大橋院長の為になるブログ

2020.07.31更新

新型コロナはインフルエンザのようになるのか? 中国・医療者向け情報サイト「医脈通」より

現在、全世界におけるCOVID-19患者数は1000万人を越えており、拡散の過程でウイルスは幾分か変異しているが病原性や死亡率は大きく変わってはいない。

 これまでの歴史において世界を恐怖に陥れてきた天然痘、ペスト、梅毒、AIDS、エボラなどの例を見ても、それが治療可能かどうか、制御可能かどうかにかかわらず、徐々に病原性が減弱して“インフルエンザのようになった”ものは存在しない。

 同時に、前述のような意見を持つ人々はインフルエンザを甘く見ているのだ。前世紀初頭に猛威を奮ったスペイン風邪は、現代のCOVID-19よりもはるかに多い1億人の命を奪っている。当時の全世界人口はたったの17億人であったにもかかわらず! 幸いにも多くのインフルエンザはそれほど深刻ではない。こうした人々がSARS-CoV-2に期待しているのは、このような“普通”のインフルエンザになることである。

この時点で反論があるかもしれない。「過去に起きなかったことが、未来に起き得ないとは言えない」—。

 確かに突然変異によってウイルスの病原性が減弱する可能性について理論上はありうるが、生物学的な突然変異はランダムであることを知っておく必要がある。つまり、ウイルスは一夜にして“ゴミ”になることもあるが、“スーパーウイルス”になる可能性も十分にある。感染するのか治癒するのかは、ウイルスの知性や博愛性の問題ではなく、自然の成り行き次第なのである。

 理論上は現時点で制御されていないすべてのウイルスは以下の方法で排除していくことになる。第一に隔離、第二に病原性の減弱したウイルスへの交替、第三に効果的な治療やワクチンの登場。

もしかしたら科学者が最終的にワクチンを開発したり、SARS-CoV-2がわれわれの手でインフルエンザのようなものになったりするかもしれないが、それはまだまだ先の話だろう。われわれのような一般人にとっては、ワクチンが接種されるようにならない限り、あるいはSARS-CoV-2がインフルエンザのようなものになったという明確な証拠がない限り、それは“遅れてきた正義”(Justice delayed is justice denied〔裁判の遅延は裁判の拒否に等しい〕に由来)である—。(正義は)最終的には間に合うかもしれないが、それは生き延びた人々にとってのみ意味があるものになってしまう。

 だからこそ、“美しい夢”が実現するまでは、政府の呼び掛けに応じて、動き回らずにじっとして、必要に応じて検査や隔離に従うべきなのである。中国のアウトブレイクの制御が奏功しているのは、主として徹底した隔離政策のおかげである。実際のところ、人類は歴史の中で数え切れないくらいの感染症に直面して無力感を味わってきたが、経験上は隔離が生存のために最も簡単で効果的な方法であることは間違いない。

おおはし

投稿者: 大橋医院

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