2014.01.07更新

今日は、天国見学合格試験の発表日だ。長年、在宅尊厳死、介護施設の看取りに尽力を注いだ全国の医師から、
天国見学船に乗車できる資格発表日だ。
 私も過去に在宅や施設で苦労した患者さんが、今、天国で、幸せに暮らしているか心配で、この試験に応募したのであった。
試験は300問、3日間にわたって行われ、20人が合格した。難問であったが、よく合格したものだ。文章問題がほとんどであり、
各医師の臨床経験も合格に大きく影響した。私は臨床経験の文章が特選で、低い合格率をクリアした。
 試験会場は四谷霊園であり、試験管のりーダーは閻魔大王、虎のような目をして、受験生を睨んでいた。幾多の困難はあったが、
8月15日のお盆の日に、合格者は天国行きの船に乗ることができた。その船は、墓場から沼地へ進み、どんなエネルギーかわからぬが、地下の暗闇に吸い込まれたのである。そこは太陽こそ降り注がないが、どこからともなく、薄青の光が視野をおおっていた。
閻魔大王は私に、逢いたい個人を4人列挙しろと言った。私は、地上でお会いした4人のお名前を蓮の葉に書いて、黙祷した。

<症例1>その老婆は左目に鶏卵大の腫瘍が有るにも関わらずいつも笑っておられ、家族は"絶対に苦しめないでくれ"と絶叫しておられたが、彼女は臨終まで笑っていた。天国で再会した。左目の腫瘍は、消失しており、お花畑で草の輪をいつまでも楽しそうに作っていた。幸せそうであった。
<症例"2>その老婆は、意地悪で、銀行泣かせだが、アパート経営をしていた。優しさがひとかたまりも無く、友人はいなく、
私は、彼女が高血圧症がひどく、発作的に高くなるので、往診を繰り返していた。彼女がいつも嫌う道路越しの生鮮食料品の悪口ばかり聞かされていた。その会社が倒産したとき、彼女は大声で"倒産バンザイ万歳"っと言った。それから数日後、脳梗塞で急に他界した。彼女は天国でも、灰色の光に満ちた陰気なところで赤鬼に、お尻を打たれ続けながら、熱湯に近い水もかけられ、私に助けを求めた。私はその場は直ぐに去った。
<症例3>その老人は、有名な数学者であった。咽頭腫瘍になってから、在宅ホスピスを家族と患者さんと長い討論の末、自宅に死に場所を求めた。緩和治療を私が毎日、彼のご自宅まで通うことと、息子さんが医師であることが助けであった。二人で話し合いながら、ある夜明けの日に昇天した。あくまで紳士で、痛いとか苦しいとか、家族に心配をかけまいとしておられた。天国での彼を探した。彼をあれほど苦しめた腫瘍は消え去り、天国の学校の子供たちに、数学を楽しそうに教えていた。
<症例4>その40代の男性は、髪結いの亭主で、朝から晩まで飲酒を続けた。夢は本屋を自営することだったが、どこの金融機関も彼を相手にしなかった。ますます飲酒量は増え、子供たちの夕食の卓袱台は、ひっくり返すし、家族もこの男を相手にしなかった。大量の吐血があり、私は往診に呼ばれ、中核病院でへ搬送されたがまもなく死亡した。葬式に行ったが、家族は泣いていなかった。彼は天国で何をしているか探しに行った。夕焼けのような薄暗い光の中で、相変わらず彼は酒を飲み続けていた。そして、
吐血が頻回に起きて、もんどりうって苦しそうだが、誰も見ていなかった。彼は家族を苦しめた分だけ、吐血、転倒、骨折を合併し、
飲酒を続けるのであった。

閻魔大王のお許しで再び、当院の診察室に、私は診療に追われている。

皆様ももうすぐに天国ツアーが体験できるであろう。やはり、生きている今を誇りに持てる生活をしないと天国も厳しく、
楽園ばかりでは消してないであろう。

岐阜県大垣市の大橋医院は、高血圧症、糖尿病、や動脈硬化症に全力を尽くします。

投稿者: 大橋医院