大橋院長の為になるブログ

2021.06.05更新

長時間にわたる睡眠薬の使用効果:

睡眠障害のために処方された睡眠薬を1年以上にわたって慢性的に服用している中年女性では、睡眠問題はほとんど改善していないとする研究結果が発表された。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のDaniel Solomon氏らによるこの研究は、「BMJ Open」に5月11日掲載された。

 閉経は不眠症を引き起こすことが知られている。多くの女性は、更年期に入る数年前から閉経に至るまでの数年間に睡眠障害を経験する。この研究は、睡眠障害に悩まされて睡眠薬の処方を受けている中年女性238人(睡眠薬使用群)と、睡眠障害に悩まされているが睡眠薬を使用していない女性447人(対照群)を対象としたもの。対象者は、更年期への移行期での精神的・身体的健康の変化を追跡調査した米国立衛生研究所(NIH)の全国女性健康調査(Study of Women's Health Across the Nation;SWAN)データベースから抽出した。対象者の平均年齢は49.5歳で、人種/民族は黒人が23.1%、白人が57.5%で、残りは中国人、ヒスパニック系、日本人であった。両群の、抑うつ、不安、および疼痛の評価の平均スコアと更年期の状態(約36%が閉経周辺期を迎えている)は同程度であった。睡眠障害(導入障害、中途覚醒、早朝覚醒の3種)の程度については、研究開始時に自己報告により評価された過去2週間の睡眠障害を、1年後、および2年後の睡眠障害と比較した。

 研究開始時の睡眠薬使用群および対照群の睡眠障害のスコアは、導入障害で2.7および2.6、中途覚醒で3.8および3.7、早朝覚醒で2.8および2.7であり、睡眠障害の程度は似通っていた。1年後の睡眠薬使用群および対照群の睡眠障害のスコアは、導入障害で2.6および2.3、中途覚醒で3.6および3.5、早朝覚醒で2.8および2.5であった。1年後のスコアが有意に変化した睡眠障害は両群ともになく、また睡眠薬使用群で、対照群と比べて有意に改善した睡眠障害もなかった。2年後の睡眠障害の改善度についても、同様の結果であった。

 こうした結果についてSolomon氏は、「結論は明確だ。睡眠薬の長期使用は、慢性的な睡眠障害については何ら効果がないということだ」と主張している。ただし、この研究は主に、参加者の年に1回の睡眠障害に関する自己評価に基づいているため、睡眠薬の長期的な作用について明らかにすることはできない。同氏によると、過去に実施された臨床試験では、短期間の睡眠薬の使用は睡眠障害の改善に有用であることが明らかにされているが、長期間の使用については十分に検証されていないという。

 睡眠障害に対しては、一般的に、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、ゾルピデムやエスゾピクロンなどのZ薬(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)が処方される。これらの薬剤は、神経伝達物質と呼ばれる脳内化学物質のレベルを変えて脳の活動を抑制することで眠りへと導く。ただ、ほとんどの薬剤と同様に、睡眠薬にもリスクはある。例えば、日中の眠気や平衡感覚の失調などだ。また、睡眠薬への依存が生じることもあるほか、睡眠薬の服用と後年の記憶障害との関連も示唆されている。

 Solomon氏は、「睡眠薬を使うつもりなら、1週間程度の短期間、または状況に応じて2、3回の使用にとどめるべきだ。長期間使っても、睡眠障害が改善することはないのだから」と助言している。おおはし

投稿者: 大橋医院

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