雪が舞っている。
雪を見ながら、原稿を見ていると、遠い景色が浮かんできた。
18歳の大学1年生の時、3畳一間の貧乏下宿であった。
一ヶ月の家賃が4.500円であるが、豪雪になると雪は隙間から我が部屋に入り込んだ。
共同便所の、銭湯通いの生活であったが、厚い毛布に包まり、炬燵を抱え込んで寒さを凌いだ。
開業して間もない頃、ある老婆を往診していた。おじいさんが介護をしていた。
介護保険もない頃、老婆は寝たきりで、悪性腫瘍末期であり、心不全、呼吸不全も併発していた。
おじいさんと長い話し合いの結果、在宅尊厳死が決定された。
徒歩で少し時間がかかる距離を毎日、その家へ往診していた。
おじいさんの鳴き声が電話口で聞かれたとき、臨死状態であることが分かり、
その家へ急いだ。その時も雪が舞い、既に私のゆく道は、氷のようになっており、老婆の死期を看取った。
死亡診断書を書きに、私の診療所へ急いだが、雪が、私の顔に冷たく降り注いだ。
ある蔵のある丘の上の老婆は、開業以来、長い年月診察しており、かなり衰弱していたが、
家族の強い希望で、点滴もせずに、経過観察で呼吸が止まるのを待ちながら、通いつめた。
自宅で葬儀をするという家族だから、お通夜はどうしても焼香したかった。
その時も雪が私の行く道を、邪魔をした。
これ以上、雪について考えるとうつ病になるので筆を置く。
岐阜県大垣市の大橋医院は、高血圧症、糖尿病、動脈硬化症に、全力を尽くします。
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