大橋院長の為になるブログ

2019.09.05更新

<糖尿病について>   大橋信昭
糖尿病とは、血液中の血糖が慢性的に多い状態となり、血糖値が高くなる病気です。血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの作用不足によって起こります。糖尿病の発症には遺伝的な要素がみられますが、生活習慣病のひとつです。多くの場合、食生活や運動不足、肥満などに起因します。
糖尿病を無治療のまま放置すると、心筋梗塞や脳梗塞など緊急度の高い病気だけでなく、3大合併症といわれる糖尿病(性)網膜症、糖尿病(性)腎症、糖尿病(性)神経障害(糖尿病性ニューロパチー)にかかるリスクが高まります。
糖尿病の診断
血液検査によって診断が可能
糖尿病の診断は、主に血液検査によって行います。血液検査によって血糖値とHbA1c(1の値が基準値よりも高ければ、糖尿病と診断されるでしょう。
経口ブドウ糖負荷試験を行うことも
これらの値から糖尿病かどうかがはっきりしない場合には、血液検査に加えて経口ブドウ糖負荷試験(2と呼ばれる検査を行うことがあります。
経口ブドウ糖負荷試験では、10時間以上の絶食後にブドウ糖水溶液を飲んでもらい、一定時間が経過した後の血糖値を測定します。この血糖値が基準値よりも高ければ糖尿病と診断されることがあります。

血糖とインスリンのはたらき
血液中を流れるブドウ糖は、活動のためのエネルギー源としてはたらきます。血液中を流れて、脳や筋肉、内臓などの全身の臓器にたどり着いたブドウ糖は、同じく血液中を流れるインスリンによって、細胞に取り込まれます。インスリンは、すい臓から分泌されるホルモンのひとつであり、血糖が細胞に取り込まれるようはたらきかける役割を果たします。
そのため、健康な状態であれば、インスリンのはたらきによって血糖は一定の量に保たれます。
インスリンがはたらかないために高血糖の状態になる
糖尿病を発症すると、血糖を取り込むはたらきをもつインスリンが十分に分泌されなくなったり、インスリンのはたらきが悪くなったりする(インスリン抵抗性)ことによって、血糖を臓器に取り込むことができなくなります。
細胞に取り込まれない血糖は血液中にあふれてしまい、高血糖の状態が続くようになります。
糖尿病の種類
糖尿病にはいくつかの種類があり、主に「1型糖尿病」「2型糖尿病」「その他の特定のメカニズム、病気によるもの」「妊娠糖尿病」に分けられます。
1型糖尿病:若い方が突然発症することが多い
1型糖尿病は、インスリンをつくる「すい臓のβ細胞」を自分の体内にあるリンパ球があやまって破壊してしまうことが原因で、インスリンを分泌する能力が低下し、血糖値が高くなってしまう糖尿病を指します。2型糖尿病と異なり食生活や運動不足などの生活習慣は関係なく、突然発症する点が特徴です。
1型糖尿病は、若くして発症する方が多いといわれています。
2型糖尿病:中高年に多く生活習慣が影響して発症
2型糖尿病は、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が影響することが原因で、インスリンが分泌されにくくなったり、インスリンのはたらきが悪くなったりすることで生じる糖尿病です。日本の糖尿病患者さんの約90%以上は、この2型糖尿病であることがわかっています。
2型糖尿病は、中高年で発症する方が多いといわれています。
2型糖尿病の原因
食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が原因
2型糖尿病は、さまざまな原因でインスリンのはたらきが悪くなる(インスリン抵抗性)ことによって発症します。インスリンのはたらきが悪くなると、徐々にインスリンを分泌する能力が低下していき、高血糖の状態が続くために糖尿病を発症します。
インスリン抵抗性の主な原因は、食べ過ぎによる肥満や運動不足、過度の飲酒などが考えられます。日本では、ファーストフードの普及などによる生活習慣の欧米化や、車社会によって運動不足になることで肥満になる方が増えたといわれています。
2型糖尿病の症状
基本的に無症状だが、多尿や疲れやすさが現れることも
2型糖尿病は、基本的に無症状といわれています。しかし、血糖値が高い状態が続くと、以下のような症状が現れることがあります。
• 尿の量が多い(多尿)
• のどが渇く(口渇(こうかつ))
• 水分をたくさん飲む(多飲)
• 体重が減少する
• 疲れやすくなる
増えた血糖は尿と一緒に排泄されますが、水分も排泄されるため尿の量が多くなります。多尿によって脱水状態になるとのどが渇きやすくなり、水分をたくさん飲みたくなることがあるでしょう。
また、増えた血糖が尿と一緒に排泄されると、体を動かすエネルギーとして十分に活用することができなくなります。エネルギーが減少することによって、体重が減少したり、疲れやすくなったりすることがあります。
ゆっくりと進行する場合、気づくことは難しい
糖尿病の自覚症状には個人差が大きいと考えられています。症状に気づきやすい方は、のどが渇くなどの症状から異常に気づくこともあります。しかし、症状を感じにくい方は、気づかないまま何十年も経過し、糖尿病腎症や神経障害、網膜症などの合併症によって糖尿病が発見されることもあります。
病気の進行のスピードにも個人差が大きいため、急に進行した場合には症状も現れやすいですが、進行が緩やかな場合には症状も徐々に現れるため気づきにくいでしょう。
食事療法、運動療法、薬物治療によって改善を
インスリン自己注射
2型糖尿病に有効な薬物治療
いくつかの薬を組み合わせて治療することが多い
おおはし

投稿者: 大橋医院

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