2020.05.23更新

<老化の片道切符>   大橋信昭
小生も67歳になった。あらゆる文献を読んでみると、ほとんど65歳以上の疾病曲線は、65歳以上より、急勾配で上昇し、癌であれ、新形コロナ肺炎であれ、認知症、動脈硬化症、心筋梗塞、脳血管疾患等、多数、一気に増悪への道が想像される。小生もこの文献の急上昇の悪性疾患に罹患すると、嫌なので、健康には人一倍気を遣うようになった。まず、運動である。早朝、500メートル走ったら、息切れ、胸部圧迫感、チアノーゼが出現、やっとのことで帰宅した。いかん!心不全である。NYHAの2度はなっているであろう。外は、私が診察している患者さんも走っている。その運動能力の高いこと、驚嘆する。Antiagingは室内でやることにした。まずはスクワット運動である。これは楽かと思ったら、友人にインストラクトを受けたら、膝を絶対に前に出さないで、両腕を前でくみ、前屈しないように、ゆっくりと(これが大切)お尻を下へ沈み込む。大腿四頭筋にかなりの負荷が加わる。次は腕立て伏せである。簡単かと思えば未だに一回も成功していない。両肘を伸ばして、ゆっくりと体を沈めていく、私はこれでいいと思ったら、周りのやじ馬が、胸が床につきそうになるまで、胸部を沈み込ませねばいけないという。いわれたように胸を床すれすれまで沈めると、途端にもう再上昇しない。これは諦めた。次は服筋運藤である。仰臥位になり膝を曲げないで、両足を床から90度まで上昇させ、そして両下肢を真っ直ぐにして、床すれすれまで下げる。そして再度両下肢を90度挙上させる。この3種類の運動を50回、3回繰り返す。20歳代の時は出来たのである。67歳の今日、半分もできず、夜、運動による筋肉痛、いや相当な疲労感が襲ってくる。今、20代の運動量の半分から3分の一へ検討中である。老化はこんな運動に顕著である。
 小生も男性である。家内には申し訳ないが、隣の芝生が良く見える。どこの医療機関、介護関係に言っても、ナースには弱い。小生はコスプレの傾向があり、ナース服は体の曲線が浮かび上がり、それに若く美人で優しいときたら、ほぼ恋の妄想にふける。気に入ったナースの後をついて回る。ストーカーと言われないように気をつけねばいけない。大概は恋の片道切符で、耳元にニールセダカの歌声が聞こえる。悲しいものである。67歳で禿げ、スタイルは肥満体、老眼鏡をはめてうろうろしている。どこにも女性を惹きつける所が見当たらない。小生が持っているのは、多少のお小遣いである。これには最近の若い女性には驚く。予科練か特攻隊員か、お金となると身を捨てて寄ってくる。小生の淡い竹久夢二に出てくるしっとりとした女性と恋がしたいが、現代の女性は金をむしり取ると要はない。悲しい!
 家族関係も淡々としている。今、まだ小生が生活費を稼ぐ能力があるから、多少相手はするが、家族それぞれ価値観が違い、食事後、入浴後であろうと今日の一日の団らんはない。直ぐに自分の個室へ直行である。朝のお早うと夜のお疲れ様がやっとである。家庭内独居である。小生は院長室に入り、歴史書を読み、映画を鑑賞し、いつもオードリーヘップバーンと同居している瞑想に浸る。最近、パソコンは便利だ。小生が十代から二十代のころ、女性のヌード写真を鑑賞しようとすると、大変な勇気と、大金がかかったが、パソコンは女体鑑賞には便利である。ホームページ、インストグラム、twitter、ラインなどの手段により、毎日日替わりで、絶世の美女の裸体を唾液や鼻水まで流して鑑賞できる。そんなときの小生の顔は、哀れなものであろう。このように、寂しく、体力を低下さえながら、美女の柔肌とは縁もなく、毎日毎日アッという間に朝が来て夜になる悲しい老人の日々を送っている。それにしても、無限の女性の裸体を鑑賞したが、そんな女性はどこにいるのであろう。サー外来が始まるが、84歳の老婆が待合室に座っている。どうせ、お嫁さんの悪口を言いに来たのであろう。白衣をきちんと着て聴診器をはめて現実へ戻ろう。(完)

おおはし

投稿者: 大橋医院