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2021.04.06更新

CAVIは心血管イベントを抑制できるか(CAV-J):

高リスク患者の心血管イベント予測因子として、CAVI(cardio-ankle vascular index:心臓足首血管指数)の付加的有用性を検証したCAVI-J研究の結果を、三好 亨氏(岡山大学循環器内科)が第85回日本循環器学会学術集会(2021年3月26日~28日)のLate Breaking Sessionで発表した。本結果から、CAVIは心血管イベントの予測に役立つことが示唆された。

 動脈硬化は心血管イベントの重要な予測因子であり、単一施設または小規模の研究では、CAVIと心血管イベント発症の関連が報告されている。今回、三好氏らは大規模前向きコホートで、心血管リスクのある患者においてCAVIが心血管イベントの予測に優れているかどうか、心血管イベントの予測でCAVIの追加が従来のリスク因子による予測能を改善するかどうかを検討した。

 本研究は多施設前向きコホート研究で、40〜74歳の2型糖尿病、高血圧(JSH2014による高リスク)、メタボリックシンドローム、CKD(ステージ3)、冠動脈疾患または脳梗塞の既往のある患者を対象とした。主要アウトカムは、心血管死、非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞の複合心血管イベントであった。2013年5月~2014年12月に計3,026例が登録され、CAVIの測定日から5年間観察した。患者をCAVIにより五分位に分け(Q1:<7.55、Q2:7.60~8.20、Q3:8.25~8.80、Q4:8.85~9.45、Q5:>9.50)、検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・心血管イベントは計72例(心血管死13例、脳卒中44例、心筋梗塞25例)に発症し、累積発症率のカプランマイヤー曲線ではQ5がQ1に比べ有意に高かった(log-rank検定:p<0.01)。
・Q5ではQ1に比べて、複合心血管イベントの発症率が有意に高く(多変量調整ハザード比[HR]:3.31、95%信頼区間[CI]:1.26~8.71)、CAVIの1ポイント増分において有意に高かった(同:1.38、同:1.196~1.65)。
・イベントのサブタイプ別にみると、心血管死(年齢・性別調整HR:1.63、95%CI:1.05~2.30)、脳卒中(同:1.49、同:1.15~1.87)、入院を伴う心不全(同:1.50、同:1.11~2.12)が有意にCAVIと関連していた。
・心血管イベントの予測において、既知の心血管リスクによるモデルにCAVIを組み込んだ場合、グローバルカイ2乗スコアとNRI(Net reclassification index)は有意に増加したがC-staticの増加は有意ではなかった。

 これらの結果から三好氏は、CAVIは心血管リスクのある患者の心血管イベントリスクの評価に役立つと述べた。おおはし

投稿者: 大橋医院

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