2015.10.05更新

<医療>

大橋信昭

 医療っていうやつも、なんですね、助けれる輩は、それなりの医療行為も致しはしますが、治らない病気は、江戸時代の赤ひげのころには、何もなかったのですが、C型肝炎は100%治癒するとか、年齢からくる大動脈弁狭窄症なんてのも、カテーテルで、いい弁を置いてきて、もっと長生きさせますからね。
胃瘻だの腸瘻だの、こんなものまで入れますと、生きてるんだか、死んでるんだか不気味な老人が何人も増えたりしましてね、家族がいつまでも長生きをさせてくれと懇願するものですから、本当に長寿を願っているのか?毎月の年金を頼っているのか、本心を聞きたいんですよ。
 どうして、この日本人ていうやつは、往生際が始末が悪い。キリスト教徒やイスラム教徒を見習ってもらいたいよ。あちらの宗教じゃ、この世が幻、死んではじめて、神様に近づくんだ。だから自爆テロっていうやつはおめでたいらしいね。自ら神様のおそばに行くことになり、周りは祝福されるらしい。とばっちり受けた輩は、とんでもないことだ。その点、日本人は、95歳になっても、100歳になっても、本人が少しでも人間の恰好してると、家族や親戚は永遠に生き続けてもらいたいなんで号泣するもんだから、私はねいつも、死亡率は100%ですよっていうんですよ。でもね、いざ昇天時には病院へ連れていけの、少しでも何とか長生きできないのか、誓約書も書いても死ぬ間際は大変なことになるんですよ。こんなことなら、病院へ連れて行くんだったとかね。
 しかし、お通夜、49日になると、皆さん、先生には大変お世話になりました。うちのおっとさんも、安楽に死なせることが出来ましたなんて、菓子箱の一つぐらいは持ってくるんだから、こっちは一人の看取りの患者をあの世まで見送るのに、とことん,身も心も疲れ果てちゃうんですよ。きっとあの人も天国では、安楽な生活をしているでしょうなんてなくるもんですからね。誰も天国からは帰ってきてくれないもんですから。
 私なんかも、10月1日の夜9時に、心肺停止の患者が施設で発生し、死亡診断書を書きに行くときに、暗い細い道を通ったもんですからね。いきなり、黒い女子高校生が、無灯火で、突然現れましてね、それを重いっきりよけまして、びっくりしちゃって、過呼吸でもなったのか、フロントグラスが真白になりましてね、目の前真っ白、ブレーキさえ踏めばよかったんですが、いきなり電柱に激突、エアーバックが全開しましてね、それに、胸部と左膝を強打しまして、
突然、訳が分からなくなり、近所の人がたくさん現れ、でも私は「施設へ死亡診断書を書かねばいけない」と主張し続けまして、「あんたそれどころじゃないよ」なんて周りの人が私を説得しているうちに、救急車や警察官がやってきて「あんた、酒でも飲んでいるのか」というもんだから「そんなものは飲んじゃいない、私も医師だからわかるが、肋骨が折れたり、気胸でも合併していたら死亡診断書はあきらめないといけないんて言っているうちに、気が飛んでしまい、いつの間にか救急車に乗っており、気が付くと、大病院でCTをやられており、施設の人も、家族も現れ、大騒ぎで、私はともかく死亡診断書を書く義務があるって繰り返すのですが、死ぬ時ってこんなもんかな?訳の分からぬうちにあの世へ行くってこともあるんじゃないかな?
 いつの間にかご遺体の前で死亡宣告をしており、午後11時54分死亡、とかいてある。家族には遅くなって済まない、私も事故を起こしまして、申し訳ないと言っても家族は険しい顔をするばかり、自分の車はもう動かなくなっているし、レッカー車でどこか移動しているし、自宅へ強制的に施設の人が連れて帰り、家内が心配そうに私の顔を見るもんですから、私はとびはねて、ほらこの通り元気だなんて、いつの間にか寝てしまい、次の日の朝には、膝が内出血しており、肋骨も痛いが、何とか外来をこなし、やっととんでもないことをしてしまったと反省しているうちに、家内が事故現場の自治会長へ詫びに行き、保険会社と連絡し、ぶつけた電柱を元通りにどうするかなんて話になっており、私もあちこち痛むが、ともかく車は一台にしよう!今のEクラスのベンツと事故車の保険から、何とかAクラスのベンツを見積もりに車のデイラーに勝手に出かけたりしたもんですから、家内がそう簡単なもんじゃないと怒るし、子供たちも夜はタクシーと嫌なことをいうし、警察からは電話がかかってくるし、ともかくてんやわんやで、世の中、そんな甘いもんじゃない、やけくそで古今亭志ん朝の落語なんて聞いているうちにいつの間にか夜中になってしまうし、それでも、少しも安まずに、聴診器を持って、患者さんの苦労話にすっかり聞き込んでいると外来の回転が悪いので、待っている患者さんは怒り出すし、自分を見つめなおすのは、書斎へ逃げ込んで、youtubeで落語を聞きながら、山本周五郎でも読んで、頭をすっかり江戸時代に溶け込んだ時が最高ですよ。
 話はまとまらないし、尊厳死協会のガイドラインもすっかり分からないし御仕舞にさせてもらいます。(完)

岐阜県大垣市の大橋医院は、高血圧症、糖尿病、や動脈硬化症に全力投球します。

投稿者: 大橋医院