大橋院長の為になるブログ

2020.04.23更新


【一発診断】腰が痛いんです…と50歳代女性

上殿皮神経障害
50歳代にみられた姿勢・体動で悪化する腰痛で、右腸骨稜上の正中から約7cm外側に圧痛を認め、神経所見に異常がないことから上殿皮神経障害)を疑った。圧痛部位に局所麻酔薬を注射したところ痛みが改善したため確診した。


画像 上殿皮神経の走行
上殿皮神経障害は、上殿皮神経(第11胸神経~第4腰神経の後根神経の皮枝)が胸腰筋膜を貫く部位(腸骨稜を乗り越える周辺)で絞扼されて疼痛を来すものをいう。坐骨神経痛がない腰痛患者の1.6%を占めるといわれていたが3)、全腰痛患者の約14%との報告もあり、決して稀ではない1)。平均発症年齢は68歳であり1)、加齢、椎体骨折、傍脊柱筋の筋緊張などが原因となる1)4)。

上殿皮神経の支配領域に一致した腰部~上臀部痛、関連痛としての下肢痛(偽性坐骨神経痛)1)2)や鼡径部痛がみられ5)、痛みは長時間の坐位、歩行・起立・立位・後屈・回旋などの体動で増悪する1)。歩行に伴い、徐々に腰痛が出現して間欠性跛行がみられることもある2)。

腸骨稜上で正中から3-4cm(内側枝)、7-8cm外側(中間枝)に圧痛を認め、チネル徴候が陽性である3)。画像検査で異常はなく、治療は消炎鎮痛薬で対症療法2)や上殿皮神経ブロックを行う1)。数回の局所注射で68%の患者で症状が半減する。効果が不十分な場合は、外科的治療(上殿皮神経剥離術)を行う1)-3)。
おおはし」

投稿者: 大橋医院

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