大橋院長の為になるブログ

2021.09.07更新

多くの人は中年期に差し掛かるまで、高血圧や脂質異常症などの病気や、心臓や脳の健康リスクについて考えようとしない。しかし、より早期から健康リスクに目を向けるべきであることを、数々の研究結果が示唆している。

 トゥルク大学(フィンランド)のJuuso Hakala氏らは、3,596人の子ども(3~18歳)を31年間にわたって追跡し、34~49歳に成長した2,026人に対して認知機能テストを施行。その結果が「Circulation」に今春掲載された。研究から得られた結論は、人生の早い段階で体重、コレステロール、血圧を管理することが、成人期の認知機能低下を抑制する可能性があるというものだった。

 具体的には、子どもの頃に血圧とコレステロール値が高かった人は、子どもの頃にそれらが良好だった人と比較して、記憶力と学習能力が低いと判定された。子どもの頃から中年期までずっと肥満であった人は、歳をとるにつれて情報を処理したり注意力を維持することが難しくなっていた。子どもの時点で、体重、コレステロール、血圧という評価された3つの心血管リスク因子を全て有していた人は、40代に達するまでに、脳の健康に関する指標の全てが低下していた。

 心臓の健康と脳の健康との関連は、多くのエビデンスにより証明されている。良好な血流を保つことで、心臓と脳、双方の臓器が適切に機能し続ける。反対に高血圧や高コレステロール血症などの血管にダメージを与える状態は、心臓と脳の双方を危険にさらし、心臓発作、脳卒中、認知症を引き起こす可能性がある。

 ここ数十年の間に小児肥満が増加し、また、心臓の健康状態の悪化は早くも小児期に始まるという報告が増えている。公衆衛生の専門家は今、人々の成人後の健康障害を防ぐ戦略上のターゲットを、人生の早い段階に設定することを重視している。

 「健康に良い生活習慣は、これまで考えられていたよりもはるかに早い年齢で身に付ける必要がある」と、米国心臓協会(AHA)の前会長で米コロンビア大学アービングメディカルセンターのMitchell Elkind氏は言う。そして、「人々が子どもの頃にとっていた行動が、そのまま生涯にわたって続くことが少なくない。この事実を、子どもや若者たちに伝えなければならない」と言葉を重ねる。

 米国の身体活動に関するガイドラインでは、子どもたちに対して、少なくとも毎日1時間の中程度から高強度の身体活動を行うことを推奨している。また、少なくとも週に3回は筋肉と骨の健康のための高強度運動を行い、座ってテレビを見たりスマートフォンを操作したりする時間(スクリーンタイム)を制限すべきであることもガイドラインに示されている。

 米アリゾナ州立大学のGabriel Shaibi氏は、「子どもが肥満かそうでないかにかかわりなく、定期的な身体活動は、認知機能、学業成績、そのほかの健康指標全般に好影響を与える」と語る。また、肥満の子どもは後年の心血管リスクや死亡率が高くなることが研究で示されているものの、成長段階で肥満が解消されるとリスク上昇は抑制されるという。

 「では、肥満の子どもは減量を優先すべきだろうか。それとも身体活動ガイドラインの推奨に従い、座位行動やスクリーンタイムを制限しながら健康状態の改善を目指すべきだろうか?」。同氏はこのような疑問を投げかけた上で、多くの子どもたちは、心臓と脳の健康のためのメリットを享受するのに必要な、十分な身体活動を行っていないことを指摘。「まず立ち上がって体を動かすだけでも良い。しばしば達成が非常に困難な減量に焦点を当てるよりも、その方が良い戦略ではないだろうか。対策のターゲットを‘体重’から‘行動’に移すことで、長期的なメリットをもたらす健康関連指標の改善につながる可能性が高い」と語る。

 もちろん、多くの時間を身体不活動の状態で過ごしてきた子どもには、心臓と脳の健康のためにできることがほかにないという意味ではない。前出のHakala氏は、「より多くの健康に良い習慣が身に付いているのに越したことはない。しかし、健康のために何かを始めようとする時、それが遅すぎるということは決してない」と話している。おおはし

投稿者: 大橋医院

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