大橋院長の為になるブログ

2020.10.14更新

咳き込む:

小児科では「子どもは小さな大人ではない」という格言がよく知られていますが、咳嗽診療についても成人と小児では大きく違います。成人の長引く咳嗽では、咳喘息、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などが主な原因であるのに対し、小児咳嗽の主な原因は呼吸器感染症です。小児と成人両方診ているというクリニックの先生もいると思いますが、診療内容の違いから総合病院くらいの規模になると、小児科と内科で分業されているのが実情かと思います。

 成人との違いとして、小児では喫煙していないこと、環境の影響を受けやすいこと、先天性の肺の問題などが挙げられます。また、小児では被曝の問題であまりX線を撮れない、肺活量の検査が難しいなど、検査がしづらいという診療上の問題もあり、成人と同じルールで診療を進めるのは難しいと思います。また、小児では心因性の咳嗽も多いといわれています。

3週間、8週間で区切られた咳嗽の3つの分類――「長引く咳」という訴えの解釈
――次に、咳嗽の分類について伺います。ガイドラインでは咳嗽を持続期間で分類しています。成人咳嗽におけるその分類をどう解釈し、診療を進めていけばよいのでしょうか。

 咳嗽の持続期間が3週間未満を急性咳嗽、3週間以上8週間未満を遷延性咳嗽、8週間以上続く場合を慢性咳嗽と分類しています。急性咳嗽というと、強い咳症状があるという印象を持つかもしれませんが、あくまでも咳の持続期間による分類です。

 急性咳嗽の原因として頻度が高いのはいわゆる「風邪」です。急性咳嗽の期間は「風邪を疑う期間」と考えていただければよいかと思います。急性咳嗽を3週間未満としたのはさまざまな論文のデータから、風邪症状が続くのは長くてもだいたい3週間弱だった、ということを根拠としています。

 急性咳嗽に続き、3-8週間未満まで咳嗽が続く遷延性咳嗽においても「咳以外の全ての風邪症状は治った状態」である感染後咳嗽の頻度が最も高くなります。感染後咳嗽は通常、自然軽快します。ただ、この遷延性咳嗽の期間中の半数程度で慢性咳嗽の原因である咳喘息や喘息などの可能性が出てくるので、注意して診ていく必要があります。

 患者さんの「長引く咳」という訴えは、患者さんの捉え方で大きく変わります。1週間で長いと感じる人もいれば、2カ月続いても風邪と言う人もいます。専門医としては、1週間程度であれば「風邪でしょう」となりますが、2カ月続いても風邪と言い張る人は「さすがに長過ぎでしょう」となります。

明確な定義のない喀痰による咳嗽の分類――手強いのはどちら?
――咳嗽のもう一つの大きな分類である乾性咳嗽と湿性咳嗽についてはいかがでしょうか。

 喀痰の有無による分類なのですが、実は明確な定義はありません。簡単に表現すると、痰を出すために出る咳が湿性咳嗽、痰がほとんどなく咳が主なものを乾性咳嗽としています。ただ、難しいのは少量の喀痰を伴う場合も乾性咳嗽と分類することです。では、どっちなんだということにはなりますが(笑)、一つ言えるのは、湿性咳嗽は「咳のたびに痰が出る、痰を出すための咳」であることでしょう。

 診療をしていて手強いのは、やはり乾性咳嗽です。湿性咳嗽の場合、喀痰という検査材料があり、X線やCTを撮れば何かしらの肺の異常を示す所見が見つかります。しかし、乾性咳嗽の場合、咳症状だけでは専門家でも診断しようがない場合もあり、より手強いと感じます。咳嗽診療においては、痰は非常に臨床的意義が大きいです。おおはし

投稿者: 大橋医院

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