私はある老婆にうそをついた。いや、うそをつかざるを得なかった。
「先生、私は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など4回も入院しているのです。
私の左半身は疼痛としびれで、いかに苦しいか、先生わかりますか?」
「よくわかるよ」
「また、あの救急車に乗せられて、地獄の苦しみを味わうのですか?」
「もう、そんな苦しいことはありません」
「それじゃ、先生にお任せしていればずっと楽なんですね?」
「そうだよ。このままここで、ずっと幸せな生活が続くのだよ。」
老婆はやっと、安心して、涙も止まり、笑顔に変わった。
私は特養の嘱託医を12年近くしているが、最近、すっかり、嫌になっている。
うそばかりご利用者様につかねばいかないのだ。
冒頭に出てきた安心した老婆も、また脳血管障害の再発作をおこし、入院することは分かりきっている。
しかし、「人間はいつかは死にますから!」とでも言えば彼女を地獄に落としてしまう。
あらゆる利用者から、「私は大丈夫ですか?」と声がかかる。
「心配はありません」と、うその連続である。
いつかは、この人たちの死亡診断書を書き、家族の怒りにならないようにうそめいた、
討論を繰り返せねばいけない。
特養の嘱託医は、"うその名人でなければいけない"
岐阜県大垣市の大橋医院は、高血圧症、糖尿病、や動脈硬化症に全力を尽くします。
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