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2017.04.19更新

成人高血圧の15%、小児では50%が内分泌性

 内分泌疾患の初発症状として高血圧が発現することも多い。今回の声明によると、米国では成人の4人に1人が高血圧で、その約15%を内分泌性高血圧が占めるという。この割合は小児では50%、若年成人では30%に上る。しかし、高血圧の原因となる一部の内分泌疾患には有効なスクリーニング法がなく、診断されないまま未治療であることが多い。

 今回の声明では、手術や薬物療法で治療が可能な内分泌性高血圧の原因として15を超える疾患を挙げ(表)、どのような場合にスクリーニングを行い、どのような検査法を用いるかを示している(図)。また、各疾患の有病率、臨床症状、診断・検査指針、検査結果の解釈について詳しく解説している。

表. 高血圧の原因となる内分泌疾患

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図. 内分泌性高血圧のスクリーニングを検討すべきケースおよび検査法

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(表、図ともEndocr Rev 2017; 38: 103-122)

 全体的に、臨床的背景を考慮したスクリーニング方法を推奨している。例えば、複数の重篤な疾患を併発している高齢者では、内分泌性高血圧スクリーニングの優先順位は低くなるだろう。一方、若年者ではスクリーニングが大きな意味を持ち、寿命の延長やQOL向上につながる可能性がある。

大部分の高血圧で原発性アルドステロン症を疑うべき

 また今回の声明では、最も高頻度に見られる原因疾患として原発性アルドステロン症(PA)を取り上げている。PAは副腎からのアルドステロンの過剰産生により引き起こされ、その結果として腎臓によるナトリウム再吸収が過剰になり高血圧に至る。高血圧患者の5~10%がPAを有する可能性があり、PA患者では内分泌疾患が原因ではない高血圧の患者に比べて、死亡や脳卒中を含む心血管イベントのリスクが高くなる。

 Young氏は「高血圧患者の大部分に対してPAのスクリーニングを検討すべきである。PAは容易に治療可能で、診断が付けば根治できる可能性が高い。また、PAの早期検出により心血管イベントや腎不全のリスクを低減できる」と述べている。

投稿者: 大橋医院

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