大橋院長の為になるブログ

2020.05.15更新

社会的距離 (social distance)、自宅待機による支援の減少
 感染制御のため、物理的・社会的な交流が止められることに併せて社会的支援も喪失します。経済的な安定が失われ、自由に移動する自律性も失われます。
 医療・介護においては、訪問が制限され、入院患者、入所者は面会が禁止となり、親しい人から隔離されたと感じる場面が増えます。エンド・オブ・ライフの臨床では、患者・家族が直接別れを告げられないことや、患者・医療者とのコミュニケーションの制限(訪室が減る、防御服をかぶっての訪室のため親しみやすさが減る)、家族・医療者とのコミュニケーションの制限(面会機会が減る、重要な報告でも電話で行われる)などが生じます。特に、COVID-19の感染では、遺体と直接接することも困難です。看取りにおいて遺体を重視してきたわが国では、COVID-19が悲嘆に関して複雑で深い影響を与える可能性があります。
 これらの変化は、社会的支援の減少につながります。また、治療や死などのイベントへの準備が欠如しがちになる、悪いイベントは衝撃と共に伝えられ、罪悪感を引き起こし、複雑性悲嘆につながりやすくなるといった影響が考えられます。
 特に問題となるのは、COVID-19に感染した人の家族の反応です。社会的に要請されたルールを守らなかった結果、感染した場合、感染を広めてしまった場合、葬儀においても社会的な支援を得ることができず、通常悲しむ場面でもそれが許されないことも起こり、遺族が孤立することが想定されます。
 ここで重要なことは、社会的なつながりを絶たれないための支援を継続することです。感染防御上直接の面会が難しい場合には、ネットや動画を用いたコミュニケーションを確保することも一つの方法になります。遺族に対しては、継続したフォローアップが求められるのではないでしょうか。おおはし

投稿者: 大橋医院

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