大橋院長の為になるブログ

2020.02.14更新

新型コロナウイルス関連肺炎とは、新型コロナウイルス“2019-nCoV”が原因とされている肺炎のことです。2019年12月以降、中国湖北省武漢市を中心に発生し、短期間で世界に広まっています。
日本国内では2020年1月15日に武漢市に渡航歴のある肺炎患者からこのウイルスが検出されており、同市からの旅行者とその接触者、帰国した邦人合わせて7名の感染が確認されています(2020年2月3日現在)。
現在のところ、“2019-nCoV”はヒトからヒトへ感染することが分かっていますが、どのような感染経路なのか、潜伏期間はどれくらいかなど明確なことは分かっていません。
しかしながら、中国国内での死者は361人に上り(2020年2月3日現在)、中国国外でも新型コロナウイルス関連肺炎による死者が出ています。なお、この死者数は2003年に中国を中心に流行した“SARS”を上回るとのことです。
日本国内では2月1日より、感染が確認された際に強制的な入院などを勧告できる“指定感染症”に定められ、国を挙げて感染拡大を防ぐ体制づくりが進められています.

[原因」:新型コロナウイルス関連肺炎は新たに発見された“2019-nCoV”に感染することによって発症します。
どのような経緯で“2019-nCoV”が生み出されたのか、またヒトに感染するようになったのか明確には解明されていませんが、中国武漢市の魚介類卸売場で集団発生したことから、そこに何らかの原因が潜んでいると考えられています。
コロナウイルスは、鳥類やヒトを含めた哺乳類などに広く存在するウイルスです。コロナウイルスは、エンベロープ(ウイルス表面の脂質性の膜)上にコロナ(王冠)のようなたんぱく質の突起を持つことが特徴で、これが名前の由来にもなっている一本鎖のRNAウイルスです。
ウイルスにはエンベロープを持つものと持たないものがありますが、コロナウイルスを含めエンベロープを持つウイルスは、アルコールで失活するという特徴と変異を起こしやすいという特徴があります。
コロナウイルスは一般的な風邪を引き起こすウイルスでもありますが、上記のように変異を起こしたり、動物界のウイルスがヒトに感染したりして重大な被害を与えることがあります。2002年に中国広東省から発生したSARS、2012年に中東地域を中心に発生したMERSなどもコロナウイルスの一種です。
なお現在のところ、“2019-nCoV”はヒトからヒトへ感染することが分かっており、国内でもヒトヒト感染を起こした事例があります。感染経路は主に飛沫感染と接触感染(感染者の咳やくしゃみによって飛散した唾液や痰などに含まれるウイルスを飲み込んだり、触れたりすることによって感染すること)で、空気感染の可能性は少ないとされています。
また、感染してから症状が現れるまでの期間は3~14日ほどとされており、その間も感染を広げる可能性も示唆されているのが現状です。

「症状」:症状
新型コロナウイルス関連肺炎では、発熱(37.5℃以上)、喉の痛み、咳や痰、胸部不快感などの一般的な肺炎症状が見られるケースが多いとされていますが、これらの症状がほとんどない感染者も報告されています。一方で、急激に呼吸困難などの症状が現れて死に至るケースもあるとされています。
また、中国の国営メディア“新華社通信”の報告によれば、新型コロナウイルス関連肺炎は典型的な肺炎症状だけでなく、下痢や吐き気などの消化器症状、頭痛、全身倦怠感といった一見肺炎とは関係のないような症状が現れることも多いとのことです。
このため、診断の遅れにつながり、感染が拡大する可能性もあるとして注意喚起がなされています。

検査・診断
新型コロナウイルス関連肺炎の診断は現在のところ、各自治体の地方衛生研究所ならびに国立感染症研究所での遺伝子検査(行政検査)によって行われます。
症状や渡航歴、患者への接触歴などから発症が疑われる場合は保健所に連絡ののち、発症後5日以内に喀痰
かくたん
(または気管支吸引液)、咽頭拭い液、血液などを採取して調べます。
そのほかにも肺炎の重症度を評価する目的で胸部X線検査、胸部CT検査などが行われるのが一般的で、体に起きている炎症の程度を調べるために一般的な血液検査なども適宜実施されます。

治療
新型コロナウイルス関連肺炎の治療方法は現時点では確立していません。
このため、現時点では、発熱に対する解熱鎮痛剤、呼吸困難に対する酸素投与や気管挿管、脱水に対する補液など、それぞれの症状を改善することを目的とした治療が行われます。
なお現在、抗HIV治療薬の一種である“カレトラ”と呼ばれる薬が新型コロナウイルス関連肺炎に効果があるとして臨床試験が行われています。
また、各国ではワクチンや治療薬、迅速診断キットの開発が本格的に開始されています。おおはし

 

投稿者: 大橋医院

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