大橋院長の為になるブログ

2020.02.13更新

トリガーポイント注射は、トリガーポイントに薬剤を注射することでトリガーポイントを消失させる手技です。歴史を紐解くと、世界的には、局所麻酔薬、抗炎症薬およびボツリヌス毒素などが用いられてきました。薬剤の優劣については結論が出ていませんが、トリガーポイントは多様な病態を呈することが考えられますので、症例ごとに適切な薬剤を選択することが理想であると考えられます。なお、本邦における保険診療上は、トリガーポイント注射の薬剤には局所麻酔薬または局所麻酔薬を主剤とする薬剤を使用しなければなりませんので注意が必要です。トリガーポイント注射の治療上の意義は大きく、トリガーポイント注射の有効性を示唆する報告は多数あります。本邦においては、局所麻酔薬を主剤とする薬剤であるネオビタカイン®を用いたトリガーポイント注射の報告が最も多く、その有効性と安全性が報告されています。
トリガーポイント注射の主たる奏効機序は、痛みの悪循環を断つことです。すなわち、①侵害受容器の感作に関する因子を希釈、消去することによる痛み刺激の減弱化、②局所麻酔薬による、活性化した末梢神経活動の抑制、③トリガーポイントから上行するインパルスにより脊髄反射的に活性化していた運動神経活動および自律(交感)神経活動を不活性化することによる筋緊張の緩和および血管収縮の解除、④筋緊張の緩和および血管収縮の解除による血流の改善です。
トリガーポイント注射には局所麻酔薬が用いられることから一時的な鎮痛を得るための手技と誤解されがちですが、過敏化した筋・筋膜の環境をリセットし、痛みの悪循環を断ち切ることができるため、根治療法となりえます。 おおはし

投稿者: 大橋医院

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