大橋院長の為になるブログ

2017.05.31更新

「熱中症対応マニュアル」大橋医院    大橋信昭

<体液.体温バランスが崩れ、命にかかわることも>
人間の身体は、蒸し暑い環境に長くいたり、トラック運送などの活動をすると、汗をかいて、体内にたまった熱を放散します。この時水分や塩分を補給しないまま汗をかき続けると脱水症状や塩分(ナトリウム)不足による障害が起きます(体液バランスの破たん)。さらに発汗による熱の放散の働きが限界に達すると、やがて体温を調節できなくなり(体液バランス破たん)、命にかかわる深刻な障害を招きます。こうした症状を「熱中症」と呼びます。

熱中症は以下の4つに分けられます。
(1) 熱失神.熱虚脱:大量の汗をかいて水分不足になることによる、脱水症状(立ちくらみや脱力感など)です。
(2) 熱疲労:汗は血液から作られるため、大量の発汗が続くと、血液量が減少します。血液の循環も悪くなり、血圧が低下して失神や虚脱がみられるようになります。これを熱疲労といいます。
(3) 熱けいれん:大量の汗をかくことで、塩分(ナトリウム)が不足すると、筋肉がけいれんを起こします(こむら返りなど)。ナトリウムには、筋肉の働きを調節する働きがあり、不足すると筋肉の収縮.弛緩がうまくいかなるためです。汗をかいたときに水分だけを補給した場合、血液中のナトリウム濃度が下がり、熱けいれんを起こしやすくなります。
(4) 熱射病:汗をかいて体温を一定に保つ働きが限界に達すると、体温が下がり細胞に含まれる酵素の働きがおかしくなります。これが熱射病です。脳の大脳皮質に障害がおこると言動がおかしくなったりします。小脳に異常が起きると、汗をかく機能も停止し、生命の危機にさらされます。

「こんな時は要注意、熱中症が起こりやすい環境」
(1) 気温.湿度が高いとき:汗をかくことが大切、気温34℃は危険。
(2) 風がないとき
(3) 急に暑くなった時
(4) 日差しが強い.照り返しが強いとき

「予防法」こまめな水分.塩分補給が基本
熱中症は屋内.屋外を問わず起こります。屋内では換気の悪いトラックなども危険です。スポーツや各種作業をするときは特に注意が必用ですが、気温.湿度が高い真夏には、屋内にいるときも熱中症のおそれがあります。熱中症を防ぐ方法を覚えておきましょう。
<1> スポーツ飲料で水分と塩分の補給をして下さい。水だけを飲むと、血液中の塩分濃度が低くなったり、けいれんを起こします。塩分を含んだ水やスポーツ飲料を補給しましょう。
<2> 休憩時間をこまめにとりましょう。
<3> 無理をしないことです。蒸し暑い日や体調がすぐれない日には無理をしないこと。下痢、発熱、夏風邪や夏バテの時は、熱中症にかかりやすくなっています。ちょうしがわるいときだけでなく、回復期にあっても、スポーツや野外活動は避けましょう。
<4> 屋内でも水分をまめにとることは、熱中症対策の基本です。
<5> エアコンを上手に使いましょう。室温が28℃、湿度70%を超えないようにエアコンを上手に活用しましょう。
<6> {高齢者は、発汗能力の低下、口の渇きが感じにくくなる、体温調節が低下するなどの理由で熱中症に注意が必用です。
<7> 肥満の方は、皮膚の表面から熱を逃がす作用が弱くなります。

「応急処置」!涼しい場所に移す.服を脱がす.体を冷やす
もし、周りの人に熱中症と思われる症状が出たら、意識を確認し、すぐに応急処置をして下さい。意識がはっきりしていれば軽症で、自分で対処することができます。意識がない場合は重症です。救急車を手配しましょう。
<熱中症になったら!>
!首筋わきの下、脚の付け根など(大きな動静脈が通っている部位)を冷水や氷で冷やす
!スポーツドリンクなどで水分と塩分を補給する。冷たい水と梅でよい。
!意識がはっきりしていなかったり、吐き気がある場合は、気管に入るおそれがあるので、無理に飲ませない。
!靴や靴下を脱がせ、衣服をゆるめる
!木陰など風通しの良い場所や、エアコンの効いた部屋に移す
!仰向けに寝かせて(吐き気があったり、意識がない場合は顔を横向きに)、脳に血液が回るように脚を少し上げる。
#めまい、失神、筋肉通、 大量の発汗、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温、---救急車を手配、119番

投稿者: 大橋医院

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