大橋院長の為になるブログ

2020.09.28更新

厚生労働省は9月25日、厚生科学審議会感染症部会(部会長:脇田隆字・国立感染症研究所所長)で、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」の原案を示した。季節性インフルエンザとの同時流行に備えて、診療所などで各種検査を実施する機会が増えるのを前に、検査や検体ごとの利点と課題をまとめた。検体としては、これまでの鼻咽頭拭い液や唾液に加えて、鼻腔拭い液を加える。鼻腔拭い液は、医療従事者の管理下であれば患者による自己採取も認め、発症後2~9日であれば抗原検査(定性)の簡易キットも活用できる。部会での議論を踏まえ、近く正式に策定し、自治体や医療機関へ通知する。

鼻腔拭い液による検査は米国などで用いられているといい、厚生労働科学研究(研究代表者:倭正也・りんくう総合医療センター感染症センター長)で、鼻咽頭拭い液との一致率を調べていた。その中間報告によると、鼻咽頭のPCR検査との陽性一致率は、鼻腔のPCR検査で80%、鼻腔の抗原検査(定量)で90%だった。鼻腔の抗原検査(定性)ではやや下がったが、発症後2~9日に限ると、鼻腔のPCR検査との陽性一致率は83.3%だった。

 そのため、新たに策定する指針では、鼻腔拭い液による検査について、PCR検査と抗原検査(定量)は発症日に関係なく、抗原検査(定性)は発症後2~9日であれば、活用が可能だとした。唾液では活用できない簡易キットも認められるため、迅速性も期待される。無症状者に関してはデータがないため、推奨していない。

 鼻腔拭い液を採取するには、2センチ程度の拭い棒を鼻に入れ、鼻甲介付近を5回程度回転させる必要がある。医療従事者が採取する際は、一定の暴露の恐れがあるため、フェイスガードやガウンの着用が必要だが、患者自身が採取する場合は「医療者の暴露は限定的」とし、唾液の採取時と同様にサージカルマスクと手袋を着用すれば対応できる。

構成員から強い反対は出なかったが、懸念の声が複数上がった。日本医療研究開発機構戦略推進部長の岩本愛吉氏は「採取しやすい検体を加えるのは賛成」とした上で、陽性一致率の根拠とした研究で扱った検体数が35にとどまることを挙げ、「桁が一つ少ない。ある程度の数を揃えて、検査する体制が必要だ」と指摘。「次の波を考えると、いまだにPCRが他国より弱いのは不満だ」と注文もつけた。

 国立病院機構三重病院臨床研究部長の谷口清州氏は、PCR検査で鼻咽頭との陽性一致率が80%となったことを巡って「入院患者の場合、偽陰性は大きなリスクになる。20%落としてしまうのはリスクが高い」として、Ct値の開示を求めた。

 東京大学名誉教授の山田章雄氏は「利点はあるが、国民の感情を見ていると、陰性を証明したいという動機の人がたくさんいる。安心したいわけだ。真に陰性ならいいが、偽陰性の可能性が高いにもかかわらず、(鼻腔拭い液の検査が)使われたら好ましくない。誤解がないように検査する側にもされる側にも伝える必要がある」と、正確な情報発信の重要性を説いた。

 厚労省側は「細かいデータは研究者とのやり取り中なので開示できない」とした上で、Ct値が20台でも鼻腔拭い液の検査で陰性となった例があることを認めた。採取の手技の問題の可能性もあるという。今後、データを開示する方針も示した。

 こうした議論を踏まえ、脇田部会長は「感度が落ちるのは間違いないが、迅速性と採取の安全性という利点もある」と強調。「発熱患者が増えてきた段階では必要ではないかと考えている。部会としては概ね賛成で、発出前に確認したい」と述べ、寄せられた意見も踏まえて指針などを作るよう求めた。おおはし

投稿者: 大橋医院

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