大橋院長の為になるブログ

2020.11.17更新

夫婦の心臓は似てくる:

夫婦や同棲関係にあるカップルは行動パターンが似ており、共通した心疾患のリスク因子を抱えている場合の多いことが、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のSamia Mora氏らの研究から明らかになった。この研究結果は、「JAMA Network Open」10月26日オンライン版に発表された。

 Mora氏らはこの研究で、2014年10月~2015年8月の間に企業の従業員向け健康増進プログラム(ウェルネス・プログラム)に参加した、米国の5,364組のカップル(1万728人)を対象に、心疾患リスクと生活習慣について調べた。同プログラムでは、質問票や診察、臨床検査によって従業員の健康状態が評価された。対象者の年齢中央値は、男性50歳、女性47歳だった。心疾患のリスク因子としては、米国心臓協会(AHA)が提唱する“Life's Simple 7(LS7)”で示された「喫煙」「身体活動」「食事」「脂質」「血圧」「血糖」「BMI」の7因子について評価を行い、それぞれの因子および全体的な状態(心血管健康スコア)を、「不良」「普通」「理想的」の3つのカテゴリーに分類した。さらに研究グループは、2014年10月~2018年12月までの5年にわたり、毎年同じプログラムに参加した2,186組のカップルを対象に追跡を行った。

 その結果、個人レベルでは、心臓の健康状態を示すスコアが「理想的」だった人の割合は12.1%に過ぎなかった。個々のリスク因子に関しては、「喫煙」、「脂質」、「血糖」については50%以上の人が「理想的」に分類されたが、「BMI」と「身体活動」については、25%以上の人が「不良」に分類された。

 次いで、対象者をカップル単位で検討すると、50%以上のカップルがLS7のリスク因子の全てと生活習慣、心血管健康スコアを共有していることが明らかになった。「理想的」に分類されたのは、喫煙(60%)と血糖(56%)であり、その反対に、「理想的」なレベルに達しなかったものは、健康的な食事(94%)、身体活動(53%)、心血管健康スコア(79%)であった。また、脂質を除く全てのリスク因子で、カップルのうちの一人が「理想的」に分類されると、もう一人も同じカテゴリーに分類される可能性の高いことも判明した。さらに、5年にわたる追跡の結果、血圧の分類が一致したカップルの割合が55%から59%に軽度増加した一方で、血糖の分類が一致したカップルの割合が64%から59%に軽度減少したものの、その他の因子には、相対的に変化が認められなかった。

 こうした結果についてMora氏は、「5組中4組は、心血管の状態が理想的ではなかった。これは非常に気掛かりだ」と述べる。その理由として同氏は、「リスク因子の状態は加齢に伴い悪化することが分かっている。また、心血管疾患のリスクも加齢に伴い大幅に上昇する。つまり、若い時の行動はその後の人生に大きく影響するということだ」と説明している。

 この報告を受けて、米エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院のJannie Nielsen氏は、「自分と似たところがある人をパートナーとして選ぶ人は多い。そのような2人が付き合い始めると、何を食べるかなど生活習慣も似てくる」と述べている。これまでの研究でも、減量プログラムに参加した人の配偶者も体重が減少したとの結果が示されているという。また同氏は、「何を食べるかの選択には、その人のこれまでの食生活や経済状況、買い物をする店のマーケティングなど、さまざまな因子が影響を与える可能性がある」と指摘している。

 一方、Mora氏は、「疾患予防に向けた介入の対象を広げ、個人ではなく家庭あるいは地域をターゲットにすることで、介入効果が高まる可能性がある」と話している。

投稿者: 大橋医院

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