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2020.10.09更新

Coffieは大腸癌発症抑製

おおはしコーヒーを飲むことで、大腸がんの進行を遅らせることができる可能性が、米メイヨー・クリニックのChristopher Mackintosh氏らによる研究で示唆された。研究結果の詳細は、「JAMA Oncology」9月17日オンライン版に発表された。

 この研究は、未治療の局所進行性または転移性大腸がん患者を対象に実施された、がんの治療に関する大規模臨床試験の参加者の一部を対象にしたもの。同研究への参加者は、研究への登録時に質問票により、日々摂取する食事や飲料について報告していた。本研究で解析に含められたのは総計1,171人で、694人(59%)が男性、年齢中央値は59歳だった。

 追跡期間中央値5.4年の間に、死亡またはがんが進行した患者は1,092人(93%)だった。解析の結果、コーヒーの摂取量が多いほど、がんの進行と死亡のリスクが低下することが明らかになった(コーヒー摂取が1日1杯増加するごとのハザード比はそれぞれ、0.95、0.93)。また、コーヒーを1日2~3杯摂取する人では、コーヒーを摂取しない人と比べた全生存期間(OS)のハザード比は0.82(95%信頼区間0.67~1.00)、無増悪生存期間(PFS)のハザード比は0.82(同0.68~0.99)であった。コーヒーを1日4杯以上摂取している人では、得られるベネフィットはさらに大きく、コーヒーを摂取しない人と比べたハザード比は、OSで0.64(同0.46~0.87)、PFSで0.78(同0.59~1.05)であった。さらに、こうしたコーヒーの有益性は、カフェイン入りのコーヒーだけでなく、カフェインレスのコーヒーでも認められた。

 Mackintosh氏によると、原発巣からがんが転移した転移性大腸がんのほとんどは、治癒は難しいという。それでも同氏は「食事や運動などのさまざまな生活習慣の要因が、転移性大腸がん患者の生存期間の延長に関連していることが明らかにされている」と指摘。その上で、「われわれの研究では、化学療法で治療中の進行性または転移性大腸がん患者のうち、コーヒーを飲む習慣がある人は、がんの進行が遅く、生存期間が長いことが示された」と述べている。

 ただし、Mackintosh氏らは、「この研究によって、コーヒー摂取と、死亡リスクの低下や、がんの進行抑制との因果関係が証明されたわけではない」と強調。また、この研究結果を受けて、大腸がん患者がいきなりコーヒーを大量に飲むことのないよう注意を呼び掛けている。

 その上でMackintosh氏は、「コーヒーにより予後が悪化することはないので、コーヒー好きの大腸がん患者は、安心して飲み続けても良いことを示唆する研究結果ではある。ただし、そのような判断は、必ず個別に医療の専門家と相談して下すべきものではあるが」と述べている。

 今回の報告を受けて、米国立がん研究所(NCI)代謝疫学部門のErikka Loftfield氏は、「コーヒーには、抗酸化作用や抗炎症作用を有するポリフェノールなど、さまざまな成分が含まれている。また、カフェインは腸の運動性を高める可能性がある」と説明し、こうしたコーヒーの含有成分の作用がMackintosh氏らの研究で示された結果の背景にあるのではないかとの見方を示している。

投稿者: 大橋医院

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