2015.01.26更新

<大橋信昭の始末書>

大橋信昭

1) 小生は、昨年の11月より断酒している。あの酒癖が悪い男が酒を飲んでいないのは信じられないと殆どの医師会員並びに関係者の方は、ほら吹きと思われだろう。本当に小生は、一滴ものんでいないのであり、忘年会、新年会とも、飲み友達を避けていたのである。これには、家族の懇願が断酒前に、聞かされたのである。その顔は真っ青で真剣であった。「お父さんは飲むと、私達にどんなひどいことをしたか知っているの?次女の部屋に勝手に入り、彼女の大切なパソコンを殴りつけ破壊してしまったのよ。素っ裸で仏壇の前で踊っていたし、一度は転倒し、ストーブに顔面打撲したのよ、このストーブが、何故変形しているのか、これはお父さんのせいよ!我が家の大切な初孫に乗っかていたじゃないの!大けがでもしたら一生ものよ!」小生は、この時ほどドキリとしたことは無い。医師会にも酔っ払いメールで社会追放問題を起こしたし、家族にもこんな迷惑をかけていたのか?もう飲まない!何回も誓ってきたが、今回は意志が強い。友達をなくし家族を亡くしてはホームレス生活者になるかもしれない。断酒は今も続行している。
2) 小生はパソコンを少し使えるが、携帯電話とか、今や常識のスマートホン、i-PADは全く苦手である。JRで名古屋を往復しようとすると、電車の中はスマートホンを食い入るように使っている人がひしめき合っている。駅に降りても、スマートホンを見ながら歩いている若者、自転車もスマートホンを使いながら、車道を横切っている。小生はこのモバイルが全く苦手なのである。携帯でラクラクホンである。それなら良いが、この1年に3回、水没させたのである。1度はトイレ、2度は浴槽、いずれも酩酊状態である。トイレや浴槽にキラキラ光る小生の携帯が浮かんでいるのを見たとき、愕然としたのである。3度目はもう、ショックで、   小生は小生の愚かさを呪ったのである。妻は眉間に皺を入れ、子供たちはそっぽを向き、携帯電話商店(いまどきスマートホンであるが)に赤面して、恥ずかしく店員に視線が合わないように、携帯電話の交代をしたのである。
3) 私は「循環器」という専門誌を毎月、定期購読していたが、今年から来ないと思っていたら、年会費を払っていなかったのである。内科抄読会は、「循環器」の最新号を発表しようと思っていたら、不可能で、医師会にご迷惑をかけて、印刷をお願い済ましてあったので、「断酒剤について一考と循環器アラカルト」と演題を決めた。来月が出番と言われていたので、内容を再読し、もっとレベルを上げようと、名古屋の医学書が置いてある本屋に3回往復した。医学書3冊購入したが、どれも小生の頭脳には難解不可能である。内科抄読会の優秀なメンバーを考えたら、インフルエンザになり、免疫力低下になり、帯状疱疹までできてしまった。このままではあまり気に病むと、悪性疾患を発症してしまうと思い、昨日、16歳の時初めて鑑賞した「太陽がいっぱい」を還暦過ぎて、再度楽しんだ。アランドロンが16歳の時にハンサムすぎると思ったが、還暦過ぎると見方が違い、中世の歴史残すヨーロッパ、切ない音楽や、まぶしい太陽、海の青さが強烈であった。主役のアランドロンがやったことは、腹が立つぐらい残酷なことであり、極刑は免れないと思った。素晴らしい映画を鑑賞した後は、内科抄読会の発表が近いことは忘れた。ストレスを忘れた。
4) 小生の主任教授が先週亡くなった。医師とはどういう職業か教育され、患者への対応や、治療テクニックなど、すべて教育してくださった先生であり、仲人、開業の際に開院式にも、出席出ていただき、父の告別式にも励ましにわざわざ大垣までお運び願ったのである。お通夜は絶対に出ないと罰が当たると思い、地下鉄覚王山東へ徒歩5分徒歩と知らせがあった。しかし、その駅に降りた途端、東西南北が分からなかった。コンビニに入り102円のチョコレートを買い店員に「東はどっちか?」と聞いたら「私には分かりません。」と、冷たくされた。幸い、喪服を着たご婦人にお逢いできたので、お通夜にやっと間に合い、奥さんにお逢いでき、ご遺体となった教授に、お参りができた。名古屋という都会は怖い。降りた途端、大きなビルと大きな道路と、交通量の多いこと、人も氷のように冷たい顔をしてひしめき合っている。私のような田舎者は、押しつぶされそうである。
以上、私の始末書である。

岐阜県大垣市の大橋医院は、高血圧症、糖尿病、動脈硬化症に全力を尽くします。

投稿者: 大橋医院