えられた。また研究実施時期は2020年で、ワクチン接種や感染力の強いデルタ株出現の前だった。

 このように本研究の結果解釈には多くの留意点があるものの、それらは植物性食品ベースの食生活が健康的であることを否定するものではない。「健康的な食事が有益だと考えることは、極めて合理的だ」とGlatt氏は述べている。おおはし

投稿者: 大橋医院

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